大村市は大丈夫か?
◆ 通常の環境アセスメント(環境影響評価)の流れを検証してみる。
ゴミ処理施設などの大規模施設建設においては、環境アセス法や地方自治体の条例に基づき、次のような手順が必要である。
1. 配慮書の提出・縦覧
2. 方法書の提出・縦覧および意見募集
3. 準備書の提出・縦覧および意見募集
4. 評価書の提出・告示
5. 実施方針(基本設計や入札)の決定・公告
→ 縦覧・意見募集は市民の意見を取り入れるための重要なステップであり、 評価が完了しない限り、工事の実施にかかわる具体的な計画や契約を進めることは原則としてできない。
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◆ 現状の問題点
「縦覧期間が6月23日〜7月23日で、その間に意見書を出す必要がある。しかし既に実施方針や入札公告が出ている。」というお粗末な結果になっている。
これは確かに 手続きの順序が逆転している疑い があり、本来ならば環境影響評価を完了してから実施方針に進むべきところを、前倒しで進めているように見える。
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◆ 問題の可能性(怠慢 or 正当な理由)
1. 怠慢・不適切な行政手続き
• 環境部や担当部署が手続きの重みを軽視し、形式的にアセスを済ませればよいという認識だった可能性がある。
• またはスケジュール優先で「意見を取り入れる」という本来の目的を後回しにしている可能性もある。
2. 法制度上の例外処理または条例による特例
• 一部の地方自治体では、実施設計や入札の「準備行為」は環境評価の完了を待たずに行ってよいという規定がある場合がある。
• ただしこの場合でも、実際の「契約締結」や「着工」はアセス完了後でなければならない。というのが法の解釈でもある。
3. 国の補助金や予算措置との関係
• 年度内予算執行や補助金の関係で、スケジュールに間に合わせるために手続きを急いでいる可能性が大である。
• ただし、これが理由であっても、本来の法手続きや市民参加を犠牲にするのは不適切だと思量する。
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◆ 対応・確認すべき点
1. 市の環境アセスメントの手続きに関するガイドラインを確認(条例や実施細則)。
2. 入札公告の内容と日付、それが「実施方針の確定」に該当するかを確認。
3. 市や環境部に対して公開質問状または議会質問などを通して、「なぜこの順番になったのか」明確な説明を求めるのが妥当だと思量する。
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◆ 結論
現時点での情報だけでも、市(環境部)の対応には 不透明感・説明責任の欠如が見られる。怠慢の可能性も否定できない。正当な理由があるとしても、市民や関係者にその理由を説明しないまま進めているとすれば、問題は重大である。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次