アイコン 中国財政の根幹 土地収入▲22%減 バブル崩壊 内外需+政治とも四面楚歌


中国は全土が国有地、政府が使用権を販売している。その使用権が中国の地方財政を支えているが、禁断の3期目を狙い打ち出した習近平政権の「共同富裕論」、住宅価格が高過ぎるとして短絡的に、金融機関に対して不動産会社に対する融資を自己資本率で規制させた。その結果、融資を受けられず、建築中断マンションが続出、購入者や不動産会社の社債を購入した国民が悲鳴を上げている。

昨年は、一昨年春までに中小の多くの不動産開発会社が破たんしている。民間最大手の総合不動産会社の恒大も2021年7月に窮地に陥り、その解決策が図られないまま、住宅開発で最大手の碧桂園も2023年8月にドル建債の利払いができず危機に直面、不動産開発会社の経営危機に対する根本的な問題が何一つ解決を見ていない状況が続いている。

※中国の住宅販売はモデル時販売で総額支払いとなる。ほとんどの販売で銀行ローンが組まれる。今回の建築中断問題は数十万戸に達し、購入者は住宅が完成しないまま銀行ローンを支払うことになる。こうした問題をすべて正常に戻すには、不動産会社に対する融資規制を一時的にも完全撤廃し復元させるしかないのだが・・・。

 

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不動産の購入規制は大都市から順次、取り払われているが、購入回復にはまだ程遠い。問題は、購入者側ではなく、供給側にある単純な構図を認めず、権威主義の共産党らしく修正しようとしないところにある。そのため民間の不動産会社の多くがデフォルトの危機に陥っている。昨年まで碧桂園は民間デベロッパーの優等生に位置づけされていた。

中国政府の8月の土地販売収入は20ヶ月連続で減少した。債務問題が深刻化する中、地方政府の財政を一段と圧迫する。
政府土地販売収入は、中国財政省が15日に発表した統計に基づくロイターの計算で前年比▲22.2%減少。前月は▲10.1%減だった。
1~8月は前年比▲19.6%減の2兆7100億元(約3728億2000万ドル/約55兆円)。

地方政府自身が多くの開発を主体的に行ってきており、長年の過剰なインフラ投資と土地販売収入の急減を受け、地方政府の負債は拡大、中国経済と財政の安定に大きなリスクをもたらしている。いまや公共投資どころではなくなっている。
以上、ロイター参照

もしも、このまま中国景気が回復すれば、不動産業界も活況を取り戻すことだろうが、不動産会社に対する融資規制をしたままでは民間業者は瀕死の状態のまま動けず、開発は国務院傘下の不動産会社と一部地方政府系の不動産会社に限られ、供給不足で住宅価格が暴騰する可能性があり、共同富裕論を吹き飛ばす危険性もある。

韓国では2017年から5年間でマンション価格が倍になったが、それは左派政権らしく再開発を厳しく規制したことから供給不足に陥り、需給バランスが崩れ暴騰したものだった。
習近平体制は、不正・腐敗追放を掲げ1期目に大成果を挙げ、反習勢力をことごとく追放してきた。2期目は国際公約の1国2制度を放棄し香港を政治支配し、ウイグル地区を収容所に化けさせ、台湾の武力侵攻を仄めかすなど米国に対しても直接的な軍事的なプレゼンスを強める動きに出るに至った。

3期目はその実力行使と思われたが、その前に共同富裕論における住宅問題が火を噴き、内需も新コロナロックダウン政策からウィズコロナ策に転じたものの、消費は不振で若年失業率が21%に達し、政府はもう発表すらしなくなった。
外需も米国経済は堅調ながら対中特別関税もあり伸びていない、また欧州経済はインフレ退治の高金利に低迷しており、購買力も落ちている。

8月の海外から資金流入状況
8月の海外からの資金流入額は1,230億元(約2.5兆円)でピークの半分、株価も下落している。再度の恒大問題から新たな碧桂園問題が生じ、海外勢は証券の売りに転じ、差し引き▲149億ドル(約2.1兆円)の流出となっている。

1~8月の固定資産投資の状況
1~8月までの国家固定資産投資(農村世帯を除く)は32兆7,042億元で、前年比3.2%増加した。
このうち製造業投資が増加した。5.9%増加し、1~7月までの伸び率よりも0.2%ポイント増加した。
1~8月までの民間固定資産投資は16兆9,479億元で、前年同期比▲0.7%減少した。
全体は昨年1~9月の5.9%から減少が続いている。

