絶好調の韓国造船業の実態 やっと利益が付いてきた
韓国は新コロナ前後、大型コンテナ船や箱型LNG船を大量受注し、現在書き入れ時になっている。しかし、現実は利益が出ず難儀もしている。
韓国勢は現在、3~4年分の受注残を抱え、今、受注しても納期は2028年になるという。
この間、新コロナパンデミックで港湾の荷卸が滞留し船舶不足に陥り、船舶が大量発注された。韓国勢はこれを受け、新コロナにより今後経済は悪化する予測し、安価に取り捲った。
また、LNG船は駆るから大量受注していたものの、22年3月の露制裁により欧州向けのLNG船が大量に必要となり、現在では、これまでなかった米国産LNGが大量に欧州へ輸出されている。一方で船舶の大型化も進んでおり、韓国勢は大量に受注残を残している。
こうして受注したものの、建造時期になると資源高で鋼板価格が高騰し、逆ザヤとなってしまった。また、昨年には、ベトナムからの技術者が斡旋業者による経験経歴不正でベトナム当局が業務をストップ、その間約半年工期遅れや国内労働者を高給で採用して凌ぎ、採算性の悪化をもたらし、前期は赤字決算が相次いだ。
鋼板価格は一時高騰したものの現在は落ち着き、ベトナム労働者も昨年11月までには解決し、今、6月までの上半期は2社が利益を計上している。
鋼板は電炉で生産され電力源は石炭、石炭価格も上昇していたことから、原材料費の高騰で鋼板価格も高騰、しかし、世界の粗鋼の55%あまりを生産する中国、内需が低迷し、外需も外国政府が中国のダンピング輸出を恐れて警戒、中国産はFTA締結国の韓国へ流れ込んだ。鋼板も造船用に流れ込み、国内企業のポスコと現代製鉄は韓国の需要も低迷する中、造船市場まで中国勢に荒らされ、利益率を落としている。
船舶に占める鋼板コストは船舶価格の15%、中国勢に4%あまり韓国の造船鋼板市場を奪われたという。鋼板需要の8割が造船。
韓国の中国産厚板輸入は、2021年は31.2万トン、23年は112万トンに増えている。韓国勢より1~2割安い。
業界関係者は、中国の鉄鋼輸出量は2024年1億トンを超える見通しだといい、2020年の5千万トンの2倍になるダンピング輸出振り。
米国は、韓国やメキシコから輸入について、中国産を一部加工して米国へ輸出するダミー輸出=中国産品の迂回輸出について、ここ2年広範囲に調査している。(米国は韓国もメキシコともFTA締結国、中国品の輸入関税は25%、自動車は100%)
(中韓はFTAを2015年末に締結、安価な鉄骨が韓国へ大量流入、韓国当局は輸入を制限した。そうしたところほかの鋼材が大量流入、韓国政府は再び輸入制限しようとしたところ、中国当局から「報復するぞぉ」と脅され、それ以降、韓国政府は、中国製鋼材の輸入については何も言えなくなっている。)
韓国の造船会社は鋼材価格についてはメーカーと年2回、価格の話し合いを行い決定している。今、下半期に造船会社が利益を急回復させない限り、韓国勢はリーマンショック後のダンピング受注(2015年前後に3社とも膨大な赤字を出し銀行管理下となった経緯がある)を2020年の新コロナ事態で再び再現していたようだ。
リーマンショック後は韓国勢3社間でダンピング受注競争を繰り広げたが、新コロナ後は韓国勢3社に中国勢も入っている。
インフレ退治の高金利に資源高も落ちつき、金利はピークアウトして下げにかかっおり、経済は今後好転することになる。中国も景気の梃入れ策で預金準備率を引き下げ大幅な金融緩和策をとっており、欧米中の景気が回復してくる可能性が高くなってきている。
連れて、物流量は増加し、船舶のニーズは高くなり、今後、運賃は上昇、船舶の造船価格も上昇することは明確ではないだろうか。
造船・海運市況分析機関の英クラークソン・リサーチによると、
新造船価指数は187.78で2024年に最高値を更新。歴代最高の好況期だった2008年9月の191に近づいている。当時のバルチック海運指数は11000ポイントを超えていたが2024年9月は2028ポイントであり、先行きの経済の読み込みが難しくなっているようだ。
韓国勢、受注絶好調だが、今年、海運会社の発注量は減少
英クラークソン・リサーチの今年2月の資料では、全世界の受注残量=手持ち工事残量は1億2,588万CGT(4,598隻/1隻平均2.73CGT)。
うち、中国が6,223万CGT(シェア49.4%/2,532隻/平均2.45CGT)、韓国は3861万CGT(30.6%/721隻/平均5.35CGT)、日本は1,259CGT(1.0%/633隻/平均1.98CGT)。
