アイコン 韓国スマートフォン業界の危機 部品会社窮地に 今年スマホはマイナス成長

 

 

世界のスマートフォン(スマホ)の販売台数が、今年減少するという。そうした中、昨年30%台の販売台数シェアを有していたサムスン電子の今年のシェアは20.3%まで急落している。年間約15億台の販売台数の10%減少は、▲1.5億台減となる。

販売台数シェアは、サムスン電子、ファーウェイ(中)、アップル、小米(中)、OPPO(中)、VIVO(中)などが続き、すでに中国勢が過半を制している。ファーウェイは来年にはサムスン電子を超え1位になると宣言している。
サムスン電子のスマホの苦境は、自社製で多くの半導体やスクリーンを生産しているにもかかわらず、機能面で追いつかれ、価格面で中国勢に対応できないところにある。
一方で、プレミアム市場ではアップルの優位性は動かず、さらに差を広げられ、ブランド力の差を見せ付けられている。

どこでも造れるものはより安く製造できる場所を選ぶ、繊維製品が、欧米日⇒韓国⇒中国⇒バングラデシュに移行しているように。

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<韓国スマホ部品業界崩壊の危機>/1ウォンは0.1円
価格競争力を前面に出す中国企業の攻勢と市場の停滞で関連部品業界が危機に陥っている。造船不況、自動車産業の低迷、半導体価格下落予想に続いて、韓国を代表する製造業にもう一つの「警告音」が鳴っている。

KOSPI(韓国総合株価指数)・KOSDAQ市場上場スマホ部品関係会社42社を分析では、過去5年間に売上高が計▲2兆6,000億ウォン(約2,600億円)、雇用が▲3,700人以上減少している。
スマホケース、カメラ、回路基板、タッチスクリーンなど5分野の売上上位部品会社の2013年上半期と今年上半期の財務諸表を比較すると、42社の上半期の売上高は、5年間に計8兆2965億ウォンから5兆6943億ウォンへと▲2兆6,022億ウォン(▲31.4%)減となった。半分以上の26社(62.9%)の売上高が減少した。
これら企業の営業利益は計4,988億ウォン~▲63億ウォンへと赤字に転換した。営業利益率は▲0.11%で、半分近く(20社、45.2%)は営業赤字状態だった。

同期間、サムスン電子IM部門(スマホ)の営業利益は6兆ウォンほど減少した。LGエレクトロニクスMC事業本部は4年連続で営業赤字を出している。

こうした状況で雇用が増えるはずはない。
役・職員数は2万613人から▲18.4%減の1万6,818人と▲3,795人減少した。
42社のうち売上高、営業利益、雇用がすべて増えたところは4社(9.5%)にすぎなかった。

1、 エスマックは、スマホに搭載されるタッチスクリーンモジュールを生産し、主にサムスン電子に
供給、今年上半期の売上高は265億ウォン(約26億5000万円)だった。売上高は2013年上半期(2630億ウォン)と比べて10分の1に減少した。さらに▲58億ウォンの営業赤字を出した。
会社関係者は「スマホの買い替え周期が2年から3年に長くなり、技術の変化も速くなったことで実績が悪化した」と説明している。

2、ピーエヌテルは、10月200億ウォン(約20億円)台の大株主横領事件が発生した。かつて携帯電話ケース1、2位を争った同社は現在、株式売買が停止した状態。

3、シノペックスはタッチスクリーン会社、2013年上半期には500人以上が勤務していたが、現在は80人ほどしかいない。

42社のうち職員が100人以上増えたところは大徳電子、大徳GDSなど8社だけで、これもほとんどが買収・合併や非正規職の正規職転換(文政権の指示)による「錯視」にすぎない。

優れた技術力と高い成長率で注目されていたスマホン部品会社がわずか5年間で売上高が▲2兆6022億ウォン減、雇用▲3795人減となった。
大きく2つの理由は、
まずスマートフォン市場が停滞する中、国内スマホ企業が圧倒的な地位を固めるのに失敗した点。
安価な中国勢の技術進化、新技術の導入であっという間に市場を失ったりもする。

<今年はマイナス成長>
客の買い替え期間が延び、安価な新興市場勢の台頭
市場調査会社ストラテジーアナリティックス(SA)は、今年の世界スマホ出荷量は14億8100万台にとどまると予想した。スマホが登場した2007年以降、初めての逆成長。

SAは世界トップのサムスン電子の出荷量が2億9850万台と、2013年以降初めて3億台を割ると見込んでいる。サムスン電子は中国・インドで中国企業に劣勢となり、LGエレクトロニクスは北米を除いて海外で存在感が薄れた。

