アイコン 韓国「インターバッテリー2024」開催 LFPに対抗できるのか バッテリー材料相場推移


<中国EV用バッテリーの台頭>
中国勢はリン酸鉄リチウム二次電池(LFP)の開発を行い、中国政府も2013年から新エネ車に対する補助金行政を開始、まずはバスなど大型車からスタートしていた。

2016年になると安全性の問題から韓国勢の3元系バッテリー搭載車に対する補助金を適用除外(2017年のTHAAD問題が根底にあるとされたが、外国勢のバッテリーはほとんど適用除外された)。

EV乗用車の販売が本格化するのは2016年からであった。
中国勢のバッテリーの主流はLFP系で、問題は1回充電の走行距離にあった。政府は補助金を2019年から順次減らす方針を公表していた。
しかし、景気との関係もあり、政府は補助金を続ける代わりに走行距離を250キロ以上に限定した。それまで150キロあまりであり、大幅な走行距離増であった。
基本はバッテリーを多く搭載すれば走行距離を伸ばすことができるが、今度は価格が高くなり、購入者が限定されることになる。それも政府補助金は減額しての補助となっていた。

 

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中国勢は2020年までにそれまで250キロのLFP電池の製造設計を変えることで400キロ以上に伸ばすことに成功し、2021年から市場投入した。
ここで、3元系とLFPは走行距離では遜色ないものとなった(但し瞬発力に差)。今ではLFP搭載車でも600キロ以上の走行距離車も販売されている。2021年からベンツのE普及車=大衆車向けにもCATL製が採用されている。

現在、EV販売が世界的にその販売伸び率を落とし、EV2大メーカーの(BYDとテスラ)は値引き販売で販売台数増をはかる事態、大幅に販売利益率を落としている。(気になるのは米国でEV中古車価格が暴落していること。レンタカー大手も採用したばかりの2万台のEVをニーズが少ないことから、充電がいらないHVに切り替えるという)

原因は、補助金を持ってしても車両価格が高いこと、金持ちの環境派と初物食いの客層に一巡したことがあげられるほか、充電時間、充電スタンドの未整備問題などがある。
価格が高い主要因は、欧米で主を占めている韓国勢の3元系バッテリーにあり、中国勢のLFPより2~3割高い。それはLFPが高価なニッケルとコバルトを使用しないことにある。

バッテリー価格は車両販売価格の25%~40%(搭載量と販売価格帯により変化)、
バッテリー価格に占める材料費の比率は80%前後、

<GM、バッテリー価格を半減させると主張>
米国が関税と貿易障壁により中国勢のバッテリーをパージしており、
GMが2025年までにバッテリー価格を半減させるとしているが、米国自身がリチウム含有鉱石を中国企業へ売却して中国の安価な石炭火力でリチウムメタルを抽出生産されている現実からしても不可能に近い。
ただ、GMはバッテリー業界の巨人CATL (中国)のLFP電池の製造ライセンスを取得し、ミシガン州で専用工場建設中。GMはそれまでLGと組み米各地に工場建設に当たっていた。

GMがLFP搭載車で補助金を受けるようになれば、大幅に販売価格を下げることは可能となる。米市場ではゲームチェンジャーになる可能性がある。

また、2027年には搭載される予定の全固体電池、走行距離・充電時間・安全性で3元系やLFPを凌駕し、補助金対象外の高級車への搭載が予想されている(搭載水準の全固体電池はまだ開発されていない。歩留まり問題がある)。価格を下げられれば真のゲームチェンジャーとなりうる。

<韓国・「インターバッテリー2024」開催>
こうした中、韓国最大のバッテリー展示会である「(第12回)インターバッテリー2024」が3月6日、ソウル江南区のコエックス(COEX)で開幕、8日まで開催される。

今回は過去最大規模の世界18ヶ国から579社のバッテリー関係会社が参加し、1896ブースを設け、約7万5000人が訪れると予想される。昨年は6万人余りだった。

「インターバッテリー2024」では、バッテリー原材料から材料や、装備・システム、バッテリー製造と再使用・リサイクルまでバッテリー産業全体のバリューチェーン別の新製品と新技術が展示されている。

