続2、イランの韓国籍タンカー拿捕事件 イランの状況と原因
イラン政府のラビエイ報道官は5日、韓国船籍のタンカー「MT韓国ケミ(HANKUK CHEMI)号」(釜山市のDMシッピング所有)が、イラン革命防衛隊により拿捕された事件に関連し、韓国船舶拿捕が人質事件に当たるという主張を一蹴し、「我々はこのような主張に慣れているが、仮に人質事件が存在するとすれば、それは我々の資金70億ドルを根拠のない理由で凍結した韓国政府だろう」と主張した。
イラン革命防衛隊は4日午前10時ごろ、ペルシア湾のホルムズ海峡で海洋汚染を理由に韓国船籍のタンカー「韓国ケミ」を拿捕した。韓国ケミの船員(韓国人5人+東南アジア人15人)は、海洋汚染の容疑を全面的に否認している。
船が拿捕された後、韓国政府は、イラン大使を呼んで抗議し、船舶と船員の即時解放を求めた。また、韓国海軍が海賊対策などでオマーン湾などに展開させている「青海部隊」所属の駆逐艦「崔瑩」(4500トン)をホルムズ海峡に急遽派遣したが、待機するだけになっている。
以上、
駆逐艦を展開したところで、ホルムズ海峡のイラン領海へ侵入すれば、今度は駆逐艦が拿捕されることから打つ手なし。解放後の護衛に当たるものと見られる。
イランが韓国の銀行に預けている70億ドルは原油輸出代金、トランプ米政権がイランとの核合意を破棄して、制裁に入ったことから、70億ドルについて、韓国から製品輸入での相殺もできず、かといって返金もできず、凍結されたままになっている。
米トランプ政権は2018年5月にイラン制裁したものの、韓国など半年間猶予期間を与えており、その間に製品輸出するか、予告期間に返金しておけば、こうした問題はなかった可能性もある。
昨年6月には米国の許可を受け、イランに対して人道目的とし新コロナ対策用の200万ドル相当の医薬品と検査キット等を相殺輸出したが、制裁後の韓国からの輸出はそれだけだった。
ここにきて、イラン側から、新コロナワクチンを国連共同購入のCOVAXに参加するため、その参加資金を韓国にあるイラン預金で韓国が支払うように要請してきた。しかし、韓国側は米国が承認する枠内で国連へ支払うと伝え、イランは検討したままとなっているという。
ただ、イランの人口は7100万人、ワクチン代を支払ったとしても、残り4~5千億円あまりの返還の道筋は立たない。
さらに2010年にイランのダヤニ一族が韓国企業の大宇エレクトロニクスの買収にあたり、契約金578億ウォンを渡したものの、価格交渉が難航し、韓国側は契約不履行として手付金を没収、これに対してダヤニ一族はISD条項に基づき、手付金とその間の金利を支払えと国際司法裁判所に提訴、結果、2019年12月韓国側が全面敗訴確定、しかし、トランプ制裁から、代金と金利の約750億ウォン(約70億円)を支払うことができず、これもまた悩みの種となっている。
要約
1、2018年5月、トランプ政権がイラン核合意を破棄し、イラン制裁に入り、原油等輸出急減・経済低迷に苦慮するイラン。
2、2020年1月3日、イランの革命防衛隊司令官が、イラクで米軍の精密誘導ミサイルにより殺害され1年、
3、2020年11月28日、イラン核開発の第一人者の科学者がイスラエルの犯行とみられる無人遠隔操作兵器により暗殺される。
4、韓国政府は、米トランプ制裁により、イランが韓国の銀行に預金している約70億ドルの返還要求を拒否し続けている。
5、2019年12月、ISD条項に基づき韓国政府が完全敗訴したイランのダヤニ一族に対する約750億ウォン(約70億円)の支払いも米制裁により、韓国政府は支払いができない事態に陥っている。
6、イランの濃縮ウラン製造は、これまで3.0%、4.5%だったが、イラン政府は2021年1月1日、上述の2と3の事態発生に一挙に20%の濃縮ウランを製造すると国連のIAEAに通告した。核爆弾に使用するにはウランを90%まで濃縮する必要がある。
7、2021年1月4日、イラン、韓国籍タンカーを拿捕
文政権は内政では独裁のような強引殺法を行使し続け、頼りのK防疫も破綻に近く、支持率も35%を割り込む事態に陥っている。
外交では、北朝鮮は遊んでくれなくなり、日本からは徹底した反日姿勢から無視され、THAAD制裁を受けている中国からは習近平国家主席の訪韓期待を裏切られ続け、米国からは言いたい放題の韓国高官たちに閉口され距離を取られ、イランからは金返せと言われ続け、国連や米国からは韓国政府の北朝鮮に向けたビラ配布禁止法制定に相次ぎ批判を受けている。
スクロール→
イラン 新コロナ感染状況 |
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人口7100万人 |
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感染 |
死亡 |
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累計 |
月(平均) |
累計 |
月(平均) |
致死率 |
2~8月 |
373,520 |
46,690 |
21,571 |
2,696 |
5.8% |
9月 |
457,219 |
83,699 |
26,169 |
4,598 |
5.5% |
10月 |
612,891 |
155,672 |
34,864 |
8,695 |
5.6% |
11月 |
948,749 |
335,858 |
48,246 |
13,382 |
4.0% |
12月 |
1,225,481 |
276,732 |
55,223 |
6,977 |
2.5% |
1月4日 |
1,249,507 |
|
55,650 |
|
4.5% |
・11~12月半ばまで急増、その後減少過程 |