急速に発展する技術も部品会社を苦しめている。
スマホパネルの中心は薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT-LCD)から有機発光ダイオード(OLED)に変わった。
また、OLED工程のうちタッチスクリーンを形成して透明電極フィルムをカバーガラスに付ける後工程が必要なくなり「兆ウォン単位」で市場が消えた。

最近、ダブル(2個)・トリプル(3個)スマホでカメラ部品市場が成長しているが、ここにも悩みがある。
カメラモジュール会社関係者は「以前に導入した設備の減価償却が終わらないうちに、また大規模な投資をしなければならず、収益性が心配」と危惧している。
さらなる悪材料も出てきた。
サムスン電子が、中国企業の注文者開発方式(ODM)アウトソーシングを導入した。サムスンは現在20.2%の世界市場シェアを維持・拡大するという戦略で、中国をはじめとする新興市場で製品ラインナップを補強している。

<サムスン電子、初めて中国で生産委託>
このうち一部の中低価格モデルをODM(製品企画・開発・製造まで請け負う)の形で調達する方針だが、今月から中国ウィンテックが、生産と開発を引き受けたギャラクシーA6sを出す予定。

匿名を求めた部品会社の役員は「(今回のODM決定は)中国内需用とはいえ、中国などで調達される部品も増えるということ」とし「国内の会社が打撃を受けるのは時間の問題」と懸念している。

企業は必死に新事業や供給多角化で突破口を見いだそうとしている。
4、ジェヨンソリューテックは最近、開城工業団地の再稼働に注目している。ジェヨンソリューテックが生産するスマホカメラの自動焦点装置は手作業工程が核。代表は「(北の労働者の)言語理解と熟練度が高く、200億ウォン(約20億円)を投入してクリーンルームを導入した」とし「工業団地の再開を通じて経営を好転させることができるはず」と期待を表した。

5、スマホケース会社モベイスは、自動車部品・バッテリーなどへの事業拡張を進めている。

6、スピーカーを生産しているイーエムテックは最近、電子たばこ「リル」を供給し、事業構造を変えている。

7、カメラモジュール会社パートロンは「指紋認識センサーと自動車用カメラモジュールの部品を育成しているが、成長は遅い」としている。

大信証券研究員は「主要スマホ部品会社の実績が予想より速いペースで悪化している」とし、「現在のところ(収益を増やす)妙案が見えない」と述べた。
以上、韓国紙など参照

ただ、中国勢も安心できない。新興国経済の伸びが鈍化し、買い替え需要の長期化のなか、市場自体は拡大しているものの、インドでの超激安スマホの登場している。経済成長を伴わない市場拡大では、超激安スマホに優位性がある。

中国勢は、14億人を相手にした国内市場で経営基盤は確立されているが、OPPO+VIVOのように瞬く間に新勢力が台頭してくるかもしれない。すでに初めて折り畳みスマヘの予約を開始した中国ベンチャー企業もある。常に機能の革新、特徴、差別化が求められ続ける。
アップルにしろ、スマホの機能がすでに派生型になっており、経済成長に乗った戦略は、経済成長が鈍化すれば戦略は大きく見直され、業績にも左右することになる。

部品会社は、新機能を開発しスマホに搭載させるか、業績悪化を続け、淘汰されるかしかなくなっている。

いまやサムスン電子は半導体で持っているが、DRAMやNANDという汎用性半導体が主軸、「中国製造2025」の動きは止められず、汎用性半導体もまたスマホ同様、直撃されることになる。自動車、AI、IOT、家電・ロボット、ビッグデータ市場の継続的な拡大に期待するしかない。

米IDCの調査では、
2018年7月~9月までの3ヶ月間に世界で出荷されたスマホ台数は、前年同期比▲6%減(約▲2,200万台減)の3億5,520万台だった。
1、サムスン電子が▲13.4%の大幅減少でシェアは20.3%
7~9月期、前年同期約127百万台、今年期は約72百万台、約▲55百万台減少
2、ファーウェイが14.6%、
3、アップルは13.2%。
4、小米(シャオミ)が9.7%、インド、インドネシア、スペインで健闘
5、OPPOが8.4%

日本の関連業界も進化され続けなければ、生き残れないが、日本のスマホ業界はすでに淘汰されており、多様化させ、米韓中勢のニーズに応え生き延びている。韓国関連業界は韓国メーカー製スマホに依存してきた分だけ、今の衝撃は厳しい。

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[ 2018年11月 5日 ]

 

 

 

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