川重の「17億円のブラックボックス」

防衛省が7月30日に発表した「川重裏金問題」の報告書。
正直、読んでてコーヒー吹き出してしまった。
三菱重工、JMU、佐世保重工、川崎重工──造船4社が並んでお仕置きを食らったわけだが、川重だけ色が違うのである。
他の3社は「工具の無償提供」あたりで止まってた。
古い慣習はあったけど、最低限のコンプラブレーキは踏んでいたのだ。
ところが川重は違う。
安全靴?冷蔵庫?炊飯器?
まだギリわかる。
ゲーム機?腕時計?ゴルフ用品?
おいおい、艦艇より豪華な隊員の娯楽ライフを演出してどうする。
さすが「膿を出し切る」宣言のトップ。
膿というより、もう社内にテーマパークが出現していたレベルである。

「自衛隊員が頼んだことにしとけ」方式
報告書をさらに読むと、川重社員の説明がシュールである。
「隊員の要請です」──と、嘘をついて自分の私物を買わせていた可能性アリ。
つまり、裏金で買ったゲーム機や腕時計は、
「自衛隊のため」と言い張って、ちゃっかり自分の懐にいれていたのだ。
もはや裏金の二重構造。
隊員どころか社員の“私的ボーナス”疑惑である。
そして「17億円の行方」
肝心の数字。
裏金総額はおよそ17億円。
このうち、防衛省の監察で「隊員に物品が渡った」と確認できたのは──
たったの140万円分である。
……え?
17億円が動いたのに、判明したのは1%にも満たないのである。
残りの16億9,860万円は、跡形もなくブラックボックス入り。
帳簿は架空処理、証憑はほぼナシ。
防衛省の監察は任意協力ベースだから強制調査もできない。
つまり結論はシンプル。
「17億円は、どこに消えたかは不明」なのである。
名誉の撤退とブラックユーモア

三菱重工が「大村戦争」から名誉の撤退を決めたのと対照的に、
川重は「裏金17億円の行方不明」で日本中の注目を浴びることになる。
もはや艦船より沈んでいるのは、川重の信用そのものである。
この一件、歴史に残る“防衛産業のブラックユーモア”になるかもしれない。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





