アイコン 韓国勢のEV用バッテリー累積受注額100兆円突破へ 別途、全固体電池の動きも


最近、世界EV市場の需要鈍化への懸念にもかかわらず、SK onの累積受注額が290兆ウォンを超え、 韓国勢のバッテリー3社の累積受注総額は815兆ウォン、近いうちに1000兆ウォン以上へと大幅に拡大する見通しだと報じた。

2025年基準の生産能力(予定)は、
1、SK onが220GWh/累積受注額290兆ウォン
2、LG-ESが540GWh
3、サムスンSDIが140GWh(仮定)

としても韓国勢3社のバッテリー生産能力は800GWhとなり、
平均90kWhを搭載しても880万台分用の生産能力を有するようになる。
平均80kWh搭載とすれば1000万台、
中小型の70kWhだとすれば1,140万台分となる。

 

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英調査会社LMCオートモーティブなどによると、22年のEV販売台数は前年比68%増の780万台に達した。うち中国が81.6%増の536万台、ほか欧米中心に250万台販売されている。
 今年は米国でIRA法に基づくEV補助金制度も実施されており、今年以降、米国でも大幅な販売増加が見込まれている。

 業界によると、SK onは1月末基準で累積受注額290兆ウォンを突破。 これは約7兆ウォン台と予想されるSK onの昨年の年間売上高の40倍を超える規模。
完成車メーカーと増量合意を終えた物量まで反映すれば、実際の受注額はこれよりさらに多い。
 SK onの受注額の相当部分は現代自と米フォード社に納品することにした物量だという。
SK onとフォードはEVバッテリー生産合弁法人のBlueOvalSKを通じ、米ケンタッキー州とテネシー州にバッテリー生産基地3ヶ所を構築中。年生産量は計129ギガワット時(GWh)規模で、これは車両1台当たり105キロワット時(kWh)バッテリーが搭載されるフォードのEV「F-150ライトニング」のピックアップトラックを約120万台生産する規模に相当する。

<米国事情>
 ただし、フォードのEV「F-150ライトニング」の生産計画は22年1.5万台(生産販売済)、23年5万台、24年8万台とされている(有償受注台数は12~20万台)。
 
フォードのマスタング・マッハEもテスラ車に続く販売台数となっている。7500ドルの補助金対象はセダンEVの場合5.5万ドル以下であり、テスラとフォードは1月、5万ドルを切る価格も設定するなど大幅値下げしている(ピックアップトラックやSUVのEVは8万ドル以下)。
テスラのモデル3の全輪駆動車の購入価格は5万3990ドルとなり、従来の6万2990ドルから14%値下げ。ロングレンジのモデルYは5万2990ドルで、従来の6万5990ドルに比べ20%安く、補助金対象車にして拡販を優先させている。
 「マスタング・マッハE」も平均で4500ドル値下げ、4万5995ドル~「マッハE GT」6万3995ドルル(補助金対象外)まで大幅値下げをしている。

 資源高でバッテリー価格が高く、結果、車両価格も高く、内燃機関車に太刀打ちできないが、環境派の購入により販売台数は大幅に増加している。
 EV車両メーカーはIRA法補助金対象になるように値下げしており、その皺寄せがバッテリーメーカーに影響している可能性も高い。特にパナ社は4680電池開発ではテスラの技術も入っており、値下げ要求もきつく、これまでほとんど儲かっていない。

ただ、米金利高に基づく、世界的な金利高は自動車購入ローン金利も上昇しており、補助金があっても内燃機関車より高く、金利高は今年いっぱい続くと見られ、金利高で景気減速も考慮され、EV販売の勢いに水を差す可能性もある。

<現代自とSKon>
韓国勢、現代自の代表的なEVである「アイオニック5」と起亜の「EV6」にもSK onバッテリーが搭載されている。 今後、現代自の「アイオニック7」など発売予定モデルにも納品される予定される。現代自は2025年生産開始予定で米ジョージア州にEV専用工場を建設中でもある。
 これと共に、SK onはVWグループとダイムラーグループ、中国北京自動車グループなどとも協業を検討している。
現行、韓国と米国、ハンガリーなど国内外でバッテリー生産工場8ヶ所を稼動させ、年間88.7GWhの生産能力を備えている。
さらに、現在建設中の5工場が完工する2025年以降の生産規模は220GWhを大幅に上回る。

<LGは>
 業界2位のLGエネルギーソリューション(LG-ES)は、昨年末基準で累積受注額38.5兆ウォンを突破している。
2025年までに生産能力を540GWhまで引き上げる方針。
 LG-ESは、欧州内のEV需要が減少するだろうという懸念があるが、米現地生産バッテリーを要求する顧客会社が増えているため、これを通じて相殺が可能だ”とし、今年の年間売上高を昨年比25~30%拡大するという目標を提示した。