<Kバッテリー3社>
1、LGエネルギーソリューションは、開発したポーチ型セルトゥーパック(Cell to Pack・CTP)技術とIT機器用のミッドニッケル小型ポーチセルなどを初めて公開した。
  ミッドニッケルピュアNCM(ニッケル·コバルト・マンガン)バッテリー」(Mid Nickel Pure NCM)

2、サムスンSDIは、「サムスンバッテリーボックス」(SBB)を紹介、また「夢のバッテリー」と呼ばれる全固体バッテリー(ASB)量産準備ロードマップを初めて公開し、9分で80%まで充電が可能な超急速充電技術を発表。

3、SKオンは、アドバンスド SF(Advanced SF(Super Fast・急速充電)バッテリーと急速充電時間を18分から15分に短縮したSF+バッテリーなどを披露している。

 鉄鋼最大手のポスコは、ポスコホールディングスの主導でグループレベルで展示会に参加し、二次電池材料関連の「フルバリューチェーン」を展示している。
 以上、

韓国勢は既存製品の改良はとことん追及・進めるが、革新的な新製品開発は苦手のようだ。

<韓国勢のLFP開発進まず>
2021年当時、中国勢の新LFPを見て、韓国勢は挙って400キロ新LFPの開発に入るとしたが、2024年、いまだ何も発表されていない。
やはり、基礎研究の限界なのかもしれない。中国勢は国家挙げての開発と市場急拡大で企業に開発原資(資本も研究成果)が蓄積され続けており、技術面でもすでに市場を凌駕し始めている。

<トランプ事態の再来の可能性>
2017年1月、パリ協定から離脱の過去。
2025年1月、トランプ政権が再登場すれば、EV補助金もどうなるかもわからず、パリ協定から再離脱する可能性もあり、米国で工場建設や生産拡大し続ける韓国勢(合弁含む)のバッテリーも蓋を開けるまで多くの不安要素を抱えている。
現状、リスクがありすぎる。

(筆者の見解:急激なるEV普及はバッテリー材料や銅の生産に大量の石炭火力や石炭発電力を要し、地球環境を急激に悪化させることから、計画的な導入が必要だとする考え。世界最大の石炭産出国の中国、生産量を増加しても足りず、輸入までしてレアメタル生産の火力・電力に利用している。オーストラリア産リチウムの実態は、中国企業がリチウム含有鉱石の97%を購入し、中国へ運び込み中国でレアメタル化している。3元系に必要なコバルト、圧倒的シェアのアフリカ中央コンゴ産も中国企業が採掘して中国でレアメタル化している。銅はEVではモーターに大量に使用され、これまでの車両より3倍以上必要とし、リサイクルで充当されるのは耐用年数からして2035年という。自動車の銅使用量は2030年まで拡大し続ける。中南海の習近平氏は鼻毛はすぐ伸びることからゾーリンゲンを使用中だとさ)

2017年当時(1元:16.5円)
BYDの「E6」電動SUV「E6」を購入した場合、
車両販売価格は20.88万元(約345万円)
中央政府からの補助が5.5万元(約91万円)、
北京市政府(地方政府)からの補助が5.5万元(約91万円)、
補助金合計は11万元(約182万円)、
消費者購入負担金は9.88万元(約163万円)
+自動車取得税免除、
+ナンバープレート優先付与
という豪華恩典があった。
搭載バッテリーはLFPでまだ1回充電の走行距離は短かかった。

↓BYD-E6

0307_01.jpg

 

↓EV関連材料の相場推移と新コロナ前と現在比較


スクロール→

商品国際相場 シカゴ取引所など

 

アルミ

リチウム

ニッケル

コバルト

ネオジム

単位

USD

USD

CNY/t 

USD

USD

CNY/

月末

Lbs

×千

×千

19/12.

1,807

2.796

49

13,950

32,750

362

20/12.

2,003

3.549

46

16,553

32,190

622

21.12.

2,818

4.393

468

20,880

70,500

1,110

22.12.

2,378

3.805

519

29,866

51,955

955

23.12.

2,384

3,880

96

16,375

29,135

555

24/1.

2,280

3.906

95

16,013

29,135

505

24/2.

2,228

3.834

101

17,669

28,550

475

24/3/6

2,224

3.864

108

17,525

28,550

462

19/12

23.1%

38.2%

120.4%

25.6%

-12.8%

27.6%

・相場はかなりこなれてきたものの、日本は36%超円安で高止まり。

 

[ 2024年3月 7日 ]

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