アイコン 石炭価格高騰に中国に続きインドでも電力不足懸念増


14億人の人口を抱える中国に続き、13億人の人口のインドでも石炭不足による電力危機に直面している。
インドでは、新コロナ惨禍が落ち着きを見せ始めたことで電力需要が急増、一方、総発電量の7割を担う石炭発電所への石炭供給が高騰していることもあり追いついていない。

「インディア・トゥデイ」やロイター通信などの報道によると9月29日現在、インド国内の135の石炭火力発電所のうち16発電所で石炭の在庫が底をついているという。石炭の在庫が1週間分も残っていない発電所が80%以上あり、半数以上は3日分未満しか在庫がない自転車操業を続けており、電力不足の懸念が出ている。

インドは1年に7.8億トンの石炭を生産する世界第2位の石炭生産国、かつ毎年2億トン以上の石炭を輸入する世界第2位の石炭輸入国でもある。それも経済発展により輸入量は増加してきている。

最大の原因は、新コロナ惨禍が落ち着きはじめ、経済回復によりエネルギー需要が急増したことだと分析されている。

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インドは新コロナ惨禍で今年5月にはピーク感染者数が日に40万人に達したこともあり、全国的なロックダウンが発令され、夜間通行禁止などによって市民の活動が制限され、多くの市場や工場なども稼働が中止された。電力需要が急減、石炭発電所なども発電量も大きく減った。
昨年も9月には日にピーク感染者数が9万人あまり、このときにも同じロックダウンが発令され、国内総生産(GDP)は▲8%減少し、エネルギー需要も▲5%減少していた。

今年も昨年と同様の状況が予測されたが、状況は異なった。
感染ピーク時期が昨年は9月、今年は5月、それに今年は欧米の経済回復が本格化している大きな違いがある。
今年の新コロナ惨禍はさらに悪化したが、5月の40万人台の感染数は6月には6万人台急減、7月には4万人台と急速に減少、インド政府は工場などの稼働の中断を早期に切り上げた。当然、ワクチン接種も進んでいることも背景にある。

今年1~8月のインドの電力需要は4~5月の減少はあったものの、1~3月、6月からは急回復し、昨年より13.2%増加している。しかし、インドの石炭供給の80%を担う国営企業「石炭インディア」の生産は、新コロナ感染爆発の4~5月に生産を急減させ在庫不足に陥り、ここに来て国内需要の増勢に追いつけずにいる。

石炭の国際価格も今年1月には1トン当たり80ドル台で取引されていたが、今年6月には100ドルに上昇、最近では228ドルにまで跳ね上がっている。
9ヶ月間で3倍近くになっている。

これは、豪州炭の輸入を禁止した中国が、ほかの国に石炭の買い付けに走り、価格が急上昇したもの。当然、欧米の経済回復に欧米に対して工業製品を輸出する国の経済活動も活発になり、こうした世界的な石炭需要の高まりも起因している。しかし、やはり、中国が豪州に仕掛けた貿易戦争の影響は大きい。

2019年の資料では石炭の輸出市場は約14億トン、うち3.7億トンを豪州が主に中国へ輸出していた。輸出国と輸入国のバランスがほぼ取れている中、中国がほかの国から買い付けた場合、高くなるのが当然のことだろう。その結果、石炭価格が高騰し、中国の発電所も発電代と電気代が逆ザヤになることや、経営不振もあり高い石炭を購入できず電力不足に陥っている。

インドの発電所も、暴騰した石炭価格に耐え切れず、インド全体で今年の石炭輸入量を前年度より10%ほど減らしている。昨年もコロナ惨禍で需要は減じており、それを下回っていることから、異常に少なくなっている。昨年は中国がインド石炭を購入するほどだった。
ただ、中国と異なり、暫くすればインドはコロナ以前に増産に入っており、石炭産出量の拡大によりある程度需給は緩和されるものと見られる。
中国もこっそり北朝鮮から輸入すれば、中国北部の電力は改善されるものと見られるが・・・。
そうしたことからも中国も韓国に相乗りし文政権の「先緩和・後核廃棄期待」論を支持しており、北朝鮮への経済制裁を大幅緩和したいのだろうが・・・。
北朝鮮にしても国連制裁により高くなった石炭を中国に売ることもできない。  


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世界の石炭生産量ランキング

世界の石炭消費国ランキング

 

2020年 百万トン

 

2020年 百万トン

1

中国

3,743

1

中国

3,830

2

インド

779

2

インド

976

3

インドネシア

551

3

米国

419

4

米国

488

4

ロシア

205

5

オーストラリア

473

5

日本

171

6

ロシア

386

6

南アフリカ

169

7

南アフリカ

247

7

インドネシア

139

8

ドイツ

105

8

ドイツ

138

9

カザフスタン

104

9

韓国

115

10

ポーランド

101

10

トルコ

109

11

トルコ

70

11

ポーランド

100

12

コロンビア

65

12

オーストラリア

99

 

石炭輸出国

輸入国

 

2019年/万トン

 

2019年/万トン

1

インドネシア

45,000

1

中国

29,850

2

オーストラリア

39,000

2

インド

24,690

3

ロシア

22,000

3

日本

18,500

4

米国

8,000

4

韓国

13,010

5

南アフリカ

7,500

5

台湾

6,750

 

合計

142,000

 

合計

142,360

・石炭は品質により、コークス用から発電用まで価格差が大きく、豪州炭は高品位とされる。 

 


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ワクチン接種/アワーワールドインデータ版 10月4日現在

  

インド

AZ製ワクチンの生産受託国でもあるが、WHOコバックス向けとして生産している。

人口

1,397,000,000

1回以上接種

662,270,000

 人口比

47.5%

2回接種完了

248,810,000

 人口比

17.9%

インドの感染者数推移 World Meter版

 

累計

月感染数

日平均

20/4

34,863

 

 

20/5

190,609

155,746

5,024

20/6

585,792

395,183

13,173

20/7

1,697,054

1,111,262

35,847

20/8

3,687,939

1,990,885

64,222

20/9

6,310,267

2,622,328

87,411

20/10

8,182,881

1,872,614

60,407

20/11

9,463,254

1,280,373

42,679

20/12

10,286,329

823,075

26,551

21/1

10,758,619

472,290

15,235

21/2

11,112,056

353,437

12,623

21/3

12,220,669

1,108,613

35,762

21/4

19,157,094

6,936,425

231,214

21/5

28,173,655

9,016,561

290,857

21/6

30,410,577

2,236,922

74,564

21/7

31,654,584

1,244,007

40,129

21/8

32,810,892

1,156,308

37,300

21/9

33,765,488

954,596

31,820

最新日別感染者数

101

 

 

23,910

102

 

 

23,161

103

 

 

21,684

104

 

 

16,762

 

[ 2021年10月 6日 ]

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