アイコン トルコの半分の建物が安全無視の違法建物 死者3.3万人超える 救助活動続く


ブロック、レンガ、石、コンクリ造り、
鉄筋僅か、鉄骨なし、柱なし、梁なし、筋交いなし・・・
2月6日早朝、トルコ南部を襲ったM7.8の地震(65秒間/2回目の昼のM7.5の地震は45秒間)では、BBCによると13日現在、トルコでの犠牲者数は30,000人あまり、シリア側では3,553人(11日現在)が確認され、まだ増え続けている。
負傷者も8万人を超え、まだ瓦礫の中に閉じ込められている人たちは判明しているだけでも数千人に及ぶとされている。死亡者総数は5万人をゆうに超える見方がなされている。

国連によると530万人が家を失い、トルコとシリアで90万人が食糧危機に陥っているという。被災地では夜間はマイナス気温、多くの被災民が車など外での寝泊りを余儀なくされているという。 
シリア側ではコレラも発生し、政府軍と反政府軍は休戦状態で、各々の軍部隊が救助活動に当たっている。
地震から140時間を経過、夜の寒さもあり、救出される人たちは僅かになってきている。多くの国から救助隊が派遣され、住民とともに懸命な救助活動が続けられている。また負傷者も多く、各国から派遣された医師や看護師たちが治療にも当たっている。
 

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<トルコは地震大国>
1999年8月にトルコ北西部で発生したM7.5のイズミット地震(18,300人死亡)後、トルコでは建築にはより厳しい安全基準が導入された。(北トルキスタン断層で発生した地震/今回はトルコ南東部の東トルキスタン断層で発生)
イズミット市では1719年にも地震(M7.4)が観測されているが死者数は6000人とされている。最近は低層・中層の集合住宅が多く、それも安全無視の違法建築物が倒壊したことにより死亡者数を増加させた。

2020年10月には、トルコ西部イズミール市を襲ったエーゲ海地震(115人死亡)も発生していた。

<地震の原因>
トルコ北部では、ユーラシア大陸プレートとトルキスタンプレート(トルコがあるプレート)が衝突している「北トルキスタン断層」があり、
トルコ南東部には、アラビアプレートがトルキスタンプレートに衝突しているところに東トルキスタン断層があり、
トルコ東ではエーゲ海プレートとトルキスタンプレートが衝突、
トルコ南東の地中海ではトルキスタンプレートとアフリカプレートが衝突している。
そのためトルコは地震大国。
今回のM7.8k地震では、東トルキスタン断層に沿い東へ100キロにわたって被害が深刻だという。

今回の地震で被害の最大の問題は、
建築の専門家たちはこれまでにも、エルドアン政権が建設ブームによる経済活性化を促進するため、建築基準規制を逸脱した請負業者に対するいわゆる恩赦を可能にし、過去20年、新築の建物でも半分がこの恩赦を受け、地震に対して非常に脆弱だと指摘し続けていた。
安全基準無視の建物ばかりが建造されてきた結果の今回の建物倒壊による大被害となっている。
2020年には、それまでの石・ブロック、セメントでの集合住宅建築が見直され、鉄骨や鉄筋のコンクリート住宅仕様に変更されていた。また、2018年には、さらに梁や柱を分散させるなど建築基準法を強化していた。

同国の建築専門家の話として、
2020年年10月のエーゲ海地震後、被害が一番大きかったトルコ西部イズミール市の全建物のうち、672,000棟の建物が最新の恩赦の恩恵を受け、建築されていたことを発見したという。
今回の大震災では、同国の半分の建物が安全無視のこれまでどおりの建物となっており、起こるべくして起きた人災だとしている。

英BBCの調査でも、建築に必要な「安全証明書」なしで建設された建造物に対して、罰金や改修工事命令等を事実上免除する書類(恩赦が、最新のものでは2018年まであるという。

トルコの建物2600万棟のうち、半分の1300万棟が安全建築違反の建物
2018年に環境都市化省が、トルコの建物の50% 以上 (ほぼ1,300万棟に相当) が規制に違反して建設されていると発表していたという。
建築基準法の恩赦や免除で地震に非常に脆弱な集合住宅が建築され続けてきた結果、今回の大災害となっている。

倒壊した建物の残骸の映像を見る限り、鉄骨らしきものは見当たらず、鉄筋もほとんど見えず、ブロックや石・セメントの塊がゴロゴロ倒壊現場に見える。

日本では建築基準法違反で建築された建物が発覚し、取り壊され、再建築された事件もあるほど建築物には耐震性を持たせている。

安全無視の建築関係者の拘束広がる
2月10日、アダナ高等検察庁は地震により破壊建物に関し、建築会社関係者62人に拘留命令を出した。ディヤルバクルでも29人が拘束され、シャンルウルファでも8人が拘束されたという。
トルコ司法省は、各州検察庁に対して地震犯罪捜査局の設立を要請した。

同日までに10省 7,584棟の建物が破壊または緊急に取り壊され、12,000棟の建物が大きく損傷したという。今後大幅に増加すると見られる。

トルコでは略奪も始まっている。日本でもフクシマ原発大爆発で空白になった家屋での略奪が横行した。同じことが起こっている。
派閥間の抗争も発生しており、外国の救助隊の一部ではトルコ軍が警備に当たり、救助作業を再開させた国もある。

12人だぜぇ
日本は第1陣と第2陣で計73人をトルコへ派遣した。しかし、救助専門家はたったの12人(消防/うち3人は福岡)、ほかは警察官と警察犬4匹、負傷者に対する医療陣と先陣の各分野の現地調整のための専門家たちとなっている。
国内でもそうであるように国際派遣緊急救助部隊は訓練を受けた自衛隊を活用すべきではないだろうか。
現在、国際救助隊は首都圏だけではなく全国で組織されているため時間がかかり第2陣が少人数で7日夜出発、8日到着、9日からの救助活動となっている。
東日本大震災では各国が救助活動(ほとんどが軍人)に当たってくれたのだが・・・。人海戦術しかない急ぐ救助活動、もっと派遣できなかったのだろうか。
形ばかりにとらわれる調整役の第1陣は今後、第2陣以降に派遣すべきではないだろうか。今年はG7サミットのホスト国、岸田政権には息子と自らの発言に起因するLGBTのことばかり、判断力もユトリもないようだ。
以上、現地紙BirGun等、BBC、アルジャジーラ、西日本新聞など参照

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2019年の建築された大集合住宅、地震の前後。

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[ 2023年2月13日 ]

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