アイコン 衝撃、サムスン電子 ファンドリー部門一部生産停止 4社決算比較


サムスン電子の関係者は27日、同社韓国最大の半導体生産基地である平沢キャンパス(京畿道平沢市)のファウンドリ(半導体受託生産)部門のP2・P3の生産ライン内の一部設備について稼動調整(=生産調整)していることを明らかにした。
ファウンドリ受注実績の不振や続く赤字のため、稼動率を調節しているものとみられている。
サムスン電子のP2ラインとP3ラインはそれぞれ30兆ウォン(約3.25兆円)を投入して建設された半導体生産基地。
新規で建設しているP4ラインも建設日程が遅れている。一部の工事業者はサムスン電子との契約を解除したという。

サムスンの関係者は「生産ラインを先端工程に切り替える過程で発生する一時的な状況だ」と説明。
しかし、生産ラインの稼働率調節はファウンドリ業績不振のためだという見方もある。サムスン電子のファウンドリ事業部は昨年約2兆ウォン、今年上半期に1兆5000億ウォンの赤字を出したと推定されている。

サムスン電子は最先端工程を他に先駆けて開発している。しかし、内部的な物量以外には、ビッグ・テック(巨大情報技術〈IT〉企業)などの大規模顧客を確保できていないという。

 

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ファウンドリ産業は、台湾のTSMCが独走しており、アップルなど主要企業を取引先にしている。
市場調査会社カウンター・ポイント・リサーチによると、4~6月期のTSMCの世界ファウンドリ占有率は市場が拡大し続ける中で62%、2位のサムスン電子は13%と大きな差がある。
インテルも同様に大規模な赤字を出しているファウンドリ事業部の分社化を推進している。

(サムスンは2018年当時、ファンドリーの実績が乏しい中、メモリ半導体の下落(メモリ半導体の周期で下落局面突入)で、新たに建築したラインで造る物がなく、ファンドリー部門を創設した経緯がある。しかし、システム半導体は個々の製品ごとに製造設計がまったく異なり、自社消化分を製造しているとはいえ、まったく異なる分野、顧客の信用が第一、クアルコムのスナップドラゴンで発熱問題を生じTSMCへ発注が流れていた。NVIDIAのGPUも同じ問題を発生させ、TSMCへ回帰させてしまっていた。
当時、発熱・消費電力問題を根本から解決していたら、サムスンは現在、NVIDIAの主力取引先になっていた可能性が高い。今年5月のサムスン製HBMはこうした消費電力問題から失格している。今年中に再試験に望みをつなぐ)
以上、

原因は、
現在の半導体景気は、新コロナ巣篭もり需要特需の剥落により不振に陥っている通信機器・電子製品メーカーにより創られた景気であり、タイミングよく生成AIブームを巻き起こすことに成功、まず、生成AIプログラムを超高速で計算させるグラフィック映像用途のGPUが注目され、NVIDIA-GPUがAI半導体と認識され、瞬く間に市場の8割を占有するに至った。

GPUと共に超高速の演算を可能とするHBM(高帯域DRAM)+SSD(NAND)がセットされ、販売され、まずは拡大する生成AIプログラムに対応できるデータセンターが必要となり、米ビッグテックの巨大データセンターがAI半導体に更新、またデータテセンターの新設もあり、AI半導体が引く手数多となり、価格は高騰、NVIDIAの決算を天井に押し上げた。セットされたHBMも高採算製品となり、SKハイニックスの業績を押し上げた。

AI半導体はデータセンター・スマホ・ウェアラブル・タブレット・パソコン・サーバー・家電などへ搭載域が急拡大している。

サムスン電子が窮地に陥っているのは、歩留まり問題のほか、発熱と消費電力問題と指摘されている。

ファンドリー事業
工場を持たず、市場特化型のシステム半導体を設計するファブレスメーカーは、受託生産するファンドリーメーカーに対して、要求性能を満たすほか、その歩留まりを発注判定の材料にしている。その要求性能の中に消費電力があり、製造設計により、より低消費電力を要求している。それを可能にしているのは台湾のTSMCであり、元々受託生産から出発し、顧客ニーズへの対応力、製造設計力、試験専用ラインによる対応力などがサムスン電子やインテルより優れており、歩留まり率・迅速な量産体制入りを実現している。
NVIDIAは以前、サムスン電子に発注したが問題発生により、次新製品からTSMCに切り戻していた。

メモリ半導体事業
サムスン電子の本業の一つはメモリ半導体事業、長い間、DRAMとNANDで世界一の生産高を続けている。しかし、その立場が危うくなっている。
ライバルのSKハイニックスに追い抜かれる可能性が指摘されている。
ここでもNVIDIAが関係しており、自社NVIDIAのGPUにセットするHBMを指定。独禁法に関係しそうだが、AI半導体を稼働させるには膨大な消費電力を要し、演算セットのHBMも高い低消費電力が求められる。SKハイニックスは昨年からNVIDIAのセットを認証され、5月には量産し市場投入している。
一方、サムスン電子のNBMはNVIDIAが要求する発熱・消費電力をクリアーできず、まだ認証されていない。5月の試験が不合格・今9月にも再試験で認証される予定とされているが、まだ何も結果は報告されていない。また、計算必需のNAND=現在はSSDもSKハイニックスはNVIDIAに認められ、6月には新製品も納品し、サムスン電子に対して圧倒的に優位に立っている。