韓国勢が有利とする箱型のLNG船、高額で大型化しており、米国のウクライナ戦争の最大の戦利品である天然ガスの欧州市場参入と制覇、欧州への天然ガス供給先はパイプラインのロシアから米国(カタールも)へ大きく変わっており、米国のシェールガスをLNG化し欧州へ輸出されている。
TTFガス(欧州のLNG製天然ガス)の価格は、2019年12月は15.0(EUR/MWh)、22年8月には一時340ユーロまで暴騰、24年10月の現在は大幅に値下がったものの40.0ユーロとなっている。何か、ウクライナ戦争で将来にわたり戦利を獲得するのは、新たに欧州の天然ガス市場を獲得したアメリカ合衆国、ユダヤ財閥系原油メジャーのようだ。
(米国のシェールオイル・ガス生産会社をユダヤ財閥系の原油メジャーが何兆円も出し何社も買収している)
韓国勢は、カタール政府やLNG海運会社から大量にLNG船を受注している。価格も1隻当たり300億円前後まで上昇している
(箱型特許は仏社が有し、1隻当たり20億円あまりの特許使用料をボッタ喰られている)。
超大型コンテナ船も韓国勢が得意とし、個当たりの物流コストを抑えるため、世界の海運大手は超大型コンテナ船に入れ替えを進めてきた。
ただ、新コロナ事態で港湾滞留が長期間続き、一機に船舶不足に陥り、海運賃が高騰したが、2023年からウィズコロナ策に入り、港湾の滞留はなくなり、資源・物価高騰、インフレ退治の高金利から経済低迷、中国も不動産政策の失敗から経済低迷し、船腹が過剰状態に入り、大きく下がったが、海運リスク(露制裁・紅海攻撃・パナマ運河の水不足)が生じ、上昇過程にある。
イスラエルがイランの原油施設を攻撃すれば、イランはホルムズ海峡を封鎖することは必至、
カタールの海底天然ガス田は海底でイランと鉱区と重複しており、再び、原油価格の暴騰、天然ガス価格の暴騰も予想される。
連れて、船腹不足が生じ、さらにLNG船や原油タンカーの発注に繋がる可能性もある。
それでなくとも、経済低迷下の欧州や中国で経済が回復してくることから、船賃上昇、2023年減少した船舶発注も再び増加しているものと見られる。
スクロール→
|
韓国造船 2024年上半期 |
|||
|
/億ウォン |
|||
|
|
売上高 |
営業利益 |
営利率 |
|
HD現代 |
66,155 |
3,764 |
5.7% |
|
前期比 |
21.3% |
428.7% |
|
|
サムスン重 |
25,320 |
1,307 |
5.2% |
|
前期比 |
30.1% |
121.9% |
|
|
ハンファO |
25,361 |
-96 |
- |
|
前期比 |
21.3% |
|
|
|
2024年上半期 |
|||
|
ポスコ |
|
7,520 |
|
|
|
-43.0% |
|
|
|
現代製鉄 |
|
|
|
|
|
-79.0% |
|
|
|
|
|
|
|
|
韓国造船 2021年12月期決算 (注) |
|||
|
|
売上高 |
営業利益 |
営利率 |
|
HD現代 |
|
-13,848 |
|
|
前期比 |
|
|
|
|
サムスン重 |
|
-2,571 |
|
|
前期比 |
|
|
|
|
ハンファO |
|
-17,547 |
- |
|
前期比 |
|
|
|
|
2021年12月期決算 |
|||
|
ポスコ |
|
92,000 |
|
|
|
283.0% |
|
|
|
現代製鉄 |
|
24,475 |
|
|
|
|
|
|
|
/億ウォン |
22/12期 |
23/12期 |
||
|
売上高 |
前期比 |
売上高 |
前期比 |
|
|
HD韓国造船(現代重工G) |
173,020 |
11.7% |
|
|
|
営業利益 |
前期比 |
営業利益 |
前期比 |
|
|
-3,556 |
|
2,823 |
|
|
|
当期利益 |
前期比 |
当期利益 |
前期比 |
|
|
-2,952 |
|
1,449 |
|
|
|
サムスン重工 |
売上高 |
前期比 |
売上高 |
前期比 |
|
59,300 |
|
80,094 |
35.0% |
|
|
営業利益 |
前期比 |
営業利益 |
前期比 |
|
|
-8,544 |
|
2,333 |
|
|
|
当期利益 |
前期比 |
当期利益 |
前期比 |
|
|
-6,274 |
|
-1,556 |
|
|






