アイコン 韓国 米練習機受注に失敗 1.8兆円規模、T-50A提案

 

 

韓国航空宇宙産業(KAI)は28日、米空軍の高等練習機更新事業=Advanced Pilot Training(APT事業/350機)の受注に失敗した。
米空軍は、ボーイング社およびサーブ社のコンソーシアムが提案した「Boeing T-X(BTX)/N381」をAPT事業の優先交渉対象者に選定、92億ドル(約1兆4百億円)の契約を承認したと発表した。
KAIは、ロッキード・マーチンと組みT-50A(T-50改良型)を163億ドル(約1兆85百億円)で提出していた。

今回の受注は、次の米海軍の後続機事業(約3.3兆円規模)、第3国への輸出市場開拓(約5兆円規模)などにも影響を及ぼし、最終規模は合計で10兆円まで拡大すると予想されていた。

T-50とは、KAIがロッキード・マーチンの技術を導入、F16を小型化した超音速練習機、主要部分のエンジンや電子システムはロッキード・マーチン製が導入され、KAIが元々韓国空軍向けに製造したもの(輸出や国外への移動は米国の同意が必要)。

KAIは、昨年8~9月、粉飾決算と不正で前副社長が自殺、前社長が逮捕され、今年2月にはシンガポール・エアショーでアクロバットチーム「ブラックイーグルス」のT-50機が離陸時出火・横転した事故、今年7月には海兵隊の上陸ヘリ「マリオン」墜落(欧エアバスヘリ技術導入機/スリオンの兄弟機)と問題が続いていた。

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<軍需企業の受注額減少と雇用問題>
KAIは現在、韓国型次世代戦闘機(KFX)事業、小型武装ヘリ(LHX)事業、偵察衛星事業を抱え、現在生産中の「スリオン」ヘリとFA-50軽攻撃機の製造を行っているだけで、軍需企業への発注額は減少している。しかも、南北融和の動きに、3軸体制(3K)構築も大きく揺らいでいる。
3軸体制(3K)
1、 弾道ミサイル発射の兆候を察知し、先制攻撃で破壊する「キルチェーン=Kill Chain」、
2、 ミサイルを上空で迎撃する韓国型ミサイル防衛「KAMD」、
3、 核攻撃をしてきた場合に北朝鮮指導部に対して大量報復攻撃を加える「KMPR」、金正恩に対する「斬首作戦」も含む(2017年12月1日、千人規模で斬首部隊創設)。
に関わる防衛装備品の開発もKAIや軍需企業にとって大きかったが、3K関係の兵器開発を遂行すれば、北朝鮮がクレームを付けることは必至、先般の3千トン潜水艦の進水でも大問題だとして北朝鮮紙が現状に逆行する動きだとして取り上げていた次第だ。

韓国側が受注失敗で騒いでいるのは、軍需企業の売上高が落ちており、大きな期待を寄せていた案件だったことと、雇用問題にも直結する案件だったことによる。数千人規模の新規雇用が見込まれていた。
韓国の10大軍需関連企業の防衛産業面における売上高は前年比▲16.0%減の9兆5827億ウォン(内需向け85%)だった。
KAIを筆頭にLIGネクスワン、現代ロテム、ハンファ・システム、大宇造船海洋、現代重工業、現代自動車などがある。

<これまでの主たる兵器輸出>
(金大中時代の)2001年にトルコに対して、K9自走砲300両と構成部品を10億ドルで供給契約(トルコ陸軍の基準に合わずトルコ型のT-155に変更)
(K9=戦車・155ミリ自走式榴弾砲/エンジン独MTU社製/トランスミッションは米GM社製/サスペンションは英HDS社製をそれぞれセイランス生産))

李明博政権下では
2008年には、トルコとK-2戦車のライセンス供与契約4億ドル(問題発生)
2011年にインドネシアに対して潜水艦を3隻(10億8千万ドル)、ジェット高等訓練機T-50(武装化したのがFA-50/ロッキード・マーチンの技術)を16機(4億ドル)、
2012年にはペルーに対し、訓練機で武装化可能なプロペラ機KT-1を20機(2億ドル)輸出。

朴槿恵政権下では、
2013年にイラクに対して軽攻撃機FA-50を24機(21億ドル)、
(イラク側の支払いも遅れ、納入機数も未達/粉飾で韓国司法当局の捜査対象項目となった)
2014年にフィリピンに対してFA-50を12機(4億2千万ドル)、
2014年にポーランドにK9を120門(3億1千万ドル)
2015年にタイに対してT-50を4機(1億1千万ドル)、
2017年にインドに対してK-9自走砲を100門(3億2千万ドル)、フィンランドに対してK-9を48門(1億5千万ドル)。

現在の文在寅政権下では、
2017年にタイに対してT-50を8機(2億6千万ドル)、ノルウェーに対してK-9を24門(2億2千万ドル)売却した。

<問題の多い韓国製の兵器>
性能検査で成績書偽造、部品不正と品質評価書偽造など、軍需産業でもこうしたことが日常茶飯事起きていたことが発覚し、大問題となっていた。飛ばずのミサイルなど(2017年9月15日)。

K-9は、演習中、砲弾を装着中に暴発、死亡事故を起こしている。これまでも事故多発、偽装部品納入や成績証明書の偽造なども発覚していた/価格は日本の99式の半額)

世界最強と自称したK2戦車(黒豹)は、トルコへライセンス供与契約を締結したが、契約内容は、戦車のエンジンおよびトランスミッション、砲弾自動装填システム、砲身および砲弾に関する技術だった。
ただ、売り込んだ時には独NTU製エンジンおよび独Renk製トランスミッション(両方でパワーパック)を搭載したK2であり、迫力はあったが、それらを国産化するとしたものだった。
しかし、韓国軍需企業はパワーパックを開発できず、独製パワーパックを無断で分解して真似ようとしことから独側が激怒し、今に至るまで開発はできず、性能評価や初期性能を満たさないまま一部は運用されているものの、パワーパックの開発は既に中断された。
今では韓国防科学研究所も、レールガンの「K3」の開発を行うと表明している。

<↓T-50A>米空軍の高等練習機更新事業への提案機(韓国+ロッキードマーチン)
T-50A
 

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[ 2018年10月 1日 ]

 

 

 

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