アイコン キャノンの優れもの 次世代露光装置 ナノインプリント SK採用へ


SKハイニックスは今年、日本のキヤノンからナノインプリント露光装置を導入し、テストを進めている。2025年ごろに同装置を使い、3D(3次元)NAND型フラッシュメモリーの量産を開始することを目標に研究開発を進めており、これまでのテスト結果が順調であるため、量産用設備も追加発注される見通しだ。

半導体業界によると、SKハイニックスは今年、キヤノンからナノインプリント露光装置のテスト装備を購入し、3D NAND型フラッシュメモリーの生産工程に適用するためのテストを進めている。
業界でナノインプリント露光装置期、現在最先端製造プロセスに使用されている極端紫外線(EUV)露光装置の次世代設備とされ、これまでは研究開発レベルでの採用にとどまっていた。

 

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 次世代の露光技術として脚光を浴びてきたナノインプリント露光装置は、ナノパターンが刻まれたスタンプを使い、まるで印鑑を押すようにシリコンウエハー上にナノパターンを転写するのが特徴。
① 液体である紫外線感光液をシリコン基板上にコーティングした後、
② 透明なスタンプを接触させ圧力を加えるとスタンプとの間にパターンが形成される。その後、
③ 光を投射してパターンを固体化する。
安価な紫外線を光源として使用し、レンズを使わないため、従来のフッ化アルゴン(ArF)液浸露光装置や最高2000億ウォン(200億円)もするEUV露光設備を使用するよりも経済的とされている。

既存のArF設備で形成できる回路線幅の物理的な限界値は38ナノメートルにとどまる。主要半導体メーカーは、ArF液浸露光装置で回路パターンを2回または3回かけて形成するダブルパターニング技術を導入し、20ナノメートル以下にまで微細化を進めてきた。
しかし、こうしたマルチパターニング工程を導入すると、生産時間が長くなり、蒸着やエッチングなどに使う設備の導入も増やさなければならない。それがスペースを取るため、生産ライン全体の生産量が減るデメリットが大きい。
 SKハイニックスに詳しい関係者は、「既存のArF液浸露光装置では数回パターニングを行わなければならないため、工程の数が増え、生産コストが増大する」とした上で、「通常4回のマルチパターニングが必要な既存工程に比べ、ナノインプリント露光装置がコスト面ではるかに優れていることは、ある程度確認された」と説明している。

 ただ、ナノインプリント露光装置もまだ完全なものではない。
同関係者は「EUVと比較してパターン形成の自由度が落ちるため、一定のパターンを維持するNAND型フラッシュメモリーの生産に優先的に採用される見通しだという。
「SKハイニックスが設備調達に乗り出したのもそのためだ」と付け加えた。
 ナノインプリント露光装置が商用化されれば、SKハイニックスをはじめとするNAND型フラッシュメモリー業者は、200層台からますます工程の難度が高まっている3D NAND型フラッシュメモリーの分野で生産性を高めることができるとみられる。
3D NAND型フラッシュメモリーでは、積層数を増やすためにあらゆる化学薬品処理で表面を低くすることがカギだが、200層を超えるとその部分がますます難しくなっている。

一方、ライバルのサムスン電子もマルチパターニング工程導入によるコスト上昇問題を解決するため、いち早く極EUV露光設備を導入し、それ以外にナノインプリント露光装置を含む3~4種類のソリューションを開発しているとされる。

<キャノン 究極の微細加工技術ナノインプリントリソグラフィ>
キヤノンは、低コストで微細化を可能にするナノインプリントリソグラフィ技術で半導体業界に革命を起こそうとしている。
半導体チップの進化は回路パターンの微細化の歴史でもあった。微細化のカギを握ってきたのが「露光装置で使用される光源の短波長化」と「微細化に対応した露光技術」の開発だった。
1990年代前半、波長365nm(nm:ナノメートル=10億分の1メートル)のi線露光装置が登場し、350nmパターンという微細化を実現。
以後、新たな短波長光源が開発され、2000年代後半のArF液浸露光装置による38nmにおいて技術的限界に達したといわれている。

EUVなど、各社が技術のブレークスルー(=打開策)を模索するなか、キヤノンは、短波長化に代わる新たな技術で、さらなる微細化の道を切り拓こうとしている。
それは、低コストで微細化を実現する、ナノインプリントリソグラフィ(Nanoimprint Lithography:NIL)。15nm以下の線幅をシンプルなプロセスで安価に製造できるため、半導体業界に革命を起こす技術と期待されているとしている。
ナノインプリントリソグラフィは、
1995年 プリンストン大学Chou 教授らによって熱サイクルナノインプリント法が提案された。10nm程度の解像度を有する加工技術として注目されている。


 

[ 2023年5月 8日 ]

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