アイコン 第三者調査委 スルガ銀行の経営陣を断罪 賃貸物件着工戸数推移付き

 

 

高い収益性を誇り、「地銀の優等生」とも評価されてきたスルガ銀行の実態は、ガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令順守)を置き去りにした「架空のビジネスモデル」だったことが明らかになり、その存続さえ危ぶまれる事態に直面している。

自己資本比率は12%台を維持してきたが、貸倒引当金の規模が膨らめば、財務の健全性をき損しないかねない事態に追い込まれている。

創業家支配からの脱却を誓った新社長が、地元・静岡にも目配りしながら収益力あるビジネスモデルを築けるか。重い課題を突きつけられている。

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<自己資本比率「4%割れ」シナリオ>

「当社は単体自己資本比率が12.14%であり、十分な健全性を有している」

スルガ銀の新社長に就任した有国三知男氏は7日、記者会見の冒頭で財務健全性を強調した。自己資金や手元流動性も十分だと述べ、市場が抱く経営への懸念の払しょくを狙った。

しかし、投資用不動産への不適切な融資に対し、貸倒引当金をどこまで積み増すのか、見通しは示せていない。

有国社長は「中間決算に向けて自己査定中で、必要なら引当金を積み増す」と繰り返した。

同社の貸出金は3月末で3兆2500億円。このうち、投資用不動産向け融資は約2兆1000億円、と実に64.6%を占めている。

融資全体に対する貸倒引当金は6月末で870億円となり、3月末から88億円増えた。

6月末の自己資本は3282億円。

すべての不動産向け融資が問題となっているわけではないが、引当金がさらに嵩むようなことになれば、自己資本の毀損は免れない。

あるアナリストは、最終赤字2000億円ならば自己資本比率は最低限必要な4%を割り込むと試算している。

バーゼル規制の影響で、投資用不動産向け融資のリスクウエートが変わり、自己資本比率の分母にあたるリスク資産が1割程度膨らむとみられることも、比率低下に拍車をかけるという

 

<スルガ銀行を吸収合併の可能性>

スルガ銀行は、もしも自己資本率が3%台まで落ちれば、金融庁(整理回収機構などを使う)が直接経営に乗り出し、ある程度健全化させ、静岡銀行か清水銀行などへ吸収合併させることになる。

 

<ぶれるビジネスモデルの軸>

スルガ銀行は、金融庁からの評価も高かった。森信親・前長官は昨年5月の都内の講演で、地銀の持続可能なビジネスモデルについて語った際、他行に先駆けてニッチな分野を開拓し、収益を上げているスルガ銀行の名を挙げ、「(規模が)大きくなることが唯一の解決策ではない」と評価したこともある。

スルガ銀行の頓挫は、「フォアードルッキング(先を見越した)にビジネスモデルを検証する」と打ち出した「森・金融庁のモニタリング方針が機能していなかったのではないか」(銀行アナリスト)との批判さえ漏れる。

 

<第3者委ずばりの指摘>

不適切融資を検証した第三者委員会は、報告書の中で「他行がまったく採用していない経営手法というのは、逆に言えば採用しない理由もあることを示しており、そのリスクについてきちんと情報を収集した上、採否を議論すべき」と指摘し、ある意味、独自のビジネスモデルの確立を求める監督官庁の方向性にもクギを刺した格好となった。

有国社長は、問題の発火点となった不動産投資ローンについて「顧客の要望があれば、堅牢な社内体制を構築した上で真摯に対応したい」と述べ、引き続き取り組む姿勢を示した。

その一方で、「事業のポートフォリオを都市部に寄せすぎたと反省している。地元顧客も大切にしていきたい」と語り、地元静岡への回帰にも意欲を見せた。

静岡銀行、清水銀行、静岡中央銀行と競合がひしめく静岡県から、首都圏に活路を求め、個人向け融資中心のビジネスモデルを築き上げ、全国展開した創業家。「新しいローンを始め、他行が  

追随するころには別の収益源を探し、生き残ってきた」と評価する金融庁幹部もいる。

しかし、創業家が経営から退いた今、地元に回帰しながら信用を回復し、収益力を取り戻せるのか。財務健全性が揺らぐなか、自力での資本調達や、あるいは他行との合従連衡にまで発展するのか。スルガ銀を巡る問題は、第2幕に入ることになる。

以上、ロイター参照

 

国は2014年4月の消費税増税に伴う住宅着工戸数の減少を抑えようと、2015年1月相続税を改正し、税率をあげる一方、負債控除を適用、そのため資産家などにより賃貸物件の大々的な取得増加が生じた。・・・国策である。

