アイコン パイオニア、台湾イノラックス傘下に "日本発ブランド"の次なるステージはどこへ


車載機器や音響機器で知られるパイオニアが、台湾のディスプレーメーカーイノラックス(Innolux)グループ傘下に入る。2025年内にも、イノラックス子会社であるCarUXホールディングが、欧州系ファンドEQTから全株式を取得する。譲渡額は1636億円(約337億台湾ドル)にのぼり、日本の名門メーカーがまた一つ、アジアの再編のうねりの中へと飲み込まれる構図だ。

 

カーナビの雄、アジア再編の主役へ

パイオニアはかつて、「カロッツェリア」ブランドで知られるカーエレクトロニクスの名門として、日本市場で圧倒的な存在感を誇った。だが、スマートフォンの台頭と国内需要の鈍化により事業は低迷。2019年には上場を廃止し、香港系ファンドBPEAの傘下に入った。さらに2022年には、スウェーデンのEQTがBPEAごと買収し、パイオニアの経営権を握っていた。

そして今回、EQTは次のパートナーとして、台湾の大手ディスプレーメーカーであるイノラックスの子会社CarUXを選んだ。CarUXは車載用ディスプレーに特化しており、世界の自動車メーカーに製品を供給している。パイオニアとの統合により、「統合型コックピット(Integrated Cockpit)」と呼ばれる、車内エンタメや情報システムのハード・ソフトを融合させた次世代領域での競争力強化を狙う。

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日本の技術は残るが、ブランドは誰のものか

注目すべきは、イノラックスがすでに日本のジャパンディスプレイ(JDI)と2024年12月に戦略提携を結んでいる点だ。JDIとCarUX、そして今回加わるパイオニアは、いずれも車載向けを重要戦略と位置づけており、日本のディスプレー技術やソフト開発力がアジア企業の枠組みで再統合されていく様相を呈している。

ただし、こうした動きは日本国内に複雑な印象を残す。パイオニアは日本発の技術ブランドとして世界に名を馳せてきたが、いまやその株式は外資によって売買される存在となった。今回の買収によって技術開発や雇用が国内で維持されるかは不透明であり、企業としての「日本性」は一段と薄れる可能性がある。

 

外資と歩む「次のステージ」

近年、日本のものづくり企業はグローバル競争の中で、外資の傘下に入ることで生き残りを図るケースが相次いでいる。東芝やシャープに続き、かつての名門が“アジア発”の企業グループに取り込まれていく構図は、新たな「地域産業再編」の時代を象徴しているともいえる。

しかし一方で、CarUXとの協業によって得られるグローバル市場へのアクセスや、次世代車載ソリューションでの成長余地も無視できない。「名門の終焉」か、それとも「再起の始まり」か――パイオニアの次なるステージが、アジア発の再編の中でどのような存在感を示せるかが問われている。

 

[ 2025年6月27日 ]
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