<サムスンSDIは>
 サムスンSDIは受注残高を公開していない。 業界内外ではサムスンSDIが140兆ウォン規模の物量を確保したものと見ている。

これを考慮すれば、韓国バッテリー3社の累積受注残高は約815兆ウォンだが、未契約の追加注文物量まで加えれば、1000兆ウォンに迫るという見通しが出ている。

 バッテリー業界は完成車との協力関係を多角化し、安定的な受注を続ける計画。
サムスンSDIは世界4位の完成車メーカーであるステランティスとジョイントベンチャーを設立し、米インディアナ州にEV用バッテリー生産工場を建設する。
LGエネルギーソリューションもステランティスと提携し、合弁会社のNextStar Energyを発足させている。
以上、

韓国紙は常に韓国勢は万歳万歳万々歳ばかりを掲載するが、SKonは昨年フォードと提携したばかりのトルコでのEVバッテリー共同事業は、フォードが白紙にし、LGと提携しなおしている。
また、フォードの主力車ピックアップトラックの「Fシリーズ」のEVは本社工場で生産されているが、すぐ近くでフォードはEVバッテリーを、当初35GWhで自社生産すると投資計画を発表している。中国CATLのライセンス供与を受けてのことだが、自社生産は専業メーカーからの購入より、合弁工場からの購入より、自動車メーカーとして利益を最大化できる利点もある。

SKとフォードの関係は、現在、火災問題を抱え、関係がギクシャクしている。
そうした中でトルコ合弁事業計画の白紙化、CATLのLFP電池のライセンス生産も発表されている。コバルトフリーのLFP電池は、コバルトを使用する韓国勢の3元系バッテリーより2~3割安価で、安全性も3元系よりすぐれている。1充電の走行距離やパワー面では3元系が有利だが、LFP電池でも400キロの走行距離を実現しており、日常車としての利用にはまったく遜色はない。

 


スクロール→

2022年-通期 EV用バッテリー世界ランキング

 

/GWh

本国

21年

22年

伸び率

シェア

1

CATL

中国

99.5

191.6

92.5%

37.0%

2

BYD

中国

26.4

70.4

167.1%

13.6%

2

LGエネソル

韓国

59.4

70.4

18.5%

13.6%

4

パナソニック

日本

36.3

38.0

4.6%

7.3%

5

SK on

韓国

17.3

27.8

61.1%

5.4%

6

サムスンSDI

韓国

14.5

24.3

68.5%

4.7%

7

CALB

中国

8.0

20.0

151.6%

3.9%

8

Guoxuan

中国

6.7

14.1

112.2%

2.7%

9

Sunwoda

中国

2.6

9.2

253.2%

1.8%

10

Farasis

中国

2.4

7.4

215.1%

1.4%

 

その他

 

28.5

44.5

55.9%

8.6%

 

301.5

517.9

71.8%

100.0%

SNEリサーチ版

 

こうした見通しに対して日本勢は次世代の全固体電池へシフト、
自動車メーカー主導で次世代型EV用バッテリーを開発中。
日産の欧州研究開発担当上級副社長であるデビッド・モス氏は2月、同社が全固体電池の開発に成功して25年にパイロット生産を開始、28年には全固体電池を搭載したEVを発売する予定であると明らかにした。
ドイツのBMWも、25年に全固体電池搭載のプロトタイプ車を生産する計画を打ち出した。
全固体電池は長い航続距離、高速充電、長寿命を特徴としており、次世代のEV競争で重要な技術となる可能性が高いことから、日本での開発成功に対し、中国勢や韓国勢は・・・あせり・・・。

 日本は早い時期から全固体電池の開発に注力、トヨタは2010〜14年に硫化物系固体電解質に関連する大量の特許申請を行っていた。さらに、固体電池の普及を大きく妨げている要因の一つが液体電池の4倍とされるコストであり、日本ではトヨタ、パナ社、京大、理研など自動車、電池、材料メーカーなど38の企業+研究機関がタッグを組み、2030年までに全固体電池のコストをリチウムイオン電池の30%にまで低減する計画を打ち出して研究に取り組んでいる。
トヨタは新社長になり、EVでの出遅れ感は決定的となっており、価格がリチウムイオン電池と競争力を持った段階で全固体電池の採用を急ぐことだろう。それまでの繋ぎとして3元系かLFP電池を採用する可能性も高い。すでにそうしている。

性能大幅アップで電池価格が下がれば、一方で進む完全自動運転車の開発促進やその販売価格の低減にもなり、早期普及を実現させることが現実的なものとなる。
完全自動運転車の高付加価値車はより空間エンターテイメント要素を高めると見られる。さらに、空飛ぶ自動車・エアロタクシーの急速な普及も見込まれる。
3元系もLFP電池もその過程にある電池に過ぎなくなる。

[ 2023年2月25日 ]

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