<NVIDIAに納品できるかが鍵>
これはNVIDIAのAI半導体が市場シェア8割と圧倒していることにある。残り2割のところでサムスン電子は戦っている。サムスン電子はHBMもSSDもAI半導体セット向けに開発しながら、市場では軌道に乗っていない。

既存の半導体も大きく値戻ししており、サムスン電子DS部門(半導体)の営業利益率は6月の第2四半期(単期)は22.6%であるが、SKハイニックスは33.6%と、高付加価値のHBMやSSDをNVIDIA向けに大量納品していることが、10.7ポイントの差となっている。


こうして、サムスンの危機はメモリ半導体も高付加価値品のHBMやSSDにおいて、市場シェアが小さく、既存のメモリ半導体の値戻しによる利益が主となっている。

米中貿易戦争+
中国は新コロナのよる経済低迷下(2020.1~2022/12)、不動産政策を誤り、底なしの経済不振・内需不振・消費不振に陥っている。
中国政府はあの手この手を使い経済回復に努めているが、一巡に終わっている。5年以上経過車に対する補助金付き買替奨励の自動車販売台数も3ヶ月連続してマイナス(6~8月)となっている。今回のGDPの1%に当たる20兆円あまりの金融緩和(銀行の預金準備率の引き下げにより。市場に資金を流し込むもの)を取り、株価は大きく上昇しているが、蓋を完全に開けなければ、景気回復の起爆剤になるのかは不明でもある。

<サムスンのシステム半導体のシェアは自社製がほとんど>
サムスン電子のシステム半導体は自社や外部販売のスマホ・パソコン・サーバー等向けにシェアを12%前後有しており、現在の14%前後の市場シェアではファブレスメーカーからの受託生産は限られていることを表している。

その中核であるスマホの市場占有率が落ちてきており、AI半導体を搭載するプレミアム価格帯のスマホも前門の米アップル、後門の中国勢に追い立てられており、中国も欧州経済も低迷、米経済も怪しく、自社のメモリ+新手無半導体を搭載するスマホ部門の強化も必要となっている。スマホは今や半分を近くを中国勢が占有、サムスンはそうした中国勢向けに大量納品しているものの、価格競争は激しくなっている。


スクロール→

↓※「サムスンDS」はサムスンの半導体部門の業績。

決算予想

 

サムスンDS

SKハイニックス

米マイクロン

TSMC

INTEL

 

24/12

24/12

25/8

24/12

24/12

 

億ウォン

億ウォン

百万㌦

百万㌦

百万㌦

売上高

 

 

38,201

86,933

52,371

営業利益 

 

 

19,278

38,427

-5,556

税前利益

 

 

11,062

 

 

純利益

 

 

9,111

33,737

-3,628

本決算

 

サムスンDS

SKハイニックス

米マイクロン

TSMC

INTEL

 

23/12

23/12

24/8

23/12

23/12

 

億ウォン

億ウォン

百万㌦

百万㌦

百万㌦

売上高

665,900

327,567

25,111

69,350

54,228

 前期比

 

 

61.5

-8.7

-14.0

営業利益 

-148,800

-77,303

1,304

29,555

93

 前期比

 

 

黒転

-21.5

-97.3

 営利率

-

-

5.19

42.62

0.17

税前利益

 

 

1,240

 

762

純利益

 

-91,375

778

26,899

1,689

 

 

 

 

 

 

 

22/12

22/12

23/8

22/12

22/12

売上高

984,600

446,481

15,540

75,936

63,054

営業利益 

238,200

70,066

-5,745

37,622

3,334

 営利率

24.2

15.7

 

49.5

5.3

純利益

 

24,389

-5,833

34,096

8,014

 

 

 

 

 

 

 

21/12

21/12

22/9

21/12

21/12

売上高

941,600

429,978

30,758

56,831

79,024

営業利益 

337,300

124,103

9,619

23,276

19,456

  営利率

35.8

28.9

31.3

41.0

24.6

純利益

 

 

 

 

19,868

四半期決算

 

サムスンDS

SKハイニックス

米マイクロン

TSMC

INTEL

24/3Q

24/9

24/9

24/11

24/9

24/9

売上高

 

 

8,687

23,101

13,021

営業利益 

 

 

2,180

10,458

-1,627

 営利率

 

 

25.1%

45.3%

 

24/2Q

24/6

24/6

24/8

24/6

24/6

売上高

285,600

164,233

7,750

20,820

12,833

営業利益 

64,500

54,685

1,750

8,897

-1,021

 営利率

22.6%

33.3%

22.6%

42.7%

 

24/1Q

24/3

24/3

24/5

24/3

24/3

売上高

231,400

124,296

6,811

18,851

12,724

営業利益 

19,100

28,860

719

7,924

-721

 営利率

8.3%

23.2%

10.6%

42.0%

 

23/4Q

23/12

23/12

24/2

23/12

23/12

売上高

216,900

113,055

5,820

19,620

15,406

営業利益 

-21,800

-13,795

793

8,161

2,669

 営利率

 

 

13.6%

41.6

17.3

23/3Q

23/9

23/9

23/11

23/9

23/9

売上高

164,400

90,662

4,726

16,920

14,150

営業利益 

-37,500

-17,920

-1,128

7,060

300

 営利率

 

 

 

41.7

(↑純利)

 

 

[ 2024年9月30日 ]

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