アイコン 韓国勢に衝撃 ベンツはCATLを選択 最高級EV「EQS」搭載バッテリー


EV用バッテリー業界は、専業バッテリーメーカーからの調達から、カーメーカーとの合弁、もしくはカーメーカーが自主開発するものへと変化してきている。
それはEV用バッテリー価格が車両価格の1/3~1/2を占め、自動車メーカーの利益を損なうことにより、当初から考慮されていたものでもある。

また、カーメーカーは自社製のエンジンがなくなるわけで雇用問題も引き起こすことから国も支援している。この2つの流れから、バッテリー専業メーカーは今後、苦戦を強いられることになる。
すでに、パナソニックはテスラとギガファクトリーでのEV用バッテリーを生産、また、トヨタと組み次世代EV用バッテリーの全固体電池を合弁で開発中である。

韓国勢のLGはGMと組み2工場を米国に建設中、そして中国勢のCATLはベンツ組み、分業生産する。またVWはバッテリーを自社開発し、2025年から本格搭載、2030年までには自社開発バッテリーを自社EVの8割に搭載すると発表している。韓国紙などは次のとおり報じている。

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独メルセデスベンツが最高級EVモデル(EQS)に中国CATLのバッテリーを搭載する。欧州で「(韓国の)Kバッテリー」の存在感が低下するのではという懸念が出ている。
業界によると、ベンツは昨年8月協力関係の強化を発表、その成果により、最高級EVセダン「EQS」に中国CATLの角型バッテリーを搭載することを決定した。

ベンツ「Sクラス」の名にちなんだ「EQS」には、メルセデスベンツのEV専用プラットホームが初めて適用された。ベンツは2019年に初めて発売したEV「EQC」にはLGの円筒型のパウチ型バッテリーを搭載している。
しかし、ベンツは電気自動車専用プラットホームを導入し、角型バッテリーにまで使用範囲を広げた。
ベンツEQSの1回充電時の走行距離は770キロ(欧州基準)と、テスラの高級セダン「モデルS」(624キロ)よりも長い。最大107.8キロワット時(kWh)のバッテリーを搭載し、テスラ・モデルS(75~100キロワット時)よりエネルギー容量を増やした結果でもある。

中国CATLはドイツ自動車市場に力を注いできた。現在、旧東ドイツ地域のチューリンゲン州に2億4000万ユーロ(約300億円)を投資し、バッテリー工場・研究施設を建設している。CATLがバッテリーセル(バッテリーの基本単位)を供給すれば、ベンツの親会社ダイムラーのシュツットガルト工場でこれをバッテリー製品に組み立ててEQSに搭載する。
ベンツとCATLはバッテリーセルを直接バッテリーパックに組み込むための「セル・トゥ・パック(CTP)」技術も共同開発している。
中国勢はモジュールを省略したバッテリーパックシステムの「CTP」、パック過程を省略したバッテリーシステムの「CTC」などの技術によりエネルギー密度を大幅に改善させ、短時間充電を実現させた角形バッテリーを開発、技術革新も成し遂げている。
そうしたこともありEV業界全体でも角型バッテリーに傾斜してきている。
サムスンSDIは角型を有し、LGはSKとともに円筒のパウチ型となっている。

一方、フォルクスワーゲン(VW)は3月、角型バッテリーを独自開発したと発表、2030年に販売する電気自動車の80%に搭載すると明らかにした。VWに円筒型のパウチ型バッテリーを納品してきたLGエナジーソリューションとSKイノベーションの立場では、主要顧客を失う可能性がある。

欧州の韓国勢のKバッテリー工場は、
SKはハンガリーのイバンチャ市に約2,352億円を投じ同国3ヶ所目となる生産能力30GWhのバッテリー工場を建設すると発表している。同社はコマーロム市に2工場(計17GWh)を有している。

LGはポーランド南西部にウロツワフにバッテリー工場を有し、昨夏、新たに3.2億ユーロ投じ拡張し、生産能力を35GWhから60GWhに引き上げると発表している。

サムスンSDIはハンガリー北部ゲッド市に工場を有し生産規模は30GWh、今年2月には900億円あまりをかけ増設すると発表し、生産能力を50GWhまで引き上げる。

このように韓国勢は欧州では労賃が安く、誘致減税も手厚い東欧に進出している。しかし、欧州連合は2050年にカーボンフットプリント=CO2排出量を0にする政策を有し、そうした国での生産品を問題視してくる。今後、東欧国の発電にかかわる石炭火力発電・CO2問題は韓国勢に大きな負担となってくる可能性もある。

また、ドイツは、最大の産業が自動車産業、EVではエンジンもなく、部品点数も少なくなり、多くの労働者が失業する問題も抱えている。元準国営のVWは、地方自治体が大株主でもあり、EV用バッテリーを自社開発し、失業問題にも対応することが必然的に求められている。VWはカーボンフットプリントについても、スウェーデンのバッテリーベンチャーのノースボルト社と組み、合弁でドイツ・ザルツギッターに工場を建設している。今年3月15日には2030年までに年間240GWhのバッテリーセル生産能力確保を表明し、10年分140億米ドル相当のセルをノースボルト社に発注したことも明らかにしている。

今回のベンツの動きも韓国勢と組んでも近い将来生じる雇用問題やCO2排出問題を解決できないと見たのかもしれない。それも独政府からの裏要請下にCATLのドイツへの工場進出を決定させたのかもしれない。

日本では自動車のEV化では100万人の雇用が損なわれると見られている。そのため、日本ではEV化とは表現せず、HV、PHVも含めて車両の電動化と称している。

EV用バッテリーは今後
パウチ型から高密度の角型に、「CTP」や「CTC」の導入、高出力・安全性・充電時間から電解質が液体から固体へ変化していく。
こうした世界のEV用バッテリーの流れの中で、日本勢はパナ社とトヨタの連合組しか見ることができない。日産はゴーンの最後の仕事と見られるが、傘下のEV用バッテリー企業を中国企業に売り飛ばす有様。今では日産そのものが淘汰されようとしている。技術の日産がんばれ。

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[ 2021年4月20日 ]

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