TSMCの日本進出はSONY向けロジック半導体安定供給視野
同社のPS5は半導体不足に陥り、生産がニーズに応えられず、まだ入荷待ち状態の店舗も多い。それでもゲーム器は昨年の中間期より84%増の売上高を計上している。
また、収益頭の一つイメージセンサーは逆に売上高を落としている。それはイメージセンサーそのものは、国内を拠点に生産しているものの、イメージセンサーと一体となり、それを演算処理させるロジック半導体(=システム半導体)は外注依存している。
昨年10月20日に発生した旭化成半導体工場の全焼、車載音響機器用を生産していたため、生産している会社も世界で2社だけ、もう一方の独社は儲からないためゲーム機用にシフトしていたことから即当該の半導体不足に陥り大問題になった。
そうした希少な半導体のほとんどを、世界中の自動車メーカーや電子製品メーカー、半導体商社が買占めに走ったり、発注し、自動車生産現場も半導体製造メーカーも大混乱、また、今年2月にはシステム半導体の工場が多くある米テキサス州を大寒波が襲い、電気が一時遮断され、大幅生産遅滞、車載用半導体を製造している日本のルネサスまで今年3月に火災、半導体そのものが枯渇した状態が続いた。
その半導体もやっと台湾勢が世界からの要請を受け回復させてきたものの、今度は新コロナ・デルタ株での感染爆発により、マレーシアの半導体等を組み込み、パッケージ化するセットメーカーが9月までロックダウンに見舞われ大幅な減産、今だ回復していないのが足元の現状となっている。
そうしたなかSONYは、こうした課題を克服するため、熊本工場に隣接した用地にシステム半導体では世界シェア55%の台湾TSMCを誘致、合弁で工場を建設する。
SONYは中間決算での業績は堅調ながら大きなサプライズはなかった。さまざまな事業領域においての「リスク」として、半導体不足の影響が浮上している。
特に大きいのが家電(エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野)とゲーム、そしてカメラ・スマホ用、車両用のセンサーなどを担当するイメージング&センシング・ソリューションの3分野。
セグメント別の売上高を見ると、業績を引っ張ったのはゲームとエレクトロニクス。特に利益貢献ではエレクトロニクスが大きい。それでも、半導体不足の関係から、テレビ・オーディオなどの販売量は減少している。
ソニーは半導体としてイメージセンサーを中心に自社で製造している。それ以外の半導体、特に演算処理を担う「ロジック半導体」は他社から調達。
エレクトロニクスやゲームでは、ハイエンドからローエンドまで多数のロジック半導体が使われており、それぞれに調達リスクがある。
設計変更や調達先の多様化などで対応はしているが、それでも限界はある。
イメージセンサーについても、ロジック半導体の問題はつきまとう。 ソニーはイメージセンサーの裏にロジック半導体を貼り付け、AIや画像処理を行う「インテリジェント型」を差別化要因としており、ロジック半導体の調達は不可欠。
そこに浮上してきたのがTSMCとの合弁事業。イメージセンサー製造工程では、ロジックウェハー(半導体)生産のほとんどを外部委託している。安定調達のため、TSMCの日本工場を新たなロジックウェハーの調達先にする予定している。 長期にわたる世界的な半導体不足が懸念される中、ロジックウェハーの安定調達は重要な事業課題であり、TSMCの日本工場はその解決策になり得る。
ロジック半導体であるため、最先端の半導体ではなく、従来型の生産方式での生産となり、TSMCも日本への進出がしやすいものとなっている。
日本政府は、昔は半導体立国、世界のICアイランドと呼ばれたこともあり、昨今、半導体の回帰が求められているが、半導体強国だった日本をダメにしたのも米政府の圧力に屈した日本政府にあった。
追、
今回、TSMCの誘致に成功したところで、政策的にも川上産業である電子製品産業を育成しなければ、いずれ日本から撤退することになる。
そのためにも今だFAXと計算機に依存する中央・地方の官庁に対して、強力にデジタル化を進める必要がある。
日本もこれまでに電子計算化を図ってきたものの、実態はFAXと計算機に依存したアナログの世界、システムは自治体ごとに異なり、まったく統一されておらず、地方分権など言葉のごまかしにより、利権を分散化させただけで日本の最たる政治的浪費でしかない。
