アイコン 中国では安価な「リン酸鉄リチウムバッテリー」が過半に EV用


中国工業車載用電池実用部会は3月22日、2021年の中国国内の車載用電池の搭載量が159.6GWh、このうちリン酸鉄リチウム電池の搭載量は81.7GWhで、高価なコバルトを使用する「三元系リチウム電池」の77.6GWhを上回り、コバルトを使用しない「リン鉄リチウム電池」の比率が51%超となったと公表した。22年も引き続きリン酸鉄リチウム電池が優位性を維持しているという。

また、22年3月8日、中国工業情報化部が公表した「新エネルギー車普及応用推奨車種リスト」(2022年第2期)によると、リン酸鉄リチウム電池を搭載する車種の比率は、22年第1期の55%から75%に伸びた。

中国国内の新エネルギー車市場のみならず、海外においても車の電動化が進む現状において、リン酸鉄リチウム電池はその低コスト、優れた安全性、エネルギー密度の高度化、サイクル寿命の長さ等といった強みを武器に、EV市場の中で普及率を拡大していく可能性がある。

これはリン酸鉄リチウム電池の航続距離はこれまで300キロ前後だったものが、製造の新技術開発で450キロ前後に伸び、EV電池高騰に頭を悩ますEVメーカーにとって、馬力を少々落ちるものの、450キロ乗れれば日常使用には問題ないとして、中国のみならず、欧米メーカーが挙って搭載を検討し始めたことにある。

 

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中国国内では、
寧徳時代新能源科技股份有限公司(CATL)、
弗迪電池有限公司(比亜迪股份有限公司(BYD)、
国軒高科股份有限公司(国軒高科)、
億緯リチウム能股份有限公司(EVE.)、
蜂巣能源科技有限公司(SVOLT )、
欣旺達電子股份有限公司(Sunwoda )、
捷威動力工業有限公司(Tianjin.)
等の主要車載用電池メーカーが、積極的にリン酸鉄リチウムへの投資やその生産を拡大している。
また、市場での人気上昇により、Tesla、Ford、Volkswagen、Daimler、Mercedez Benz、現代自動車といった国外の主要自動車メーカーもリン酸鉄リチウムの採用を検討し始めているという。

NCM三元系リチウム電池に専念していた韓国勢のLG-Energy Solution社やSK-ON社等も、リン酸鉄リチウム電池の技術開発を宣言、このうちLG- ESは2020年末から技術研究開発を始め、最初の電池生産ラインは22年中に試運転開始予定である。
このほかセルビアElevenEs社も21年10月に、欧州で初のリン酸鉄リチウム電池工場を建設すると表明しているほか、22年3月15日には米American Battery Factory社(ABF)も、米国でリン酸鉄リチウム電池工場を敷設すると発表した。

現在、米国のリン酸鉄リチウム電池の80%は中国から輸入しており、ABFは「エネルギーの独立と再生可能エネルギーの利用を米国で現実的なものにする。」と述べている。

リン酸鉄リチウム電池業界に参入する企業が増えることによる中国企業の市場優位性は、中国が他国に先駆け比較的早い段階から研究開発を行っていたこと、エネルギー密度の高度化に成功していること、リチウムイオン電池(LIB)に関連する上流から下流までの産業チェーンが確立されていることから、世界的にその優位性を維持するとみられている。

CATL、BYD、国軒高科といった中国内の大手電池メーカーはリン酸鉄リチウム電池の技術や出荷量等で、徳方納米科技股份有限公司(Shenzhen)、湖南裕能新能源電池材料有限公司等のリン酸鉄リチウム電池用正極材料企業は技術、性能、コスト等の面で、世界をリードしている。
以上、

EV用バッテりー生産コストの70~80%は原材料費であり、EVの普及拡大、ウクライナ戦争における資源高も加わり、調達コストが上昇し続けている。ニッケル市場の10%はロシア産でもある。
三元系はニッケル・コバルト・マンガンを材料としており、電池メーカーとEVメーカーとの契約も原材料費の変動に連動する契約となっており、EVメーカーもすでに値上げに踏み切っている。

