インテル 第2四半期▲16億ドルの赤字 生成AI市場浸透せず MSは増収増益
米半導体メーカー「インテル」は8月1日、今年6月までの3ヶ月間の決算を発表、売上高は前年同期比▲1.0%減少し128億3300万ドル(約1.9兆円)、最終利益は▲16億1000万ドルの赤字(▲約2400億円の赤字)だった。
赤字は研究開発費などのコストが増えたことが要因の1つで、インテルは経営を立て直すため、同社は従業員全体の15%を超える1万5000人以上を今年中に削減すると発表した。赤字は2期(四半期ベース)連続。
アメリカの半導体業界では生成AI向けの半導体を手がけるエヌビディアの業績が好調な一方で、AI需要の取り込みの遅れが指摘されているインテルは厳しい経営環境が続いていて、明暗が分かれる形となっている。
生成AIの超ブームで下半期からパソコンなどはAI組込型が大量に販売され、同社のCPU(市場占有率5割以上)の需要も拡大することから、同社の業績も回復するだろう。(パソコン市場は新コロナ特需の反動や欧州などの金利高不況で落ち込み、現在、回復期にある。)
<NVIDIA-GPUはAI半導体市場占有率8割>
米独占禁止当局、NVIDIAに調査に入る
米司法省の反トラスト(独占禁止)当局が、エヌビディアについて、人工知能(AI)半導体の販売を巡って優位性を乱用しているとの苦情を受け調査に入っている。
米当局はここ数週間にエヌビディアの競合企業から情報を集め、調査対象には、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やAI半導体のスタートアップ企業が含まれているという。
インテルも新型AI半導体「ガウディ3」を4月に発表しているが、NVIDIAの牙城は高く市場浸透していない。
問題は、エヌビディアが競合企業の製品を購入する顧客に対し不当な圧力をかけたとの申し立てや最近のスタートアップ買収についての潜在的な懸念などに及んでいるという。
<マイクロソフトは増収増益>
同社が6月までの四半期決算で、売上高は生成AIを活用したクラウド事業が好調だったことから、前年同期比15%増加して647億2700万ドル(約9.9兆円)。
最終利益も同比10%増加し220億3600万ドル(約3.3兆円)と増収増益となった。
ただ、市場ではクラウド事業の売上の伸び率が市場予想を下回ったため、伸びが鈍化したとの受け止めも出ている。
同社は投資先のオープンAIが手がける生成AI、ChatGPTの技術を活用し、「Office」などのソフトやアプリで生成AIのサービス「Copilot」を展開している。
生成AIのサービスをめぐりグーグルやアマゾン、アップルなどとの開発競争が激しくなる中、同社は今年5月に、オンライン会議ソフト「Teams」で生成AIが会議の進行役を務めるといったサービスの拡充も打ち出しており、生成AIへの投資が業績にどう寄与するかに関心が集まっている。
企業の投資は景気と密接に関係しており、米国では1年以上続くインフレ退治の5.5%という高金利に企業は疲弊してきており、労働環境もすでに頭打ちとなり、失業率も少しずつ上昇している。そうした経済悪化は企業の投資を抑制し、米国のビッグテック各社の巨大データセンターによるクラウドサービスもAIに対応したところで、需要拡大には限界が生じる。
そうしたことを受け、9月にも米FRBは金利を下げる動きにある。ただ、11月5日次第では減税おじいさんのトランプリスクが再燃し、CHIPS法・IRA法に基づく巨額補助の打ち切りによる半導体や自動車産業の投資抑制の一方、物価高に再度見舞われる可能性もある。ハリスになれば、バイデン政策を継承するしかなく今と変わらない。