8月の新築住宅価格の状況
8月の新築住宅価格指数によると、前月比で下落したのは主要70都市のうち52都市。上昇は17都市、横ばいは1都市だった。北京や天津、広州、深圳も下落している。下落は全体の74%にあたる。下落都市は8月は3都市増加、昨年から増加し続けている。

再び不正も蔓延る?
表の顔の外相が更迭され、肝心の国防相まで行方不明になっている。
理由は不明だが、重慶市の張鴻星書記は自殺、また羅志軍氏は江蘇省元トップだったが自殺、同氏は共青団出身(胡錦濤前国家主席や李克強前首相の出身母体)だった。
習政権の鉾先が、反腐敗を口実に江沢民派を一掃し、3期目になり7奉行(チャイナセブン)を全員習派が占め、勢力を大幅に落とした共青団に向けられているようだ。
しかし、ここにきて、習派とされる外相や国防相の幹部たちが失脚し、そして国防相までが行方不明になっている。基盤がほとんど無かった習派がここ10年だけで巨大になり、習派内の内部抗争に発展している可能性もある。

こうして中国経済は、内外需に加え政治も含め四面楚歌状態となっている可能性が高い。
以上、ロイター、ブルームバーグ、中国国家統計局公表資料、ほか各紙参照

こうした国民の不満の矛先を習政権はフクシマに転嫁した可能性もある。

 


スクロール→

↓外需

昨年4月5月は上海ロックダウンで荷揚げが停滞し輸出入低迷。

中国・輸出入とPMI /中国税関ほか 前比は前年同月比

 

輸出/億㌦

輸入/億㌦

製造

非製造

米金利

 

輸出

前比

輸入

前比

PMI

21/10

2,995

26.9

2,147

31.4

49.2

49.2

0.25

21/11

3,247

21.7

2,530

19.5

50.1

48.0

0.25

21/12

3,401

20.9

2,464

20.9

50.3

52.7

0.25

22/1

3,266

23.9

2,442

11.7

50.1

51.1

0.25

22/2

2,169

6.0

1,891

0.7

50.2

51.6

0.25

22/3

2,753

14.4

2,306

0.2

49.5

48.4

0.50

22/4

2,726

3.5

2,230

3.9

47.4

41.9

0.50

22/5

3,066

16.3

2,290

0.7

49.6

47.8

1.00

22/6

3,299

17.4

2,325

2.1

50.2

54.7

1.75

22/7

3,326

17.8

2,312

0.3

49.0

53.8

2.50

22/8

3,148

7.1

2,355

0.3

49.4

52.6

2.50

22/9

3,327

5.7

2,380

-0.7

50.1

50.6

3.25

22/10

2,983

-0.3

2,132

-0.7

49.2

48.7

3.25

22/11

2,950

-8.8

2,262

-10.6

48.0

46.7

4.00

22/12

3,056

-10.1

2,280

-7.5

47.0

41.6

4.50

23/1

2,922

-10.5

1,922

-21.3

50.1

54.4

4.50

23/2

2,103

-3.0

1,973

4.3

52.6

56.3

4.75

23/3

3,050

10.8

2,269

-1.6

51.9

58.2

5.00

23/4

2,916

7.0

2,048

-8.2

49.2

56.4

5.00

23/5

2,837

-7.5

2,173

-5.1

 

 

5.25

23/6

2,852

-13.5

2,145

-7.7

 

 

5.25

23/7

2,817

-15.3

2,011

-13.0

49.2

51.5

5.50

23/8

2,848

-9.5

2,165

-8.1

51.0

51.0

5.50

 

↓内需・小売額(年額)

中国

小売額

住宅価格

住宅着工

 

前年比

指数・月間

万㎡

22/7.

 

 

80,000

22/8.

 

-0.3

90,000

22/9.

2.5

-0.2

100,000

22/10.

-0.5

-0.3

110,000

22/11.

-5.9

-0.2

115,000

22/12.

-1.8

-0.2

120,000

23/1.

3.5

0.1

0

23/2.

3.5

0.3

17,000

23/3.

10.6

0.5

22,000

23/4.

18.4

0.4

35,000

23/5.

12.7

0.1

40,000

23/6.

3.1

0.0

50,000

23/7.

2.5

-0.2

59,000

23/8.

4.6

 

 

 

[ 2023年9月16日 ]

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