テスラの「モデル3」は、20年末より18%値上げされ、新興EVメーカーのリビアンも20%引き上げるとしたものの、予約車については引き上げることを断念、大きな受注を抱え、委託生産方式、当初から大きな赤字になる可能性がある。

こうしたEV用バッテリー価格の上昇によるEV販売価格の上昇は、エンジン車との価格差を広げ、ガソリン価格が高騰して、せっかくEV普及を後押しするタイミングながら、EV普及にも黄色信号が灯っている。

車両販売価格に占めるバッテリーコストは3割前後。航続距離が長ければ多くのバッテリーを積みコストが上がり、高級車でなければ搭載できない。そのため、航続距離により販売価格が異なるように価格設定されている。

三元系と比較して安価な「リン鉄リチウム電池」にしても高騰し続けるリチウムを材料しており、価格は上昇しているが、三元系は材料全般が上昇し比較にならないほど高騰している。当然、バッテリーメーカーも利益が出ない事態に陥っている。


スクロール→

↓3月30日の先物相場(価格は30日02時前後)

新コロナ+ウクライナ侵攻2/24日以降の高値と現在 狂乱相場

新コロナ・ウクライナ狂乱相場・自動車関連

2022

相場

侵攻後

高値

330

 

19/12.

2022/1/1

相場

19/12

原油WTI

63.48

75.85

123.70

103.98

63.8%

天然ガス

2.177

3.810

5.016

5.354

145.9%

ナフサ

548.00

728.33

1,121.72

997.54

82.0%

鉄鉱石

91.59

116.00

159.00

147.50

61.0%

スチール

3,774

4,579

5,085

5,020

33.0%

亜鉛

2,275.5

3,604.0

4,135.5

4,052.0

78.1%

2.8177

4.4215

4.7715

4.7160

67.4%

アルミ

1,780.5

2,839.0

3,849.0

3,444.0

93.4%

リチウム

50,000

277,500

497,500

497,500

895.0%

コバルト

32,750

70,500

82,000

82,000

150.4%

ニッケル

13,950

20,881

48,226

32,716

134.5%

マンガン

31.50

33.50

34.50

34.50

9.5%

 


スクロール→

↓上記、単位ほか

原油WTI

USD/Bbl

天然ガス

USD/MMBtu

ナフサ

USD/T

鉄鉱石

CNY/T

スチール

CNY/T

アルミ

USD/T

USD/Lbs

亜鉛

USD/T

リチウム

CNY/T

コバルト

USD/T

ニッケル

USD/T

マンガン

CNY/T

 


スクロール→

コバルト生産国

コンゴ(民共)

33%

銅鉱山利権・中国

カナダ

13%

 

ザンビア

12%

 

ロシア

10%

 

オーストラリア

9%

 

キューバ

6%

 

その他

12%

ニューギニア・フィリピン等

・コバルトは銅やニッケルなどの精錬の副産物として産出。

 


スクロール→

↓ロシアの自動車販売台数ランキング

欧日メーカーが生産停止、韓国勢はいつものどっちつかず、米勢は関係ないことから涼しい顔。

2021年、ロシアの新車販売台数ランキング

2021年

前年比

シェア

備考

1

LADA

350,714

2.1%

21.0%

ルノー傘下/現地企業

2

起亜

205,801

2.0%

12.3%

韓国

3

現代

167,331

2.5%

10.0%

4

ルノー

131,552

2.4%

7.9%

フランス

5

トヨタ

97,941

6.9%

5.9%

6

Skoda

90,443

-4.4%

5.4%

VW-

7

VW

86,108

-14.0%

5.2%

8

GAZLCV

56,468

10.4%

3.4%

中国

9

日産

51,338

-8.9%

3.1%

10

BMW

46,802

9.6%

2.8%

11

ベンツ

43,011

10.8%

2.6%

 

ほか

339,271

 

 

 

 

1,666,780

4.8%

 

 

 

[ 2022年3月30日 ]

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