しかし、2017年初め、増加し続ける賃貸マンションに対して金融庁は、賃貸物件に対する銀行融資が近い将来サブプライムローン化することを恐れ、実態を調べるため全国の銀行へ調査に入った。その調査そのものが、抑制策でもあった。

その余波はデベロッパーの家族向け分譲マンション開発用不動産購入にまで及び、融資がつかず、購入を断念するデベロッパーも現れるほどだった。

賃貸マンションの融資は、一棟買いの融資から、賃貸用の分譲マンションとして1Rなど個別販売される購入者に対しての融資、アパート購入ローンなどさまざまである。

スルガ銀行は、こうした開発デベロッパーの裏方になったものであり、景気の指標でもある住宅着工戸数の減少を大きく食い止めた功労者でもあった。

また、他行がセーブすれば金利がさらに高くとれ、同社の利益を押し上げていたというのは言うまでもない。それが、スルガ銀行のビジネスモデルそのものであった。

当然、こうした賃貸物件オーナー向けのデベロッパーは、提携している既存の金融機関では融資が降りない案件でも、スルガ銀行に案件を持っていけば、融資が付くという神様のような存在であった。

だが、すでに地域によっては賃貸物件が乱開発され、賃貸価格は下落、敷金0、更新手数料0という物件も多くなり、過剰感が現実のものになっていた。

スルガ銀行は、人口減少という大きな波に対して、銀行として、経営として、その融資姿勢には問題があった。

 

 

賃貸住宅物件着工戸数推移
 
着工戸数
前年比
シェア
2012年
318,521
11.4%
36.1%
2013年
356,263
11.8%
36.4%
2014年
353,438
-0.8%
40.6%
2015年
378,718
7.2%
41.6%
2016年
418,543
10.5%
43.3%
2017年
419,397
0.2%
43.5%
・シェアは総着工戸数に対する賃貸住宅の割合
12、13年は復興住宅による伸び。
住宅の着工は、住設機器や電化製品・家具など経済波及効果は非常に高い。
 

 

賃貸住宅着工戸数、年別月別推移
 
2016年
2017年
2018年
 
 
対前年
 
対前年
 
対前年
戸数
同月比
戸数
同月比
戸数
同月比
1
28,288
5.3
31,684
12.0
28,251
-10.8
2
28,871
12.5
30,842
6.8
29,420
-4.6
3
30,572
1.1
33,937
11.0
29,750
-12.3
1~3
87,731
6.0%
96,463
10.0%
87,421
-9.4%
4
35,504
16.0
36,194
1.9
35,447
-2.1
5
32,427
15.0
32,956
1.6
31,083
-5.7
6
36,910
3.7
35,967
-2.6
34,884
-3.0
4~6
104,841
11.0%
105,117
0.3%
101,414
-3.5%
7
37,745
11.1
36,365
-3.7
35,847
-1.4
8
36,784
9.9
34,968
-4.9
 
 
9
38,400
12.6
37,521
-2.3
 
 
7~9
112,929
11.2%
108,854
-3.6%
 
 
10
39,950
22.0
38,017
-4.8
 
 
11
38,617
15.3
37,508
-2.9
 
 
12
34,475
2.2
33,438
-3.0
 
 
10~12
113,042
13.0%
108,963
-3.6%
↓ 1~7月累計
年計
418,543
10.5%
419,397
0.2%
224,682
-5.6%
 
 

 

全国賃貸住宅着工戸数月別推移/国交省
 
2016年
2017年
2018年
 
 
対前年
 
対前年
 
対前年
戸数
同月比
戸数
同月比
戸数
同月比
1
28,288
5.3
31,684
12.0
28,251
-10.8
2
28,871
12.5
30,842
6.8
29,420
-4.6
3
30,572
1.1
33,937
11.0
29,750
-12.3
1~3
87,731
6.0%
96,463
10.0%
87,421
-9.4%
4
35,504
16.0
36,194
1.9
35,447
-2.1
5
32,427
15.0
32,956
1.6
31,083
-5.7
6
36,910
3.7
35,967
-2.6
34,884
-3.0
4~6
104,841
11.0%
105,117
0.3%
101,414
-3.5%
7
37,745
11.1
36,365
-3.7
35,847
-1.4
8
36,784
9.9
34,968
-4.9
 
 
9
38,400
12.6
37,521
-2.3
 
 
7~9
112,929
11.2%
108,854
-3.6%
 
 
10
39,950
22.0
38,017
-4.8
 
 
11
38,617
15.3
37,508
-2.9
 
 
12
34,475
2.2
33,438
-3.0
 
 
10~12
113,042
13.0%
108,963
-3.6%
↓1~7月
 
年計
418,543
10.5%
419,397
0.2%
224,682
-5.6%
 

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[ 2018年9月 8日 ]

 

 

 

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