アイコン デルタ株の特性 既存株濃度の1260倍/感染4日間で検出可能


新型コロナウイルスのデルタ株(=インド株)が、変異株であるアルファ株(=英国株)に比べて1.5倍の感染力を持ち、入院率は2.26倍高まるとされている(医療機関では40代・50代の入院率が高くなっているという)。
変異前のウイルス(既存株)に比べると感染力は実に3倍以上となっていると推定されている。デルタ株は現在までに発見されている変異株の中で最も感染力が強い。

インド、英国をはじめとするいくつかの国では、すでにアルファ株からデルタ株に置き換わった優勢株となっている。
また、両国ではデルタ株がさらに変異し、より感染力や免疫逃避力が強いデルタ-プラス株が検出されている。

デルタ株の強い感染力はどこから来るのだろうか。

中国の広東省疾病予防管理センターの研究陣が、こうした疑問を解消しうる一つの糸口を見つけ、ウイルス学分野のオンラインフォーラム「バイロロジカル(virological)誌」(オランダ)に発表した。
同研究陣が感染者についての疫学、血清、遺伝子データの分析を通じて発見した強い感染力の原因は2つ。
1つは、デルタ株の増殖速度が初期ウイルスとは比較にならないほど速いこと。
もう1つは、潜伏期間が短いということだという。

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中国でデルタ株の感染者が初めて確認されたのは5月21日。研究陣は、その日から6月18日までに広東省の広州市で確認された感染者167人のうち、デルタ株への感染者62人と、2020年初めの元祖新型コロナウイルス(=武漢株)への感染者63人のウイルス検出量を比較分析した。

その結果、感染者がデルタ株に感染し、体内での増殖を経て陽性反応を示すまでにかかる時間は平均4日だった。
デルタ株は体内の増殖を通じて検出可能な水準に達するのに、平均で約4日かかる。これは、昨年のコロナ禍初期のウイルスの平均6日より2日も短い。

検出が可能だということは、ウイルスが体外に飛び出す準備ができていることを意味する。
また、この時のウイルス濃度は、変異前の新型コロナウイルスの最初の濃度より最大で1260倍も高かった。
このようなデータは、デルタ株の方が感染の初期段階において感染を広げる危険性が高いということを示している。

分析期間中にも絶えず微細な変異が発生
研究陣はまた、同じ期間内に全感染者の75%に当たる126人から抽出したウイルスの遺伝的多様性を分析したところ、1ヶ月足らずで31人のウイルスで微細な変異が発生していたことを確認した。
1つのウイルスから最大で4つのヌクレオチド(RNAを構成する最小単位)が異なるものに変わっていた。
研究陣は、このうち10種のウイルスは宿主に安定的に定着し、そのうちの一部は他人に感染する可能性があることも確認した。

昨年にはドイツの科学者たちが、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)以来16年ぶりに登場した「SARS-COV 2(新型コロナウイルスの正式名称)」の感染初期の増殖速度はSARSの1000倍に達するとの研究結果を発表している。
デルタ株はこれに匹敵する大きな変身をわずか1年で成し遂げたことになる。

これは、新型コロナ拡散の早期遮断の失敗が、ウイルスが1億人を超える人間の宿主の体内で変異を繰り返し、進化速度を加速させる契機を作ってしまった、ということを示唆している。

デルタ株(B16172)は、インド発の変異体(B1617)の3つの下位類型の一つで、2020年12月に初めて発見された。
コロナウイルスの外皮に突出しているスパイクタンパク質の3ヶ所で変異を起こしたウイルス。
スパイクタンパク質は、コロナウイルスが細胞に侵入する際に、その突破口を切り開く道具として使われる物質。
デルタ株は今年に入ってインドの第2波中に急速に広がり、他の下位類型株を抜いて3月からインドの最優勢株となっている。
13日に発表された世界保健機関(WHO)の週間ブリーフィングによると、現在までにデルタ株感染者が確認されている国は111ヶ国にのぼっている。
まさに五輪を目前に控えた東京を襲っているのがデルタ株である。
以上、

学術誌発表分であり、異論も存在するかと思われるが参考までに掲載した。


 

[ 2021年7月16日 ]

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