アイコン 米国の商業用不動産会社は次の雷管 空き室率


3月、米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破たんに触発されたグローバルな銀行危機が沈静化するかと思いきや、新たな金融危機の恐怖が再び押し寄せている。米国に加え世界の主要都市のオフィスビルも雷管になりつつある。

3年以上コロナパンデミックを経験してから拡大したホームワーク(在宅勤務)や金利上昇による企業の構造調整の影響で商業用ビルの空室率が高まり、資産価値が急落している。
このような不動産に投資したり、融資をした金融機関の債権の不良化が、一気に起きる場合、世界の金融システムは大きな衝撃を避けられない。

 今年3月末、世界17大都市のうちニューヨーク、香港、上海、ロンドンなど10都市の平均空室率は2008年グローバル金融危機直後の水準を上回っている。

ニューヨークでは、エンパイアステートビルの26階分(102階建)のオフィス分が空室で、香港のランドマークである長江センター(70階建)も4分の1が空室となっているという。

 

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米国ではこのような商業用不動産向け融資金の80%を、破たんしたSVBやシグネチャー銀行のような地方の中小銀行が融資している。

「ウォール街の皇帝」と言われるJPモルガン・チェイスのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)らが最近、商業用不動産発の金融危機の可能性を警告している。 

米連邦預金保険公社(FDIC)などが2006年に定めた指針では、銀行は商業用不動産(CRE)への融資が総資本の300%および建設向け融資が総資本の100%を超えると、当局からの監視が強化されるシステム。
今年5月16日に公表された4760行の公式規制データに基づけば、763行はCRE向けと建築向けのいずれかが上限を超えている。
そうした銀行の割合は、総資産10億~100億ドルの銀行で約30%(約1.4兆円まで)、総資産100億~500億ドル(約1.4兆円~約7兆円まで)の銀行で23%に及ぶ。
 監視当局は、こうした対象行に対して、商業不動産ローンなどの債権の売却を促すことから、対象行では当然、こうした不動産業界に対しての貸し渋りも生じてくる。大手が融資しないような案件が多く借り換えも難しく、不動産開発のPFも組めるような地合いではなく、不動産会社の資金繰りを急悪化させる恐れが指摘されている。

FDICのグルーエンバーグ総裁は5月の議会証言で、現在のような市場環境が%続けば、CREローンのポートフォリオは「厳しい状況に直面する」と警鐘を鳴らした。しかし、6月はインフレ退治の金利上昇は見送られたものの、さらに今年2回金利を引き上げる用意があるパウエルFRB議長は5月議会で証言しており(5.25%+0.25%×2回=年末5.75%予定)、こうした金利の高止まりも続き、商業用不動産の空き室率が改善する余地は少ない。中堅不動産会社が倒産すれば、不動産会社の破綻が雪崩現象を起こし、その雪崩は多くの金融機関を巻き込み、さらに不動産投資ファンドの売却証券にも大きな影響が出るおそれがあり、そうした証券を購入して資金運用する年金などの機関にも影響してくる。

現在、米国で発売される投資ファンドの証券回りは、当然、銀行金利より高く設定され、中身には金利を押し上げる劣後ローン債権も多く含まれているという。
投資証券は利回りは良くなるが劣後ローンは破綻したときのリスクは異常に高く、万が一には元本割れに至るケースも当然出てくる。
販売証券ほ組成する投資ファンドは、リスク回避からいろいろな債権を組み合わせているものの、こうした状況が続けば、最悪、元本が半減する投資証券が発生するおそれもある。
 
 株価が上昇しているが、世界の投資家・投資機関が、世界で唯一のマイナス金利での円安効果、日本企業のファンダメンタルの見直しにより株価は急激に上昇した。

日本の証券会社は日本企業はバラ色だと囃し立てているが、実質、外資にとって超円安で安価に購入でき、超円安も150円が限度、来年か再来年に米金利が下がれば110~120円の円高に至り、その後は株を日銀と日本年金機構が買い支えることから、安心材料として日本株を購入しているもの。
通常、外資が大量に日本株を購入し続ければ円高に至るが、あまりにも為替圧力が強く、まったく関係なしに植田放任円安が進んでいる。黒船・黒田丸の呪いは向こう5年間解けそうにない。
米株価は21年11月以降、行ったり来たりのBOX相場、最近では銀行破たんなどリスクも抱え、その逃避資金が日本株や仮想通貨に大量に流れ込んできているもの。

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[ 2023年6月26日 ]

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