アイコン SKハイニックス 第2四半期 売上高2.2倍 利益は赤から大黒字 NVIDIAと組むHBM効果


半導体市況は昨年の第1・第2四半期までは在庫調整により赤字が続いたが、第3四半期から生成AIブームが出現、OpenAI のCHAT-GPTの生成AIプログラム(半導体)に対応した高速演算半導体のNVIDIA-GPUが必須要件。そのGPUには計算記録を補完するHBM(高性能の高帯域幅メモリ)とセットにして納品されており、HBM開発でサムスンに先行したSKハイニックスがNVIDIAと組み、大幅に業績を上昇させている。

猫も杓子も生成AIブームでこの必須3構成の半導体は引く手数多、高価格で取り引きされている。特にNVIDIAのGPUは現行シェア80%とされ、他社を圧倒、そのままSKの売上高も急増している。また、サーバー用のAI対応のeSSD (ソリッドステートドライブ)もビッグテックのデータセンターの投資などから急増、従来品のDRAMも在庫調整を経て値戻し、総じて売上・利益の押し上げ効果の要素となっている。

AnthropicのClaude3 Opusの能力は完全に、OpenAI のGPT-4を超えたとされ、生成AI領域には、こうした新興企業が続々登場してきている。

 

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SKハイニックスの24年第2四半期の業績は、
売上高は前年同期比124.8%増の16兆42百億ウォン、第2四半期として過去最高の売上高を計上した。
営業利益は前年同期の▲2兆88百億ウォンから5兆46百億ウォンの黒字となった。
純利益は黒字に転じ4兆12百億ウォン(約4500億円)を記録した。
SKのHBM売上は対第1四半期比80%超増、対前年同期比250%超増加している。

SKハイニックスが今年第2四半期に過去最高の売上を上げた。営業利益も6年ぶりに5兆ウォン台に跳ね上がった。人工知能(AI)ブームによる高帯域幅メモリー(HBM)需要の急増とDRAM価格の上昇などの影響とみられる。
米市場ではNVIDIAの時価が一時世界一なるなど大幅に上昇、ここ調整局面にもあるが、9月には金利低下が予想され企業も心理的に投資に向かいやすい環境にあり、NYダウは過去最高値の4万ドル前後で推移している。ただ、これまでの高金利が企業のボディブローとなり、就業者の伸びも賃金上昇も鈍化してきており、失業率も5月は新コロナ暴落から立ち直りの2021年11月以来の4.1%以来の大きさとなっている。雇用統計の悪化が続けば、企業景気の悪化、失業者増、消費減という悪循環に陥り、ビッグテックのデータセンターの投資減、企業の設備投資減とマイナス要素となる。あらゆるリスクとなるトランプ氏の選挙戦の動向も注視していく必要がある。

サムスン電子は以前NVIDIAのGPUをファンドリー部門が受託して生産したが、問題を起こし、新製品から以前からのTSMCに回帰、SKはTSMCとも組み、NVIDIAのGPUにHBMを積層し一体化させた製品を生産する計画ともされる。この段階ではHBM4の段階で、すでにサムスンは量産開始、SKも開発している。
サムスンはファンドリー部門でNVIDIA-GPUを生産、本業部門でHBMを生産することから、一貫生産できる強みを生かしたい意向。
ただ、ロイターが5月24日報じたところによると、人工知能(AI)用画像処理装置(GPU)に使用されるサムスン電子の第4世代製品「HMB3」、第5世代製品「HBM3E」に発熱や消費電力などの問題があり、競合するSKハイニックスや米マイクロン・テクノロジーに後れを取る可能性があるとの懸念が出ていると報じていた。(21年にはクアルコムのスナップドラゴンでも発熱問題を生じさせていた)。
サムスン電子は5月、HBM出遅れを取ったことで半導体部門の社長を更迭、副会長が陣頭指揮している。

サムスンはHBMでSKに遅れをとり、最大の顧客ともなるNIVIDIAを取り込むことにまだ成功しておらず、SKが逆に格差を広げる可能性もある。SKはDRAMが強く、NANDはインテルから買収した大連工場が主力となる。

SKはNVIDIAと友好的な取引を続けており、新規では信頼性の問題もあり、なかなかNVIDIAとSKの関係を崩せそうにないのが現実となっている。

こうしたSKハイニックスの好決算に第2四半期の業績を半導体部門だけで見た場合、サムスン電子(DS部門)の営業利益を超えたと推定されている。


 

[ 2024年7月29日 ]

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