アイコン 半導体不況 第4四半期 サムスン電子・益半減、SKは赤字へ


今年1~3月の第一四半期には過去最高の営業利益を計上した韓国半導体2社、しかし、第4四半期は一転して、サムスンの営業利益は半減、SKに至っては赤字になると韓国の大信証券のアナリストは予測している。
サムスンの第4四半期の営業利益は、7兆ウォン前後で、前年同期の13.8兆ウォンの半分にとどまると予想されている。

また、SKハイニックスはDRAMで生産調整に入っており、Intel のNAND大連工場買収も重荷になり、同期だけで1.5兆ウォン前後の赤字を出し、来年は5兆ウォン台の赤字が見込まれるとした。
Intel 大連工場は2021年末90億ドル(1.2兆円)で買収した。Intelの罠に嵌ったとされている。米政権はその後、国内生産の半導体メーカー優遇策CHIPS法を制定、最新の半導体製造装置の対中輸出規制、大連工場はその影響を受ける。とんでもない買い物となっている。

 

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<在庫増・在庫処分で業績悪化>
半導体メーカーは現在、本決算の年末までに抱える在庫を最大限消化するため激しく競争し、業況がさらに悪化していると指摘されている。
 問題はこうした状況が少なくとも来年半ばまでは続く可能性が高いという。

市場調査会社の米ガートナーは、韓国の主力であるメモリー半導体市場の規模が来年▲16%縮小すると予想している。
来年の世界半導体市場首位もサムスン電子ではなく、システム半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が見込まれている。

最終製品需要国の欧米のインフレ退治は長引き、高金利で景気悪化、電子製品の部品である半導体の需給バランスは崩れた状態が来年上半期まで続くと見られている。

<来年の半導体市場はマイナス成長>
 業界は、「半導体の冬」の理由として、スマホ、パソコン市場の不振が続いている点を挙げる。
テレワーク・巣篭もり需要を生じた新コロナ特需がウィズコロナ策への転換で一巡したことがあげられる。さらに、インフレ退治の金利高による景気悪化、消費者の購買力が減じ、企業の設備投資も遅滞すると予想されている。

インフレ退治の影響で、来年上半期まではスマホとパソコンが売れず、下半期になってようやく需要が少しずつ回復する見通し。
このため、サムスンの売り上げの両輪であるスマホ、半導体事業がいずれも悪影響を受ける。
来年2月半ばに発売されるサムスン「ギャラクシーS23」シリーズは、これまでよりも一層厳しい戦いが見込まれる。
実際にサムスンの完成品(DX)部門は最近、非常事態経営を宣言し、厳しいコスト削減に突入している。
 需要をリードしてきたサーバー用半導体市場も、DRAMの次世代規格「DDR5」への切り替え需要が本格化するのは来年下半期以降となると見込まれている。
現在市場の主力は2013年に登場したDDR4だが、DDR5は2倍以上高速で動作する上、電力効率が10%以上優れている。このため、電力コストと節減が求められる全世界のデータセンターを中心にDDR5への大規模な切り替え需要が生まれると今年から期待されていたが、DDR5用のCPU(中央演算処理装置)の発売が遅れ、量産がズレ込んでいる。

ハンファ投資証券のアナリストは「CPUの量産時期は来年第1四半期か第2四半期初めとみられ、第2四半期からは顧客企業の在庫蓄積が再び始まる」と予想した。

メモリー半導体は激しい景気サイクルのさなかにあるが、ファウンドリー(半導体受託生産)は来年も相対的に善戦すると予想される。
現代証券のリサーチセンター長は「来年のファウンドリー市場の規模は今年に比べ10%拡大し、1466億ドル(約20兆円/137円)が見込まれる。メモリー価格は在庫処分(サムスンは通常生産で在庫増/SKは在庫増で生産調整中)で下落傾向が続き、来年も半導体市場の首位はTSMCになるだろう」と述べている。

サムスンは通常生産を続け、大きな生産調整をせず在庫を増やし続けており、ほかのメモリ半導体メーカーが在庫を減らしても、総体として在庫は減らず、価格は冷え込んだまま経過する。サムスンは過去もそうであったようにその間に市場シェアを高める戦略をとっている。

<来年も首位はTSMC>
 半導体不況は、2位以下の企業の困難が増すため、首位企業の支配力上昇を後押しするとみられている。
人為的な減産計画のないサムスン電子のDRAM、NAND型のフラッシュメモリー、
ファウンドリーのTSMC、
イメージセンサー(CIS)のソニー、
モバイルAPのクアルコム
は来年躍進が予想されるとみられている。
 
半導体業界は2024年には半導体需要が正常化すると予想している。
半導体メーカーの相次ぐ投資縮小と中国メモリーメーカーの生産能力不足が重なり、メモリー需要が拡大し、価格も上昇に転じる可能性がある。
市場調査会社オムディアは、世界のメモリー半導体市場が来年の1443億ドル(約20兆円)から24年には1725億ドル(約24兆円)へと約20%成長すると予想している。

<サムスンにはもう一つ脅威となっているプレミアム家電製品>
家電領域では、LGと世界中で覇権を競っているが、洗濯機の爆発問題もあり、LGが先行している。
だが、両社に立ちはだかっているのがEUの電力規制。両社の家電部門の利益頭であるプレミアム家電は大型化し、いろいろな機能が付き消費電力が大きく、欧州の電力規制対象になるという。
EUでは電力価格が燃料不足により大幅上昇、気流変動による北海風力発電量の減少と石炭発電の増加による環境悪化問題を抱え、各々の家電製品も消費電力の規制対象とした。
そのため、来年は景気動向とは関係なく、欧州での販売が落ち込み、利益が悪化すると予想されている。普及品は中国製と戦っており利益は大して見込まれない。それに加え、景気まで悪化すれば家電部門の黒字幅はもともと少なく、業績不振に陥る可能性もある。
以上、韓国紙など参照

スマホの市場数は年間15億台、それをピークに減少過程に入っている。アップルとサムスンは数量減をカバーするためプレミアムスマホの開発に力を入れ、販売力を生かし暴利を貪っている。
しかし、景気後退局面では、買い替えサイクルが長期化することから、スマホ業界も苦戦することになる。
OSのプラットフォームを持たないサムスンは売り切りであり影響は大、アップルは日本だけでもアップルストアで4兆円も販売するほど、スマホ販売後の収益が莫大であり、スマホ販売数量減での影響力はサムスンと比較して小さくなる。それもサムスンは自社製半導体を多く搭載しており、販売数量減では自社の半導体生産にも影響してくる。

↓福田昭氏の「急落する半導体メモリ価格」の表より
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[ 2022年12月13日 ]

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