インフレと戦う米経済 FRB負けインフレの勝ち
米国のインフレは、バイデン大統領が21年に就任祝いとして1.9兆ドルの新コロナ経済対策費を投入したことにはじまり、何でもかんでも上昇してしまった。露制裁の前の22年2月のインフレ率はすでに7.9%に達していた。
今度はインフレ退治に金利上昇させ、商品価格の下落を狙っているが、バイデン政権は一方でCHIPS法やIRA法で内需を押し上げている。ウクライナ戦も米軍需企業は超多忙状態となっている。
そんなこんなで米経済は悪化せず、労働者の需給は逼迫し続け、その労働者の購買力がインフレを高止まりさせることになる。
今後、インフレ率は下がろうが、昨年との比較であり、すでに21年10年からインフレ率は高くなっており、CPI指数で見る必要がある。
そうしたことも踏まえ、インフレ率を2%以下にすることは至難の業、FRBがいくらインフレ率を抑制させようとしてもバイデン政権は景気浮揚策に一生懸命になっており、FRB=FOMCの政策は空振り三振。
すでに金融専門家は6.5%まで金利を上昇させる必要があると指摘している。
米バイデン政権のマスターベーションだろうが、ドル高為替安による世界経済への、特に新興国の経済への打撃は計り知れないものとなる。
ロイターは次のとおり伝えている。
米国の著名経済学者のグループは2月24日、連邦準備理事会(FRB)が景気後退(リセッション)や失業率の大幅な悪化を招かずにインフレを抑制するのは至難の業で、景気後退が発生しても2%のインフレ目標を達成できない時期が今後何年も続く可能性があるとの報告書を公表した。
報告書をまとめたのは、国際決済銀行(BIS)の元エコノミストでブランダイス大学国際ビジネススクール教授のスティーブン・チェケッティ氏、JPモルガン・チェースのチーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏、元FRB理事でコロンビア大学ビジネススクール教授のフレデリック・ミシュキン氏。
米国、ドイツ、カナダ、英国の中央銀行が「ディスインフレ」を誘導した事例16件を調べたところ、「中銀によって生み出された大規模なディスインフレが景気後退なしに起きた事例は皆無だった」という。
FRBは昨年12月に公表した最新の経済見通しで2025年末のインフレ率を2.1%、失業率を4.6%前後と予測しているが、報告書は見通しが甘いとし「25年までにインフレ率を目標の2%に引き下げるコストには、少なくとも穏やかな景気後退が伴う可能性が高い」と分析した。
1985~2019年の「グレート・モデレーション(大いなる安定期)」は、インフレの粘着性が弱かったが、それ以前はインフレショックの抑制が難しかったとし、今後の景気・インフレ動向がどちらの時期に似た動きをするかが結果を大きく左右すると強調している。
報告書はFRBが過去数十年の穏やかなインフレに慣れ切って、21年にインフレの加速が始まった際に「予防的な」利上げを怠ったことが「大きな誤り」だったと主張。その後の急ピッチな利上げを評価しながらも、今後の道のりは厳しいとの見方を示した。
報告書が提示した望ましいモデルでは、政策金利が23年に5.6%前後でピークに達するが、25年末のインフレ率は3.7%にしか低下しない。FRBは昨年12月に政策金利のピークを5.1%と予想している。
報告書は、シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス主催の会議に24日に提出されたが、複数のFRB当局者が反論。
クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、過去のディスインフレに伴った景気後退の原因が、過度な金融引き締めだった可能性はあるが、物価安定の実現に景気後退が必要なわけではないとし「インフレを抑制する際に政策行動の遅行効果に配慮する必要があるということだ」と述べた。
この日発表となった1月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比5.4%上昇と、前月の5.3%から伸びが加速。FRBのインフレ対策が後手に回っているのではないかとの見方が浮上した。
以上、
米経済だけでインフレが生じているわけではない。逆に中国がロックダウン政策をしていたことにより、その率を抑制させた感もある。
