アイコン サムスン 半導体危機どう乗り切るか SK の先行にトップ交代


生成AIはいろいろな場面で変化をもたらしている。より効率的に、より高速で処理できるハード部門にも大きな変化が生じている。
ロジック(システム)半導体の進化は画像処理のため高速計算できるGPUにより、画像処理に大きな変化をもたらしたが、そのGPUで生成AIプログラムを動かし、生成AIが誕生した。
現在はその次の段階に生成プログラムも進化、読み取り・動かすハードのGPUも進化、メモリ半導体も広帯域のHBMが登場、現在の主流HBM3まで進化し、すでに最新のHBM4まで開発されている。

メモリ半導体№1のサムスンは、このHBMに乗り遅れ、SKがNVIDUAに売り込み、NVIDUA-GPU + SK-HBM3が生成AIプログラムを動かす主流となっている。遅れをとったサムスンはHBM4を開発し、巻き返しをはかっている・・・。

NVIDIAのGPUは台湾のファンドリーメーカー(受託生産)のTSMCで製造されており、SKもHBM4を開発、SKは5月、TSMCと事業提携、NVIDIAも囲い込み、生成AI用ハードを優位に提供する計画となっている。

 

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ただ、HBM4になると3まではセットメーカーによりセットされていたが、次の段階では、ロジック半導体の上にメモリ半導体のHBM4を構築する構造に1チップ型に進化するとされ、SKも生産調整など死活問題の一方、HBM3まで優位に進めた戦略を次世代の4でも優位に展開する動きとなっている。

一方、サムスンは主力のメモリ部門に加え、ファンドリー部門を擁しており、NVIDIAから受託すれば自社製4を組み込んだチップが、自社工場内で完成させることができ、その利点を前面に出し、営業を仕掛けている。

ただ、サムスンは以前、NVIDIAのGPUシリーズを受託生産していたものの、問題が発生し、NVIDIAは発注をTSMCに回帰させ、こん日に至っている現実もある。現在は当時よりNVIDIAのGPU市場は格段に大きくなっている。

リスク面からNVIDIAにしても、発注相手社が1社体制ではリスクが大きく、規模も比較にならないほど成長しており、2社体制にするものと見られる。虎による台湾有事リスクも横たわっている。
そのためかTSMC自体も米工場建設を急ぎ、提携先としてSKのほか、サムスンや米マイクロンなどとも協議しているとされる。

生成AIは、訓練データの規則性や構造を訓練において学習することで、訓練データに含まれない新しいデータを生成する。
生成AIシステムとして、
●OpenAIがGPT-3やGPT-4の大規模言語モデルを使用して構築したチャットボットの「ChatGPT」、
●GoogleがLaMDA基盤モデルに構築したチャットボット「Bard」などがある。

生成AIは、アート、執筆、ソフトウェア開発、ヘルスケア、金融、ゲーム、マーケティング、ファッションなど、幅広い業界で応用できる。すでに多くの場面で多くの問題も生じている。

生成AI は、OpenAIのGPTシリーズのプログラムを動かすのに、NVIDIAのGPUが用いられ、NVIDIAの市場占有率は80%に達している。ほかにはAMDのGPU=Radeonシリーズなども売上げを拡大している。
そのNVIDIAのGPUを製造しているのが、ファンドリーメーカー世界一のTSMCであり、さらに高速演算を可能にした超高速の広帯域幅メモリHBMと、セットにして高機能を発揮させている。

それも最新のHBM4モデルからは、ロジック(=システム)半導体とメモリ半導体の境界がなくなり、一体化して製造されるという。
韓国ではSKがHBM3をNVIDIAが採用し、SKが先行し、業績回復にも寄与した。HBM4ではサムスンが先行開発したものの、SKも開発し、SKはTSMCとの業務提携まで進展させている。

一体型のチップは、ロジック半導体=GPUの基盤はベースにHBM4を垂直に積み上げ一体化させ製造。
具体的にはTSMCが製造したGPUを、SKのラインでHBM4を繋いで乗せ一体化させたチップを製造、より高性能でより高速の演算装置を製造するもの。当チップにより、より高度で高速に生成AIプログラムを動かすことができるようになる。

こうしたHBM積層技術は基盤のロジック半導体は各種設定され、これまで、別々に製造され、セット・パッケージされていたものが、より高性能・小型化することになる。また、システム半導体とメモリ半導体の垣根がなくなることをも意味する。

