アイコン メモリ半導体業界は今年全体で▲50億円のマイナスと予想 ブルームバーグ


ブルームバーグは1月29日、サムスン電子やSKハイニックス、米マイクロンなどのメモリ半導体業界の今年の営業損失は計▲50億ドル(約6500億円)に達するという予想を発表した。

 メモリ半導体各社は、新コロナパンデミック期間中、テレワーク推進などで情報技術(IT)機器の使用が急増し、好況サイクルに入ると供給を増やした。
しかし、その後、各国がウィズコロナ策に転じ、需要激減、過剰在庫に苦しんでいる。3~4ヶ月分の在庫は過去最大の水準、価格が急落し、企業損失も増えている。

 半導体は産業の特性上、好況と不況の周期が交互に現れるが、今回はパンデミックという異常事態で需要拡大が発生し、その終焉により半導体需要は低迷しており、その反動と世界経済の低迷も加わり尋常ではないというのが産業界の見方でもある。

米半導体装置メーカー・ラムリサーチは最近、業績発表後、投資家らとのカンファレンスコールで、「メモリ半導体メーカーは、単なるコスト削減だけでなく、工場稼動の縮小や技術投資の遅れなど、特別な措置を取っている。これは前例のないことだ」とし、「ウェハー工程の装置の中でメモリが占める割合は、25年間見られなかった(低い)水準だ」としている。

 メモリ半導体の急落は、世界1位のサムスン電子など個別企業の損失だけでなく、韓国や日本、台湾、中国などアジア経済は、半導体など技術産業への依存度が大きいため萎縮をもたらしかねないという懸念もある。

 

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サムスン電子は通常、半導体の低迷期に投資を増やし、回復傾向への転換する際に市場を先取りする戦略を取ってきたが、今回はサムスンも供給を縮小(=生産調整)するものとみられると、ブルームバーグは報じている。

 グローバルメモリ半導体の市場規模は1600億ドル(約20兆円)に上る。半導体メーカー各社は、低迷周期に耐えるため、新規投資抑制のほか、人員削減のカードまで取り出してベルトを引き締めている。
米マイクロンは昨年末、今年第1四半期(1~3月)の営業損失を警告し、役職員の10%を削減すると明らかにしている。装置メーカーのラムリサーチも7%の人員削減に乗り出す。

 ただ、半導体の主要消費国である中国が、新コロナら対して昨年12月ロックダウン解除、景気回復に乗り出しているだけに、成長に拍車がかかれば、下半期(7~12月)にはメモリ半導体が再び回復傾向に転じる可能性が高いという。
中国経済の回復は、需要萎縮にともなう半導体メーカーの減産効果により、在庫処理も進み、下半期になれば本格的に現れ、持ち直しの要因になりうる。

 インテルは1月発売した中央処理装置(CPU)のサファイアラピッズも、半導体業界の業績改善に前向きな影響を与えると見られている。
インテルは、サーバー用CPU市場の約90%を占めているが、ビックテック企業などを中心にサーバー交換に乗り出す場合、メモリ半導体需要も増える可能性が高くなる。
ただ、ビッグテック企業は眼下、人員削減、投資抑制に動いており、効率化、新規戦略投資に動くのか、インフレ退治の米金利の上昇・高止まりが続く公算が高く、企業は投資抑制に入っており、こうした世界経済の動向を見守っている段階でもある。

ただ、半導体製造装置メーカーは、米国の貿易保護主義のCHIPS法を制定、さらに対中最新半導体製造装置の輸出禁止制裁に動いているものの、米国にとどまらず韓国・台湾から工場進出を力で呼び寄せ、2025年からそうした企業の巨大工場が次々に完成してくることから、目先、順風満帆の様相でもある。
中国も製造2025国産化計画により、半導体の製造は10ナノ以下の最新の半導体の生産は無理だとしても、それなりの水準の国産化比率を上げ、半導体産業は今年から回復に向かうものと見られる。
欧州も半導体の域内生産を高める動きとなっており、システム半導体の受託生産=ファンドリー専門のTSMCもドイツ新種も決定している。

半導体景気が回復していると見られる2025年以降は、需要国の米国や中国のメーカーは当然、国産品使用や国産メーカー製の半導体の使用を強制すると見られることから、韓国産の半導体の需要は難しい選択を迫られることになる。
そうしたことを踏まえ、サムスンは米国への進出工場はファンドリー工場にするとしているが・・・。
TI・マイクロン・インテル・TSMCなどなどが巨大工場をいくつも米国内に展開する計画となっている。

[ 2023年1月31日 ]

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