その中国は昨年12月からウィズコロナ策に大転換、今後経済回復が見込まれるが、今後、中国発で国際商品価格が高騰する可能性もある。
リーマンショック後、中国が大規模インフラ投資を実施、鉄鋼石・スチール価格、鉄スクラップ価格が急騰した過去もある。
米国の22年9月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が32.46ドル(4382円/135円/前月32.36ドル)となり、前月から+10セント増加。
一方、民間の週当たり労働時間は34.5時間(前月34.5時間)とこちらは前月から横這いとなった。
この結果、週当たり賃金は1,119.87ドル(週給151,182円/前月1116.42ドル)と前月から増加した。
スクロール→
米国の各種インフレ率 |
|
||||
|
インフレ率 |
基準 |
|||
|
全体 |
コア |
食料 |
サービス |
金利 |
21/9月 |
5.4 |
4.0 |
4.6 |
3.20 |
0.25 |
21/10月 |
6.2 |
4.6 |
5.3 |
3.65 |
0.25 |
21/11月 |
6.8 |
4.9 |
6.1 |
3.77 |
0.25 |
21/12月 |
7.0 |
5.5 |
6.3 |
4.01 |
0.25 |
22/1月 |
7.5 |
6.0 |
7.0 |
4.58 |
0.25 |
22/2月 |
7.9 |
6.4 |
7.9 |
4.80 |
0.25 |
22/3月 |
8.5 |
6.5 |
8.8 |
5.12 |
0.50 |
22/4月 |
8.3 |
6.2 |
9.4 |
5.37 |
0.50 |
22/5月 |
8.6 |
6.0 |
10.1 |
5.74 |
1.00 |
22/6月 |
9.1 |
5.9 |
10.4 |
6.22 |
1.75 |
22/7月 |
8.5 |
5.9 |
10.9 |
6.25 |
2.50 |
22/8月 |
8.3 |
6.3 |
11.4 |
6.81 |
2.50 |
22/9月 |
8.2 |
6.6 |
11.2 |
7.37 |
3.25 |
22/10月 |
7.7 |
6.3 |
10.9 |
7.20 |
3.25 |
22/11月 |
7.1 |
6.0 |
10.6 |
7.20 |
4.00 |
22/12月 |
6.5 |
5.7 |
10.4 |
7.52 |
4.50 |
23/1月 |
6.4 |
5.6 |
10.1 |
7.60 |
4.50 |
|
|
|
|
|
4.75 |
|
|||||
|
消費者 |
可処分 |
賃金 |
就業数 |
|
|
CPI |
個人所得 |
時間給 |
万人 |
|
21/9月 |
|
億ドル |
$ |
|
|
21/10月 |
276.58 |
|
|
15,258 |
|
21/11月 |
277.94 |
18,367 |
|
|
|
21/12月 |
278.80 |
18,396 |
26.7 |
|
|
22/1月 |
281.14 |
18,080 |
26.8 |
|
|
22/2月 |
283.71 |
18,175 |
26.9 |
|
|
22/3月 |
287.50 |
18,270 |
27.0 |
|
|
22/4月 |
289.10 |
18,320 |
27.1 |
|
|
22/5月 |
292.29 |
18,424 |
27.3 |
|
|
22/6月 |
296.31 |
18,537 |
27.4 |
|
|
22/7月 |
296.27 |
18,616 |
27.5 |
|
|
22/8月 |
296.17 |
18,700 |
26.6 |
|
|
22/9月 |
296.80 |
18,771 |
27.8 |
|
|
22/10月 |
298.01 |
18,818 |
27.9 |
15,834 |
|
22/11月 |
297.70 |
18,903 |
28.1 |
|
|
22/12月 |
296.79 |
19,207 |
28.2 |
15,924 |
|
23/1月 |
299.17 |
19,595 |
28.3 |
16,013 |
|
|
|
|
|
|