それが今回の新コロナで露見、巨額を投じてソフトを開発したものの、感染状況でさえ厚労省は逐次把握できず、ワクチン接種さえ現場の後手後手入力の結果を首相官邸が日々公表している有様。
また、長期政権にくっついた蛆虫のシステム会社などは排除する必要がある。これも最たるものが人の命にかかわる新コロナ・アプリ「ココア」の開発に当たらせ、素人以前の問題を生じさせていた。こうした事例は山のようになっている。
ハードもだめにし、ソフトもダメ、ダメだしだらけの日本の現状、真のデジタル化が人の脳みそまで変えてくれることだろう。パソコンも触ったことがない人が派閥の順番子でサイバーセキュリティ大臣、国民を馬鹿にするのもいい加減にしてほしいものだ。
少子高齢化、人口減少が加速度的に早まる日本において、デジタル先進国になることこそがムダ・ムリ・ムラをなくし効率化を最大化させることこそ、世界での存在を維持する第一歩になると見られる。
スクロール→
SONY イメージング&センシング・ソルーション部門 |
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イメージセンサーとカメラモジュール |
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売上高 |
前期比 |
営利益 |
←率 |
セグメント分類用語 |
2017/3期 |
773,100 |
|
-7,800 |
-1.0% |
半導体 |
2018/3期 |
850,000 |
9.9% |
164,023 |
19.3% |
半導体 |
2019/3期 |
879,330 |
3.5% |
143,874 |
16.4% |
半導体 |
2020/3期 |
985,259 |
12.0% |
235,584 |
23.9% |
イメージング&センシング |
2021/3期 |
1,012,500 |
2.8% |
145,900 |
14.4% |
イメージング&センシング |
2022/3予 |
1,130,000 |
11.6% |
140,000 |
12.4% |
イメージング&センシング |
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|
17/Q2 |
338,178 |
|
-47,733 |
-14.1% |
熊本地震の影響等 |
18/Q2 |
432,624 |
27.9% |
104,812 |
24.2% |
|
19/Q2 |
456,685 |
5.6% |
77,065 |
16.9% |
|
20/Q2 |
541,402 |
18.6% |
125,906 |
23.3% |
|
21/Q2 |
513,270 |
-5.2% |
76,976 |
15.0% |
|
22/Q2 |
496,320 |
-3.3% |
80,204 |
16.2% |
|
・なお、米国式からIFRS方式に会計方式が変更されている。 |
同社の資料により差異あり。
スクロール→
ソニーG 22/3月期 中間期決算 |
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売上高 |
営業利益 |
営業 |
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21/9中 |
前期比 |
21/9中 |
前期比 |
利益率 |
ゲーム&ネットワーク |
1,230,694 |
12.5% |
165,938 |
-27.6% |
13.5% |
うちハードウェア |
392,969 |
84.8% |
|
|
|
音楽 |
520,765 |
29.5% |
105,966 |
17.9% |
20.3% |
映画 |
464,932 |
28.9% |
56,983 |
-4.8% |
12.3% |
TV等 |
1,134,424 |
29.4% |
144,462 |
224.5% |
12.7% |
半導体等 |
452,044 |
-6.3% |
80,204 |
4.2% |
17.7% |
金融 |
778,292 |
-3.5% |
67,066 |
-8.2% |
8.6% |
その他 |
39,291 |
-1.2% |
12,772 |
152.9% |
32.5% |
調整 |
5,766 |
|
-34,864 |
|
|
合計 |
4,626,208 |
13.7% |
598,527 |
11.5% |
12.9% |