アイコン 王毅外相の訪韓 米国も睨んだ2つの目的

 

 

2016年12月下旬に、大統領選に向け文在寅陣営の梃入れに中国東アジア局の海陳氏を訪韓させ、財閥のトップらを集めさせ過激な発言をなし、陣営の引き締めを行った。直後、釜山の日本総領事館前に元慰安婦像が設置された。偶然ではなかろう。

2017年10月末には文政権に「3府の誓い」まで表明させた。

これまで手繰り寄せてきた韓国を、蜜月時代を作ったものの手の平を返された朴前大統領のように、みすみすアメリカに引き渡すわけにはいかない。

先般は、米国大使の座を米政権から7月断られた(北朝鮮核容認派の)文正仁大統領特別補佐官が珍しく中国を訪問し、高官たちと何やら打ち合わせをしていた。

中韓は、米軍の星州THAAD配備問題でギクシャクしているものの、それより脅威となる米軍の中型弾道ミサイルの韓国配備、中国のほとんどが射程に入り、これまでに中国メディアは、「もしも韓国が(米軍の中型弾道ミサイルを)配備するならば、THAAD制裁どころではない」と強いけん制を入れている。その確認のために訪韓したと見られる。

THAAD問題は、文在寅氏自らが2017年7月末、4月の一部配備を完全配備するよう米軍に要請した経緯があり、2019年6月末の大阪サミット時の中韓首脳会談でも、習主席が改めてTHAAD撤去を文大統領に強く求めたのに対し、文氏は「北朝鮮の核廃棄まで撤去はできない」ときっぱり断っており、今回再び議論になることはない。

 

王毅外相の韓国への餌は、習主席の訪韓かもしれない。

米国で香港人権法案が成立し、激怒している中国習政権であり、香港の意趣返しに韓国を揺さぶる算段の可能性もある。

(民主党が過半数を握る下院ではウイグル人権法案も可決しており、来年11月は大統領選挙ととも下院の総選挙と上院の1/3の改選の選挙が同時に行われることから、今後の上院の採決とトランプ大統領の承認の行方が注目される)

ただ、中国の韓流ドラマの放映や韓国芸能人の活動禁止は徹底しており、また訪韓団体旅行もかなりの省で解禁されてきており、さらに解禁するなど、何か1個だけでも目立つものを解禁・緩和する可能性はある。

王毅氏が、手ぶらで帰った場合、逆に中韓は裏で何か画策・約束事でもする可能性もある。

 

韓国の康京和外相はお飾りであり、北朝鮮外交では蚊帳の外の存在、米交渉でも大統領府がしゃしゃり出て行き、その存在はますます薄れている。国連の人権問題のスペシャリストとして康氏は、先般、2人の北朝鮮からの亡命事件で北朝鮮が言うがままに強制送還した問題(統一部と国家情報院(旧・安企部)が主導)、国連が調査に入るというが外相としての康氏には当時、何も伝わっておらず、いまだこの件に関し黙秘を続けている。

国連条約違反、5日間拘留して目隠し移送したうえ板門店から強制送還、完了してからの亡命事件の発表。北朝鮮当局とのやり取りもあり、韓国当局は発表の内容の作文をその間、作成していたのだろう。

強制送還され、亡命船も返却され、当亡命事件は弁護士等第3者も介在しておらず、何一つ解明されないまま迷宮入りとなる。発表によると亡命希望者は凶悪犯で、船舶という狭い空間で3人(うち亡命希望者2人、1人は北朝鮮で逮捕)が、16人を殺害したそうだ。大統領府にはお抱えの脚本家がいるのだろう。

 

<王毅外相の訪韓ニュース>韓国紙報道分

中国の王毅外相は4日、ソウルを訪問し、康京和外相と会談した。

米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効したなかで、韓国に米国の中距離ミサイルを配備しないようにクギを刺したとみられる。

THAAD配備問題から王毅外相の公式訪韓は2014年5月以来、約5年半ぶり。5日には文在寅大統領と会談する。

日韓関係の修復を呼びかけ、中国の習近平国家主席の訪韓時期の調整も進める。

王氏は康氏との会談で、米国を念頭に「最大の脅威は国際秩序を破壊する一方主義と国際関係規則に挑戦する覇権主義だ」と強調。「中韓で連携を強化し、地域の平和と安定に積極的に役割を果たそう」と話した。

これに対し康氏は、政治や経済など各分野の活発な交流再開に期待を示した。

王氏が地域安定への協力を呼びかけたのは、米ロで核を含む地上発射型の中・短距離ミサイルの配備を禁じたINF廃棄条約の失効が念頭にある。

中国はトランプ米政権が東アジアで中国に照準を合わせた中距離ミサイルを配備する事態を懸念している。

とくに中国に近い韓国や日本、オーストラリアへの配備を警戒している。

中国外務省は「米国がアジア太平洋地域への配備にこだわるなら、中国の玄関先での挑発で、絶対に座視しない」と主張している。

中韓関係は2016年夏に、韓国の朴槿恵前政権が米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備を決めたことに中国が猛反発し、今も冷え込んでいる。

中国は、韓国に報復措置を発動。ロッテ制裁(ロッテは1000億円以上の損害を出し中国撤退)、団体旅行客の訪韓制限、中国内の韓流コンテンツの締め出しを続けている。

中韓外相は、今年9月にニューヨークで会談。新華社によると、王毅外相は「敏感な問題を適切に処理」するように主張した。今回も米国の中距離ミサイルを韓国内に配備しないようにけん制したとみられる。

中韓は、習氏の訪韓時期も調整する。2017年に文大統領が国賓ドタキャン訪中、韓国側には「次は習主席が訪韓する番だ」との声が強い。

習氏の訪韓と合わせた報復措置の解除にも期待を寄せている。

来春に習氏が国賓来日する際に韓国に立ち寄る案などを検討している。

王毅外相は日韓関係の修復も働きかける。12月24日に中国の成都で日中韓首脳会談を予定していることから、議題の根回しなどをする。

日韓や米韓関係がギクシャくしており、中国が日中韓の調整役として存在感を高める好機と見ているようだ。

中国は、北朝鮮との「対話による解決」を旗印に、北朝鮮と韓国を引き寄せて対米外交のカードとする戦略を描いている。

北朝鮮は年末が米国との非核化を巡る交渉期限と主張しており、再び朝鮮半島に緊張が高まりつつある。

中韓で米朝の対立が再び激化しないように連携を探るとみられる。

以上、

 

なお、INFで廃棄後の米製の射程5千キロの最新型中型弾道ミサイルの配備、日本各地に配備計画を米国は持っているようだが、日本の国土は米国のための要塞や防衛線ではない。今の首班だったらすかしごまかし何の抵抗もなく全土に配備させてしまうだろうが。

中国も米国の中型弾道ミサイルについて、何か言う義理はない。INF加盟国でなかったゆえに中距離・長距離弾道ミサイルを腐るほど生産し配備し、すでに南シナ海の要塞にも配備している。そもそもINF条約をトランプが破棄したのは、中国の弾道ミサイルの脅威に米領グアム(アンダーソン空軍基地あり)さらされているからでもある。

巡航ミサイルも含めすべての攻撃用弾道・弾頭ミサイル保有国は、再度INF条約を全保有国を対象に批准させ、数量制限なり、全廃すべきではなかろうか。

[ 2019年12月 5日 ]

 

 

 


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