中国経済成長 第2四半期4.7%増に鈍化 前期5.3% 世界主要国のGDP推移
中国国家統計局が7月15日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同期比4.7%増加した。前期比では0.7%増だった。
伸び率は、前期の5.3%から大きく減速し、政府が年間目標に掲げる「5%前後」を下回った。低迷する不動産市場が景気の足を引っ張っている。統計局は今回、GDPに関する恒例の記者会見を行わなかった。
2024年上半期(1~6月)のGDPは前年同期比5.0%増の61兆6,836億元と半期では今年のGDP目標をぎりぎり達成している。第2四半期は5%を割り込んでおり、下半期が注目される。
(1元:21.76円/7月15日現在)。
産業別では、
第一次産業(農水産)の生産額は同3.5%増の3兆0,660億元、
第二次産業(鉱工業)の生産額は同5.8%増の23兆6,530億元、
第三次産業(サービス産業・消費)の生産額は同4.6%増の34兆9,646億元。
● 不動産開発投資は、1~6月前年同期比▲10.1%減と2桁マイナスで、1~3月の▲9.5%減からさらに悪化。
6月の新築住宅価格指数では、前月比で下落したのは主要70都市のうち64都市。下落は5月から4都市減ったが、依然として全体の約91%にあたる都市で下落している。
問題の不動産開発は地方政府が支援して競争するように中国の津々浦々で開発されていた。習国家主席はマンション価格が給与者の所得に対して高すぎるとして、命令で不動産価格を下落させる法策を策定、「三条紅線」が編み出され、2021年初施行したとたん、融資をストップさせられ、民間の中小の不動産開発会社が次々破綻、総合不動産開発トップの恒大(民間)が、住宅不動産開発トップの碧桂園(民間)が実質破綻させられ、業界全体が死に体になっている。被害はマンション購入者だけではなく、多くの協力業者・関連産業、債権購入の国民も多くが被害を受けている。
セメント需要も低下し続けており、インフラ投資の公共工事も低迷し、建設GDPも低迷している。
スクロール→
中国 建設GDP 兆元 /現在1元/22円 |
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建設 |
19年 |
20年 |
21年 |
22年 |
23年 |
24Q1 |
Q1 |
1.11 |
0.93 |
1.17 |
1.28 |
1.36 |
|
Q2 |
2.90 |
2.82 |
3.25 |
3.50 |
3.70 |
|
Q3 |
4.77 |
4.80 |
5.32 |
5.70 |
5.87 |
|
Q4 |
7.06 |
7.24 |
7.87 |
8.34 |
8.57 |
|
合計 |
15.84 |
15.79 |
17.61 |
18.82 |
19.50 |
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前年比 |
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-0.3% |
11.5% |
6.9% |
3.6% |
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●消費動向の小売売上高は、1~6月に3.7%増で、1~3月の4.7%増から鈍化した。不動産価格の下落が消費を冷やす逆資産効果が指摘されている。
2015年から2019年までは7~10%の増加率が続いていた。
●工業生産は6.0%増で、1~3月の6.1%増からわずかに縮小している。
非鉄金属=レアメタル需要がEV販売不振で大幅減、レアメタル関連産業が打撃を受けている。
中国 GDP 四半期ベース 前年同期比 暦年 |
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19年 |
20年 |
21年 |
22年 |
23年 |
24年 |
|
Q1 |
6.3 |
-6.9 |
18.7 |
4.8 |
4.5 |
5.3 |
|
Q2 |
6.0 |
3.1 |
8.3 |
0.4 |
6.3 |
4.7 |
|
Q3 |
5.9 |
4.8 |
5.2 |
3.9 |
4.9 |
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|
Q4 |
5.8 |
6.4 |
4.3 |
2.9 |
5.2 |
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年間 |
6.0 |
2.2 |
8.1 |
3.0 |
5.2 |
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・ 新コロナ2020年1~4月初期危機、 ・ 上海ロックダウンは2022年4・5月、その後他都市へ波及。 |
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・新コロナ解除は2022年12月/不動産規制 三条紅線は2021年1月から施行、負債総額48兆円の恒大を見せしめに実質潰し、国民の不動産業全般への信用不安を呼び起し、不動産バブル崩壊。日本のように外圧ではなく経済素人の国家主席の厳命にあり、小手先の緩和先だけでは手が付けられない状況。 |
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・米中貿易戦争はターゲットの企業や半導体などの産業に及び輸出低迷。米国では多くの中国からの輸入品が25%の高関税率。中国製自動車は100%関税。輸出規制のChips法+及びエンティティリスト。 |
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・欧州もインフレ退治の金利高による景気悪化、ただ、物価高騰が沈静化し金利高解除の動きに、今後、中国から欧州向けは拡大見込み。 |
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・西側の22年3月の露制裁、中国のロシア特需、23Q3は特需あって4.9%、一巡する24Q3も厳しいと見られる。大規模内需振興策と商品券配布や大幅減税などの消費拡大策が求められる。自動車販売好調は販売促進策に誘導された新コロナ時の貯蓄の吐き出しに過ぎない。肝心の不動産はこじれており、内需を喚起させ消費を拡大させ、その過程で不動産市場は回復する。 |
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貿易は3大経済圏の景気次第=米国・欧州・中国・・・
米国の対中強硬策に、今や中国から東南アジア・韓国経由で米国へ大量に輸出されている。その分、中国から東南アジアや韓国向けの輸出が拡大している。しかし、経済状況しだいで、欧米の輸入は増減する。
米国はインフレ退治の金利高に対し、バイデン政権はインフレ促進策(戦争特需+Chips法+IRA法)を採用し、そうした中で沈静化させるために高金利が続いている。
<各国のGDP推移>
世界各国のGDP推移 前年同期比 暦年 |
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19年 |
20年 |
21年 |
22年 |
23年 |
24Q1 |
24Q2 |
米国 |
2.5 |
-2.2 |
5.8 |
1.9 |
2.5 |
2.9 |
|
欧州EU |
1.8 |
-5.6 |
6.0 |
3.4 |
0.4 |
0.4 |
|
中国 |
6.0 |
2.2 |
8.1 |
3.0 |
5.2 |
5.3 |
4.7 |
韓国 |
2.2 |
-0.7 |
4.3 |
2.6 |
2.4 |
1.3 |
|
ベトナム |
7.0 |
2.9 |
2.5 |
8.0 |
5.0 |
5.8 |
6.9 |
インドネシア |
5.0 |
-2.0 |
3.7 |
5.3 |
5.0 |
-0.8 |
|
マレーシア |
4.4 |
-5.5 |
3.3 |
8.7 |
3.7 |
4.2 |
|
インド |
3.9 |
-5.8 |
9.7 |
7.0 |
8.2 |
7.8 |
|
日本 |
-0.4 |
-4.1 |
2.6 |
1.0 |
1.9 |
-0.2 |
|