ロシア産天然ガス 欧州切り替えられるか 対露制裁
ロシアは、欧州や中央アジア、中国などへは天然ガスをパイプラインで供給している。最大の購入国ドイツはカーボンニュートラルの先進国、石炭火力発電も2030年までに廃止、まだ僅かに残っている原発もま近に廃止計画予定、風力発電や太陽光発電では限界があり、原発は廃止してきたものの、原発大国のフランスから電力供給を受けている。石炭火力より半分のCO2発生とされるLNG発電所もロシア産天然ガスを使用して発電している。天然ガスの大規模備蓄基地を造るという、石炭火力発電も2030年を先延ばし、原発廃炉も先延ばしの検討に入っているという。
欧州勢は感情的動きロシアを孤立させたとしても、天然ガスはしばらく頂戴ということになろうが、ロシア側が供給をストップして逆制裁する可能性もある。ドル決済銀行のロシア排除はロシアの主要銀行に限られており、欧州勢はLNGの供給を受け、支払いも現実的には可能となっている。
そうした中、本元の米国はシェールガスの生産量は変わらず、シェールオイルは2019年12月の生産量より大きく落としたままとなっている。米石油業界は化石燃料を目の敵にしているバイデン大統領を嫌っており、投資して生産拡大して価格が下がり一定の利益を取るのか、現状生産で同じ利益を享受するのか、業界はバイデンリスクのある掘削リグ稼動のための投資を止め、後者の立場を鮮明にしている。当然、バックには次期大統領選を目指すトランプ前大統領がいる。
世界最大の原油生産国の米国、LNGも世界最大であり、米国が大増産して中東と組めば、ロシア産を排除できるのだろうが・・・。バイデンはもうダメだろう。結果は今週の中間選挙ではっきりしてくる。
切れてしまったプッチン・プーチンは東部だけで終わらず1線も2線も超え、後戻りできなくなっている。ウクライナ第2の都市ハリコフでは、映像で見る限り、市街戦さながらで軍事施設どころか市街地での砲銃撃戦となっている。
ロシア軍のタンクや車両は近接して隊列を組み移動しており、ウクライナ軍の米製携帯対戦車ミサイル「FGM-148・ジャベリン」(射程2キロ/赤外線誘導/撃てば戦車等の熱源へ向かって勝手に飛んでいく)の格好の餌食になり、1発で多くの軍事車両が破壊され、大量の死者も発生している。
ロシア軍はアフガンのように泥沼になりつつあり、居住区など見境なしの市街戦に突入させたようだ。当然、ウクライナ国民はモトロフカクテル(ガソリン入りの火炎瓶)で軍事用車両を攻撃しており、ロシア軍の反撃で市街地が破壊されてしまう恐れも出てきている。
まずは停戦して話し合うべきだろうが、欧米勢は人は出さず、兵器を大量ウクライナに供与するとしており、ロシアにしても停戦はままならないだろう。
仲介にNATO非加盟のスウェーデンに期待したが、ウクライナに武器供与を90年ぶりに決定しており、仲介役が消えたようだ。
欧米のロシア制裁は徹底してきており、どっかの国の台湾侵攻を想定して、制裁をエスカレートさせている可能性もある。
スクロール→
ロシア産天然ガス購入国リスト |
|
2020年 |
億㎥ |
ドイツ |
382 |
イタリア |
293 |
フランス |
182 |
トルコ |
133 |
オランダ |
128 |
オーストリア |
119 |
英国 |
84 |
ハンガリー |
65 |
ポーランド |
97 |
欧州上記以外のOECD加盟国 |
240 |
ベラルーシ |
188 |
欧州上記以外のOECD非加盟国 |
116 |
カザフスタン |
111 |
中国 |
108 |
日本 |
85 |
その他アジア |
64 |
合計 |
2,395 |
・ロイター参照 |
スクロール→
天然ガス生産国 |
|||
2020年 |
Bcm |
2019年 |
前年比 |
960 |
959 |
0.0% |
|
ロシア |
705 |
751 |
-6.1% |
イラン |
195 |
232 |
-15.9% |
中国 |
172 |
178 |
-3.4% |
カナダ |
167 |
176 |
-5.1% |
カタール |
154 |
168 |
-8.3% |
オーストラリア |
116 |
142 |
-18.3% |
ノルウェー |
97 |
119 |
-18.5% |
サウジ |
84 |
97 |
-13.4% |
アルジェリア |
66 |
90 |
-26.7% |
UAE |
65 |
|
|
マレーシア |
65 |
71 |
-8.5% |
エジプト |
ランク外 |
69 |
|
・Enerdata版 |