中国経済低迷で金利下げに転じる 内需不振・輸出不振・高い若年失業率
中国人民銀行は8月15日、中期貸出制度(MLF)の1年物金利を予想に反して2.5%に引き下げると発表した。従来は2.65%だった。
米ブルームバーグは「中国経済は不動産市況の悪化や個人消費の伸び悩みによる新たなリスクに直面しており、景気のてこ入れを図った」と報じた。
中国国家統計局が15日発表した7月の工業生産は前年同月比3.7%増加した。
ブルームバーグのエコノミスト予想中央値は4.3%増で6月は4.4%増だった。
7月の小売売上高は前年同月比2.5%増。6月は3.1%増えていた。
都市部の失業率は5.3%と、6月の5.2%から上昇。
国家統計局は若者の失業率について調査方法を見直すとし、その間は公表を停止した。16~24歳の6月の失業率は21.3%と、過去最悪を更新していた。ブルームバーグは「(調査方法見直しは)データの透明性をめぐり投資家の懸念が広がっている」と伝えた。
内需に関して国家統計局は、「なお『不十分』で経済回復の基礎を引き続き強化する必要がある」と声明で分析している。
「マクロ経済政策の調整を強化し、内需拡大や信頼感の押し上げ、リスク防止に注力」しなければならないとしている。
以上、
中国の習近平独裁政権は、過度な経済政策による後遺症は、負った傷が深く、慌てて規制を緩和したところでなかなか直りそうにもない。
2017年の不動産規制(外貨不足に起因/世界進出の巨大不動産会社3社)による淘汰、うち大幅縮小して生き残った大連万達もここにきて厳しい資金繰りに追われている(期限の証券の買戻しに有する25のショッピングセンターを売却して資金調達し、難を逃れた)。
今回は、2021年の規制となった(習近平氏が禁断の3期目を目指すため執行した共同富裕論による不動産会社に対する融資規制強化である。
民間最大手の恒大不動産の危機は2022年夏場から発行債権の償却難が表面化、ここに来て米国で発行していた債券の期限を前にして、米裁判所に破産法の適用申請を行っている。
中国の不動産開発会社には大きく、民間企業と地方政府子会社の不動産会社に分かれ、今回の規制強化は、民間企業大手が危機に瀕している。
ほか、大手不動産デベロッパーである碧桂園も以前から問題視されてきたものの、ここにきてさらに怪しくなってきている。
習近平政権の2期目(2017年)からは、政府に対する批判を大幅規制強化、
それは、腐敗撲滅キャンペーンにより対抗軸の江沢民派を一掃しで、独裁色を強めた習性権にある。それまで柔軟だった地方政府に対する国民の批判に対しても規制強化、多くの弁護士たちが拘束され、地方政府が行使する政策に対しても、批判する国民も弁護士も拘束する時代に突入した。
企業人たちの発言も工作対象となり、多くの大企業の企業人たちが一時行方不明=拘束され、政府批判を封じるどころ、政府の方針に従属させ、特にITネット企業の創業者らは自由な経済活動もできなくなり、経済を拡大させるIT産業の新たな芽は摘み取られ、不動産業とともに再起不能状態にいたっている。
2020年の年初から勃発した新コロナ事態では、当初、武漢の病院関係者たちはオブラートに包みながらも、医者たちの専用SNSで、22年12月から起きていることを書き込みしていた。中国の大物医師たちも発言を繰り返すようになっていた。
しかし、2020年4月に入ると、一切の政府批判ができなくなるどころか、新コロナに対する書き込んでいた医師たちを拘束したり、降格したりして言論を封じ、中国では新コロナウイルスに対する書き込みや発表はすべて検疫制度を導入するに至った。
こうした中、中国当局が検疫して公表された記事では、「(ウイルスは)米国発だ」とする主張記事まで登場する始末。
中国がここにきて行き詰っているのは、
1、 経済波及効果の高い不動産会社の開発案件規制
2、 不動産会社の開発でも住宅開発の経済波及効果は非常に大きい
3、 ITネット企業、ゲームソフト開発会社、ネットオンライン塾含む塾、ネット通販、ネットバンキング・ネット保険・・・・規制
ことごとく規制強化し、市場全体の活力が萎縮、経済活動の全体が行き詰っている。
典型的な例がアリババ関連と創業者・馬雲氏の運命だろうか。
新たな市場を創り出してきた彼らの経済活動は、中央政府により制限され監視され、もはや新たな挑戦に対するエネルギーも何もなくしている。
また、習政権の大きな錯覚は、リーマンショックを乗り越えた当時の公共投資(主に新幹線鉄道網構築)、今回も大規模な公共投資(沿海部の海上交通網(港珠澳大橋・・・香港-珠海-マカオ間55キロ)、海底トンネル(大連など))など各地で行われてきたが、経済を回復させる起爆剤にはなっていない。
それは、
1、新コロナ下での経済活動の停滞からの回復遅れ
