中国政府 景気回復4大政策 株価大きく反応したが・・・
中国政府は9月24日、不振の経済に対する景気刺激策として、大規模金融緩和に動いた。また、内需不振の元凶となっている不動産開発事業にもメスを入れ、滞留不動産を完成させ、引渡しを本格化させるとし、新規購入も住宅ローンの引き下、頭金比率の減額(減率)を発表している。
中国政府は、これまで数多くの不動産対策を地方政府任せでチンタラやってきたが効果は限定され、消費不況・内需不振に飲み込まれてきた。今回は総合的で本格的な対策となっている。
1、いっそうの金融緩和 預金準備率引き下げ20兆円供給
中国当局は9月24日、総合景気刺激策に預金準備率を引き下げ市場に資金供給する。
これには、金利引き下げや市中銀行の預金準備率の引き下げにより、巨額の株式流動性支援、不動産価格の長期下落を終わらせるとのメッセージが含まれている。
中国政府は9月24日、預金準備率を0.5%ポイント下げて、市場に計1兆人民元(約20.4兆円)の流動性を供給することにした。
金融機関の加重平均の預金準備率は約7.0%から約6.6%になる。
さらに、動向しだいでは、年内に追加して25~50ベーシスポイントまで柔軟に引き下げる可能性も示唆した。
また、銀行の強化策として中国の主要銀行(6大商業銀行)の資本を増強するとしている。
2、「ホワイトリスト」建設途上マンション400万戸に資金供給
中国国家金融監督総局の李雲沢局長は9月24日、国務院新聞弁公室での記者会見で、都市不動産融資調整メカニズムの進展として、商業銀行が審査した「ホワイトリスト」プロジェクトは、5700件以上で、承認された融資額は1兆4300億元(約29兆円)に達し、400万戸以上の住宅が予定通り引き渡される見込みだと述べた。
(国務院は直接傘下に不動産開発会社を何社も有しており、これまでに不振に陥った不動産開発会社の建設途上で完成間近かの物件を購入して完成させ引渡ししたりしている)
3、マンションがいっそう買い安く ローン金利・頭金率引き下げ
中国当局は、商業銀行での既存の住宅ローン金利を新規融資金利近くまで引き下げるよう誘導する。平均引き下げ幅は約0.5%となる見通し(引き下げ金利分が消費に回る算段)。
また、1軒目と2軒目の住宅ローンの最低頭金比率を統一し、全国一律で2軒目の住宅ローンの最低頭金比率を現行の25%から15%に引き下げる。
不動産価格はこれまでに大きく下げ値ごろ感もあり、国慶節期間(10月1~7日の休暇)中に販売が好調に推移したと中国では報じられている。
4、株価刺激策
証券会社・ファンド・保険会社による株式買い付けのため、5000億人民元(約10兆円)のスワッププログラムを始動させる。
必要に応じて2回の追加的な流動性供給ラウンドを実施し、支援総額を1.5兆人民元(約30兆円)に引き上げる
中国発改委は、2025年の予算の一部は今年のプロジェクト支援に充てられるとしている。地方政府を支援するため、来年の中央政府予算から1000億元(141億2000万ドル/約2兆円)を支出し、さらに今年末までに1000億元を主要な投資プロジェクトに充てると表明している。
中国政府はこれまでに何度ともなく対策を練り、実施は地方政府任せにしてきたが、地方政府はピンキリ、多くの巨額開発プロジェクト案件を腐らせている地方政府も多く、地方政府にインフラを任せてはさらに財政だけが悪化する可能性が高い。
最近では、中央政府は地方政府のインフラ投資に慎重になり、許認可規制し、厳しくしているが、よほどの失策がない限り、中央政府の監視の目は緩い。
発改委劉副主任は、今年の政府投資6兆元(約120兆円)の大部分は特定プロジェクトに割り当てられ、9月までに発行された地方政府特別債の90%がプロジェクト建設に使用されたとしている。
地方政府に対してインフラ投資用に資金調達を緩めても、地方政府は、多くの腐れプロジェクトを動き出させたり、中央政府も把握していない地方政府主導の第3セクターの(経営が痛んでいる)不動産開発会社に資金が流れ、真のインフラ投資にまわされないとの見方もある。
9月24日に発表された中国の総合経済対策により株価は上昇、上海総合株価指数は9月30日までに21%上昇(9/23日比)し、国慶節明けの8日も5%あまり上昇している。今後も上昇が続けば、日本へ投資している外資の投機資金が中国へシフトを変え、中国の株価を急上昇する可能性もある。最近の高値は2021年12月の3,627ポイント、まずはこれをクリアすることが条件となろう。
ただ、上昇は限定的で上昇余地はこれから20%高と見ている慎重派もいる。
8日の中国株式市場は、上海総合指数は取引開始直後に11%急騰したが、1時間もしないうちに上げは半分以下に縮小した。香港ハンセン指数は小さな下げがすぐに10%の急落となり、2008年のリーマンショック来の最悪のパフォーマンスとなった。両市場の取引高は過去最高を記録、証券会社では注文が殺到し、一時取引アプリがフリーズするほど熱狂相場となっている。
ただ、前回急騰相場から9年を経過しており、熱狂が続くかどうか不明な点が多い。
株は夢で買い現実で売るもの、それぞれの景気指数に早期に反映されてくる。
スクロール→
上海総合指数 |
深セン成分 |
香港 |
|||
2024年 |
指数 |
前日比 |
備考 |
指数 |
ハンセン指数 |
9/23. |
2,748 |
|
|
8,083 |
18,247 |
9/24. |
2,863 |
4.20% |
景気対策発表 |
8,435 |
19,000 |
9/25. |
2,896 |
1.20% |
|
8,537 |
19,129 |
9/26. |
3,000 |
3.60% |
|
8,916 |
19,924 |
9/27. |
3,087 |
2.90% |
|
9,514 |
20,632 |
9/30. |
3,336 |
8.10% |
|
10,529 |
21,133 |
10/2. |
国慶節で10/1~7日までお休み |
22,443 |
|||
10/3. |
22,113 |
||||
10/4. |
22,737 |
||||
10/7. |
23,099 |
||||
10/8. |
3,489 |
4.59% |
|
11,495 |
20,926 |
|
9/23比 |
26.9% |
|
42.2% |
14.6% |
↓過去最高 |
|
|
|||
2007/10. |
5,824 |
|
リーマン景気 |
|
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2015/6. |
4,798 |
|
証券ミニバブル |
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