アイコン 中ロ共同飛行と日米B52訓練/「平和維持」名目の裏で進む、抑止の連鎖


中国外務省が「地域の平和と安定を維持する決意」と位置づけた中ロの共同飛行(12月9日深夜)は、言葉とは逆に、周辺国の警戒と対抗措置を呼び込みやすい性格を持つ。実際、直前の12月6日には、中国空母「遼寧」艦載機が公海上空で航空自衛隊F15に断続的なレーダー照射を行ったと防衛省が公表している。航空機の安全に直接関わる行為で、偶発的衝突のリスクを一段押し上げる類型だ。 

 

中国の「大げさに騒ぐな」は、抑止を試すメッセージになり得る

中国側は日本の反応を「大げさ」と牽制したが、この言い回しは“問題化させるな”という外交圧力として機能する。周辺国にとっては、危険行為の既成事実化(慣れ)を促すシグナルに映りやすい。結果として日本は、抗議だけでなく、同盟の即応性を見せる方向に傾きやすくなる。

 

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日米の共同飛行訓練は「対抗」ではなく「連鎖」の局面

12月10日に日本海上空で行われた日米共同飛行訓練は、米軍B52×2機と自衛隊F35・F15各3機が参加した。防衛省は即応態勢の確認と抑止力・対処力の強化を掲げる。中国・ロシアの活動とレーダー照射が重なる局面では、こうした“見える抑止”が選好されやすい。だが同時に、相手側の追加行動(さらに長距離の共同飛行、艦艇展開、接近飛行の増加)を誘発し、緊張の上塗りが続く構図も生まれる。

 

欧州視点では、中国が「ロシアと同じ側」に見えるコストが増える

欧州にとってロシアはウクライナ戦争を起点に安全保障上の“最重要リスク”であり、そのロシアと軍事的な共同行動を重ねる中国は、政治・世論の両面で「距離を置く対象」と映りやすい。中国が対欧関係で求める経済・技術面の協力(投資、先端技術、サプライチェーン)にとっては、マイナスの外部性が積み上がる。中国側が「平和維持」と説明しても、欧州は“抑止対象の拡大”として受け取るだろう。

 

最も大きいリスクは「意図」より「事故」

今回の焦点は、各国が何を意図したか以上に、接近飛行やレーダー照射が常態化した環境そのものだ。意思疎通の不足や誤認が起きれば、偶発事故が政治問題へ増幅される。

日本としては、抗議と抑止の両輪に加え、危険接近の回避ルールやホットライン、発生時の事実確認手順など“事故を政治危機にしない装置”をどこまで実務化できるかが、次の段階になる。

 

 

[ 2025年12月12日 ]
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