2、米中貿易戦争下におけるI中国T産業の拡大の限界+欧米経済がインフレ退治を優先しての金利高により、輸入増加には限界がある。
米国の中国に対するIT企業向け輸出規制は若年労働者における20%超えの失業率としても表面化してきている)
4、 中国のGDPはリーマンショック直後の2009年から2022年にはその3.5倍に拡大しており、大規模公共投資によっても起爆剤としては限界があること。
5、 軍事力強化の兵器の増強は、一過性のものであり再生産されず、公共投資としての役割には限界がある。
スクロール→
中国GDP |
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|
億元 |
億ドル |
2009年 |
347,650 |
50,889 |
(2012年) |
539,039 |
85.395 |
2022年 |
1,219,410 |
181,000 |
増加規模 |
3.50倍 |
3.55倍 |
・中国政府当局とIMF発表値 |
2022年4~5月は上海新コロナロックダウン等で大幅な輸出入遅滞が発生し、その後もロックダウンは広東省などの工場地帯へ波及していた。
それほど落ち込んだ2022年の上半期だったが、2023年の上半期の輸出はそれほどの増加を見ていない。
世界経済は2021年の米バイデン大統領発のインフレとその後の退治政策、バイデン大統領の独り相撲に世界中の国の経済が狂乱させられている。
インフレは、欧米では金利を上昇させ、経済を悪化させて物価上昇を押さえ込む政策により経済が低迷し、中国からの輸入も低迷している。
中国貿易制裁は米国が主導しているが、欧州は米国と異なり、その障壁は低い。日本は対中強硬政策・それもエスカレートしている米国に100%追随しており、その影響は貿易面で次第に大きくなってきている。
スクロール→
中国の貿易 /10億ドル |
|||
|
輸出 |
輸入 |
収支 |
22/6. |
328.05 |
228.01 |
100.04 |
22/7. |
332.29 |
230.68 |
101.61 |
22/8. |
314.86 |
229.64 |
85.22 |
22/9. |
321.46 |
233.99 |
87.47 |
22/10. |
297.94 |
237.31 |
60.63 |
22/11. |
294.98 |
213.12 |
81.86 |
22/12. |
305.56 |
226.25 |
79.31 |
22年計 |
3,593.60 |
2,716.00 |
877.60 |
前年比 |
7.0% |
1.1% |
|
23/1. |
287.23 |
193.39 |
93.84 |
23/2. |
210.33 |
197.31 |
13.02 |
23/3. |
305.04 |
226.91 |
78.13 |
23/4. |
291.67 |
204.85 |
86.82 |
23/5. |
283.73 |
217.33 |
66.40 |
23/6. |
285.29 |
214.57 |
70.72 |
23/7. |
281.73 |
201.16 |
80.57 |
2023年 億元ベース |
|||
1~7月 |
134,700 |
100,800 |
33,900 |
前年比 |
0.4% |
1.1% |
|
・対元円は19.5円 |
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2023年 中国の自動車輸出台数 |
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1~6月 |
214万台 |
輸出大国に躍進 95%増 |
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日本車の輸出台数は同期間202万台 |
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中国のリチウム電池の輸出/億元 |
|||
1~3月 |
1,097 |
94.3%増 |
|
輸出先 |
米・独・韓・蘭・越南 |
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中国のソーラー発電の輸出/億元 |
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ウェハ |
セル |
モジュール |
機器など |
1~6月 |
2,000 |
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