ゆくゆくは生成AIが自ら各種プログラムを描き、OPEN-AIもNVIDIAも失業に追い込まれるという。

サムスンが半導体トップを入れ替え、巻き返しを図るには、これまでの流れがあり、NVIDIA以外でもファブレスメーカーから受託したシステム半導体にHBM4を組み込み、一体化させ提供する営業に専念するものと見られる。
ただ、クアルコム(スナップドラゴン)やNVIDIA(GPUシリーズ)から以前ファンドリー事業で受託生産していたが、歩留まり問題=納期問題や発熱問題を生じさせ、新製品は再度TSMCへ発注している経緯がある。

開発だけのシステム半導体のファプレスメーカーは、ファンドリーメーカーで問題が生じれば、商売できなくなる。一方で、ファンドリーメーカーが問題を生じさせれば、何百・何千億円もの損害金がファブレスメーカーや運営会社から請求される(サムスンはアマゾンのデータセンター用メモリ半導体で問題を生じさせ、4千億円前後の損害金を支払っている)。
そうしたこともあり、サムスンは保守的に成らざるえなく、SKや米マイクロンが早期に半導体の生産調整に入り、SKは次世代メモリのHBM開発でもサムスンより先行している。

サムスンは過剰在庫のメモリ半導体生産を続け、米マイクロンやSKの生産調整より5ヶ月も遅れ2023年3月に生産調整に入った。生産調整しても中国・欧州経済の悪化から半導体景気はなかなか回復せず、市場占有率を増加させたわけでもなく、HBM開発でも遅れをとってしまった。
昨年秋口、やっと生成AI「ChatGPT」がOPEN-AIから発表され、スマホやパソコン・タブレットに搭載型が登場、新コロナ特需の反動から落ち込んだ電子機器に新たな需要を喚起させている。すでにビッグテクのデーターセンターでも採用され、急速に需要が拡大している。
サムスンにとっては、HBM4ではSKに先行したものの営業面では乗り遅れ、AIコンピューティングをリードするNVIDIAとの関係強化が求められている。


ロジック半導体・・・論理素子・・・CPU(中央演算装置)、
DSP(信号処理特化型マイクロ運算装置)
GPU(画像処理用高速演算装置)
メモリ半導体・・・・記憶素子・・・DRAM(揮発性メモリ)⇒HBMに進化、
NAND(不揮発性記憶素子)

これまでは、これらのパッケージング技術が進化してきたが、今後、半導体製造メーカーにおいて一体型のチップが製造されるようになる。

サムスンが世界№1に定着するには、ファブレスからファンドリー部門が受注した各種ロジック半導体に、自社のメモリ半導体を一体化させたチップ製品への進化が鍵となる。またこうした半導体やチップをニーズに応じて複合的にセットする業務は拡大が続く。
何でも1社体制では問題が生じた場合パニックになる。

先般の半導体不足は、2020年10月に生じた延岡市の旭化成のロジック半導体工場の全焼にあり、当該半導体を製造していたのは1社だけだったため、ナビやカーオーディオ、ゲーム機の製造に影響、車両搭載機器が製造できなくなり、自動車製造が頓挫した。
その間、自動車メーカーや半導体商社が半導体を買い占めたため、さらにいろいろな半導体が不足し、自動車にとどまらず、半導体を組み込むゲーム機、電子製品、機械業界等の製品も製造が困難となった。
こうしたことからも単一半導体の製造の寡占は、製品業界も嫌い、巨大化したファブレスメーカーも2社3社への発注体制に入るものと見られる。
結果、サムスンが2030年までにシステム半導体でも世界一になるという野望を出さなければ、技術流出の懸念もなくなり発注側も発注しやすく、サムスンはGPU+HBM4のチップで巻き返すことは可能と見られる。
また、米国の電子製品メーカーの多くの製品は中国で製造されており、中国のそうした組立工場へ、低コストで半導体を輸送できる韓国や台湾の半導体工場はそれを可能にしている。

今やスマホ・パソコン・タブレットなど次々に生成AI搭載型製品が出現、GPUの進化がメモリの進化をもたらし、更なる需要を喚起し、GPU市場の拡大が続いている。

 

[ 2024年5月23日 ]

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