オムロン、創業の電子部品事業を売却へ 米カーライルに810億円で
オムロンは30日、リレーやスイッチ、センサーなどを手掛ける「デバイス&モジュールソリューションズ(DMS)ビジネス(以下、電子部品事業)」を、米投資ファンド大手のザ・カーライル・グループ(以下、カーライル)に売却すると発表した。譲渡事業価値は810億円。1933年の創業以来、同社の技術基盤を支えてきた「祖業」を切り離し、経営資源をFA(工場自動化)やヘルスケア事業へ集中させる「選択と集中」を加速させる。
新社名は「Aratas(アラタス)」、独立経営で成長加速へ
今回の取引では、まず2026年7月1日付で吸収分割を実施し、電子部品事業を子会社の「オムロンデバイス」に承継させる。その後、同年10月1日に同社株の全数をカーライル側へ譲渡する計画だ。
新会社は「Aratas(アラタス)」に社名を変更し、カーライルの資金力と経営ノウハウを活用して再出発を図る。なお、オムロンは譲渡先の親会社に5%を出資し、技術連携や顧客基盤の維持に向けた一定の関与を続ける方針だ。
「EVシフト」と競争激化、迫られた苦渋の決断
電子部品事業は、オムロンの創業者・立石一真氏が開発した「レントゲン写真撮影用タイマ」に端を発する、同社の象徴的な事業だ。長年、高い技術力を背景に安定した収益を上げてきたが、近年は劇的な環境変化に直面していた。
・中国勢の台頭: 電気自動車(EV)向け高容量リレー市場の拡大に伴い、中国などの新興メーカーが台頭。激しい価格競争に晒されていた。
・投資負担の増大: 次世代技術への対応には巨額の設備投資が必要となる一方、グループ全体の資本効率を高める観点から、自社単独での継続は困難と判断した。
市場は「前向きな改革」と評価、株価は大幅反発
この発表を受け、翌31日の東京株式市場ではオムロンの株価が大幅に反発した。一時は前日比190円高(+4.3%)の4608円まで値を上げ、市場関係者からは「長年の課題だった不採算・低成長部門の整理が進む」との好意的な見方が広がった。
今後は、売却によって得た資金を主力であるFA事業のソフトウェア開発やAI技術の強化、およびヘルスケア事業のM&Aなどに充てるものとみられる。





