アイコン EU 中国の安価なEV輸出 調査方針打ち出す


中国は今年、輸出台数がこれまで日本が最大であった自動車の輸出台数を抜き、世界最大に輸出国となることが確実視されている。来年からは飛躍的にその差を拡大させるものと見られる。
ドイツで開催のモーターショーでは中国勢のEVで埋め尽くされていたという。ただ、EUが公平な競争の視点から調査に入るという。

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は9月13日、フランス・ストラスブールの欧州議会で今後1年の施政方針について演説し、「補助金により域内の公平な競争が阻害されているとして中国の電気自動車(EV)について調査する方針」を明らかにした。

中国がEVに巨額の補助金を支出しているとの調査結果が出れば、中国製EVに相殺関税が課される可能性がある。

フォンデアライエン氏は対中関係について、サプライチェーン(供給網)などの依存リスクを低減する「デリスク(リスク回避)」が必要だと強調。一方で「デカップリング(経済切り離し)」は目指さないとした。
欧州の太陽光発電産業が多額の補助金を受ける中国企業との競争にさらされ、先駆的な企業が倒産を強いられたと指摘。「世界市場には安価な中国製EVが氾濫している。その価格は巨額の国家補助金によって人為的に低く抑えられている」と批判した。
以上、

 

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ドイツのQセルズはソーラー発電事業でかつて世界一(2006~8年))であったが、欧州市場をことごとく中国勢が侵食し、Qセルズは淘汰され、韓国の兵器産業の韓火が購入し、現在ではハンファQセルズとして韓国企業となり、米国などでの販売を強化している。

Qセルズが淘汰されたことにより、Qセルズの欧州のサプライチェーンも淘汰され、リーディングカンパニーが破綻すれば、産業体系が崩壊することをも意味する。
欧州各国が補助金まで出してソーラー発電を推進したものの、日本同様、中国勢の食い物にされた経緯がある。
経済は原則、相互主義であるべきだが、中国は政治と企業のかかわりが特に強く、見えないところが山のようにある。
ドイツの屋台骨さえ食ってしまう中国、欧州国は米国から忠告を受け、中国企業による最先端企業の買収については国の認可を必要にすることになり、中国の先進国の最先端企業の買収は大幅に減少した。

しかし、それまでに最先端企業を買収して技術を手に入れてきた中国は、これまで大躍進を遂げてきた。
米国が中国に対してはっきり買収規制をかけたのはトランプ時代であり、それまで企業買収のほか、米国の中国人研究者なども大量帰国、米国人学者さえ買収して千人計画を遂行し、世界の先進国から大量の最先端技術の取得と研究を手に入れた。
米国ではこうした人材流出についてはスパイ罪を適用して事前摘発に動いている。・・・こうした動きはオバマ政権末期からであり、オバマ政権がリーマンショックから蘇えさせたのは、シェールオイルのエネルギー革命であり、また中国を安価な商品の供給基地にしたことにあった。その代償が現在いろいろな問題を引き起こしている。

中国は世界の鉄鋼の半分を製造している。今やすべての産業は中国製品が基盤となっている。世界一の産炭量、その消費量は輸入するほど増加し続けている。
その使用目的は電力、多くの鉱物資源は自国石炭で安価に発電した電炉で生産されている。
鉄鋼は、鉄鉱石を石炭を燃やした溶鉱炉で生産する。それを享受しているのが世界ということになる。
その生態系はいまや崩すことはできなくなるどころ、先進国の産業基盤を喰う動きとなっている。

米国はChipa法やIRA法で実質、半導体やEVで中国勢を排除する動きにあるが、EV用のバッテリー材料の60%以上が中国製で、韓国が中国から輸入、加工して米国に輸出、米国で最終製品化されている。米韓はFTA国であり、中国産だろうが韓国で加工すれば韓国産となり、問題はない。現実は中国産の材料を使用しなければ、EV用バッテリーは生産できないのが世界の実態でもある。
米国のリチウムですら長年、その鉱石を中国へ売却し、中国の安価な電力でメタルを抽出し、製品化され、そのリチウムを米国ですら購入している。
ただ、中国のバッテリー勢も韓国勢の3元系のリチウムイオンバッテリーだけではなく、独自に進化させ400キロ以上走行できるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを開発している。
3元系のニッケルやコバルトは高額材料、リン酸系はフリーであることから3元系より2~3割安価で火災リスクも大幅に低減される。すでにベンツなども一部取り入れられている。

中国勢の車両が安価だとしてもそうした開発努力も行っている。EVの車両代に占めるバッテリー価格の比率は25~40%と高価。走行距離を伸ばすには多くのEV用電池を搭載すればよいが、車両価格で当然高くなる。

そうした価格に政府が輸出奨励金を秘密裏に出していたら、向かうところ敵なしだろう。インフレ退治の高金利に欧州経済は停滞しているが、自動車に限っては新コロナ消費低迷の反動、半導体不足による自動車供給不足の反動から販売好調であり、中国は新たにEV輸出で輸出額を増加させ、国内経済の低迷を乗り切るつもりなのだろう。

日本はリチウムイオン電池の量産化に世界ではじめて成功したものの、商才なくすべてにおいて淘汰され、面影すらない。

 

[ 2023年9月14日 ]

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