不信任案提出で解散も 首相発言、政局一気に緊迫
衆参ダブル選挙の可能性 与党は準備加速、野党は対応に苦慮
岸破政権の岸田文雄首相が「内閣不信任案が提出されれば、衆議院を解散する」との考えを示したことで、政局が急速に緊迫化している。これまで解散権は首相の専権事項とされてきたが、今回は野党の対応次第で政局が大きく動く異例の展開となっている。
与党内では、早期解散を視野に入れた候補者調整や政策争点の準備が進んでおり、選挙態勢への移行が加速している。一方、野党側は不信任案提出の是非について対応を慎重に見極めており、判断を誤れば逆に解散を促す結果となりかねない状況だ。
政府・与党関係者によると、首相周辺は「解散総選挙を恐れていない。今のうちに信を問うのも一つの手」と強気の構えを見せる。自民・公明両党はすでに選挙準備に着手しており、政策面では物価高騰対策や子育て支援、防衛力強化、農業・コメ政策などを主要争点に据える方向だ。
一方、立憲民主党や日本維新の会などの野党各党は、不信任案提出のタイミングと効果を慎重に検討している。立民幹部は「無策な提出は政局を与党に有利に動かすだけだ」と語り、対応に苦慮している様子がうかがえる。
与野党関係者の間では、「今週が政局の分岐点になる」との見方が広がる。不信任案の提出に踏み切れば、首相は衆議院解散に踏み切る可能性が高く、7月にも衆参ダブル選挙が行われる公算が強まる。逆に提出を見送れば、野党の追及姿勢に疑念が生じ、政権側の思惑通りに政局が進む恐れもある。
野党が攻めに出るか守りに回るか──。この一週間の動向が、今後の政権運営と日本の政治地図を大きく左右することは間違いない。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次