アイコン スリランカの経済危機は世界へのメッセージ ドル高為替安・資源食料高


資源・エネルギー・穀物高、外貨不足、過剰な対外債務、為替安・経常収支万年赤字、財政不均衡⇒食料・燃料不足⇒インフレ⇒超経済危機

こうしたスリランカの危機が、世界中に強烈なメッセージを送っている。
生活に欠かせない食品や燃料の不足に業を煮やした人々は街頭で抗議活動を行い、マヒンダ・ラジャパクサ内閣では複数の閣僚が3日に辞任を表明。おそらく約440億ドルに上る対外債務の再編も加速するだろう。
(親中のゴタバヤ大統領と兄で巨額中国債務を抱えたマヒンダ・ラジャパクサ首相(元大統領)は辞任しないが、大統領の兄、弟、長男の大臣らは辞任し、挙国一致内閣を野党に呼びかけたが、野党側が大統領も首相も全閣僚も総辞職せよと反発している。

現在の危機は、長年にわたる政権運営の失敗が導いた結果でもある。
しかし、インフレが瞬く間に社会を混乱させた様子は、欧州からアジアに至るまで、スリランカよりも経済基盤は堅固ながらも生活コストの急騰に直面している国々への警鐘となる。

 

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スリランカの経常収支危機は、西側諸国が大規模な対ロシア制裁を始めてから拍車がかかった。
外貨不足で燃料が買えず、停電が頻発し、非常事態宣言が出されたことで、わずかに残っていた旅行者も逃げ出そうとしている。
新コロナ事態で中国からの旅行者が来ない中で、海外旅行者は貴重な外貨収入源。
食品のインフレ率は3月に30.2%に達した。

通貨スリランカルピーは、中央銀行による切り下げを含めて1ヶ月間でドルに対して40%下落。
このため債務比率は急拡大し、国際通貨基金(IMF)の推計では公的債務比率は国内総生産(GDP)比120%に達した。
シティによると、これは持続可能な比率を40ポイントほど上回っている。
スリランカは昨年12月に中国と15億ドルの通貨スワップ協定を結び、インドからはコメと軽油を提供されている。イランへの輸入石油製品代金は外貨不足で支払えず、紅茶支払いで合意している。

しかし、危機が深刻化したことで、こうした統一性のない「命綱」は効力を失った。
IMFは、債務を持続可能な水準に減らすのに必要な政策は、経済的にも政治的にも実現不可能だと指摘している。
このため7月に満期を迎える10億ドルの国債は現在、元本1ドルに対して0.67ドルと、2月初めの0.74ドル前後からさらに下落した。
中国から米金融機関に至るまで、債権者は元本削減(ヘアカット)を迫られるだろう。昨年4月時点で、スリランカ政府の対外債務に占める市場借り入れの割合は47%だった。

こうした様子は、インフレがもたらす政治的影響を痛感させる。
ロシアによるウクライナ侵攻以前、アジアで消費者物価上昇率が2桁台に達していた国はほとんどなかった。
例外はスリランカとパキスタンで、後者のカーン首相は3日、首相不信任案の採決を回避するために下院を解散に持ち込んだ。
貧しい国々の人々は裁量的品目よりも食品への支出比率が高いため、世界的な食品価格の高騰によって直撃を受けやすい。

しかしIMFが、ウクライナ危機前の1月に示した推計では、パンデミックに起因する供給網や貿易の混乱により、2019年から22年にかけての物価上昇率は先進国全般が新興国市場の3倍程度に達した。
各国は減税や補助金の積み増しによって物価高騰への対策を急いでいる。いずれにせよスリランカが急速に混乱に陥った姿は、インフレを甘く見ることの政治的リスクに警鐘を鳴らしている。
以上、ロイター記事参考

人口:2192万人
GDPに対する政府債務比率・・101%(2020年)
3月8日まで1ドル200スリランカルピー(LKR)、4月5日現在297LKR
3月の食料インフレ率は30.2%、全体のインフレ率は18.7%
1月の輸出11億ドル、輸入22億ドル
1月の外貨準備高は23億ドル、3月の対外債務は507億ドル、
対外債務は主に中国、・・・これとは別にインフラ投資の中国企業に対する債務が対外債務に計上されていない可能性も示唆されている。

今年分の返済義務の対外債務をデフォルトさせないためには、債権カットしかないが、異常な残高を債権カットしない限り、同じことは何度でもおきる。中国がスリランカに対するすべての債権を明らかにし、他国の持つ債権とともに一律カットに応じるかどうか、それによりIMFも救済に動くかどうかにかかわってくる。

前回のパキスタン危機では西側がIMFに救済させず、中国がさらに融資して難を逃れたが、今回再びパキスタンも危機に陥っている。
(パキスタン・・対外債務1,306億ドル/外貨準備高238億ドル/20年の輸出額は220億ドル、輸入額は458億ドル/経常収支は▲44億ドル/為替・・・昨年4月1ドル、150PKR⇒22年4月5日現在184PKR)


スクロール→

スリランカの政治

大統領名

期間

スタンス

政党

6

マヒンダ・ラージャパクサ

200515

親中

人民戦線(現在)

統一人民自由同盟

自由党

7

マイトリーパーラ・シリセーナ

201419

中印

自由党離脱

統一国民党支持

8

ゴーターバヤ・ラージャパクサ(6代目の実弟)

2019年~

親中

SLFP

首相:マヒンダ・ラージャパクサ

自由党支持

・親中のマヒンダ・ラージャパクサは、2005年に大統領就任、2009年までに中国とパキスタンから軍事支援を受け、タミルイスラム武装勢力LTTEを壊滅させた。2010年に3選禁止の憲法を改正/中国からのインフラ投資によりタワー・空港・港湾・高速道などを整備、その借金は400年分とされている。縁故主義者・・・兄は大臣、弟は大統領と大臣、長男も大臣。今回、兄と弟、長男の3大臣が辞任した。

ドル高為替安でアジアで、いつも問題になるのはパキスタン、スリランカ、インドネシアなど、対外債務でインフラ整備、高速道・高速鉄道・空港・港湾整備・・・。それでも資源を持つインドネシアは、この間、輸出好調で非常に安定している。

米金利高に対して先進国で異常に為替安に陥っているのは、輸入価格の異常な高騰にもかかわらず、超過大な政府債務=国債残を抱え政策金利を上げられない日本だけ。携帯電話料金の値下げで物価全体が抑えられているインフレ率も今年5月と9月に一巡し剥離してくる。

資源エネルギー価格等高騰、為替安でさらに10%以上高く購入している日本、今に至って為替安について日銀総裁と財務大臣は、経済にとって好影響と発言するほどのアホ盆の見識者が日本の財政と金融を司っている。スタフグレーションな陥るか、デフレに陥るしかない。

[ 2022年4月 5日 ]

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