アイコン 米原油 世界を席捲 更なる生産拡大 OPECの減産終了近し

米政府が原油輸出を解禁してから約2年、米国産原油を満載したタンカーが、中国やインドといった大口消費国からトーゴなどの小さな国まで世界30ヶ国以上に寄港するようになった。

米国のシェールオイルが大量供給されたことで、原油の国際価格は下がり、石油輸出国機構(OPEC)の影響力が弱まるとともに、OPEC加盟国の多くが市場シェアを奪われつつある。

<米原油輸入・12年間で7割減>
シェール革命以前の2005年、米国の原油純輸入量(輸入-輸出)は、日量1,250万バレルだったが、今やたった400万バレル(約7割減)まで落ちている。

米国勢がアジアや欧州で新たな大口顧客を獲得していることは、サウジアラビアとロシアという米国並みの生産力を持つ2国にとっても脅威となっている。

<米原油輸出急拡大>
米国からの原油輸出量は、現在日量150万~200万バレル。
2022年までには、約400万バレルまで拡大する可能性がある。

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<米原油最大の輸入国・中国> <>
輸出の大半は、中国向けで2017年11月以降カナダを抜いて米国産原油の最大の買い手になった。
その中国勢の中で購入量が最も大きいのは、中国石油化工(シノペック)の原油取引部門の中国国際石油化工連合(ユニペック)。
ユニペックのチェン・ボー社長は、アジアでの販売拡大(精製油の販売)や欧州などでの新規顧客開拓のため、今年の米国産輸入は倍増して日量30万バレルになるとの見通しを示した。

ユニペックは、米国のパイプラインやターミナル運営会社との長期供給契約締結を検討しているほか、米国の輸出インフラ改善に関係する企業と提携する可能性もある。

チェン氏は「米国産原油のアジアへの流入は、国際的な石油取引における大きなトレンドだ」と語った。
(米トランプの貿易制裁を視野に、中国は国策として対米貿易黒字減らしの必要性があり米原油の輸入を拡大させている)

<米原油生産量 7年間で8割増>
2010年に日量550万バレルだった米国の原油生産量は、テキサスやノースダコタのシェール開発が急ピッチで進んだことを受け、2017年には1000万バレルと1970年代に記録した過去最高水準に近づいた。
(現在の米原油生産の半分が既存原油生産、残りがシェールガスのオイル化による生産量)
サウジにほぼ並び、1,090万バレルと世界最大のロシアにも肉薄している。

商品取引大手ガンバー・グループのチーフエコノミスト、デービッド・ファイフ氏は、米国産原油生産は今年末まで日量約50万~60万バレル増加するとの見方が大勢だと話した。
米エネルギー省の見通しはもっと強気で、2018年末までに120万バレル増えて生産量は1100万バレルに達するだろうという。
ファイフ氏は「増産分の多くは輸出に回される公算が大きい」と予想した。

米国内市場でも、外国産原油が押され気味。
米国の原油輸入量は、2006年のピーク時が日量1060万バレルだったが、足元では760万バレルまで減少。
輸入量に占めるOPEC産原油のシェアは50%強から37%に低下している。

<打撃受ける産油国> <><><>
最も打撃を受けたのは、
サウジとナイジェリア、アンゴラで、昨年後半に米国がサウジから輸入した原油は、ピークの4割しかない平均日量70万9000バレルで、1987年以降の最低水準になった。ピークは2003年の173万バレル。

<インド>
米国産原油は、世界第3位の原油輸入国インドにも流入している。
インドは、原油調達先を多様化するため、2017年10月に初めて米国産原油を輸入した。海運や船舶航行のデータによると、米国産原油の昨年の総購入量は日量800万バレルだった。

<フランス>
欧州では、2011年11月時点でフランス向けの原油輸出では、米国がナイジェリアやリビア、イラン、北海を上回って第5位に食い込んだことが関税統計で確認された。2016年11月には、米国はまだトップ10さえ入っていなかった。

<中国・米原油輸入に煽りを食う産油輸出国>
一方、中国の関税統計に基づくと同国は、第4・四半期にナイジェリアからの原油輸入を停止。また、昨年の中国の原油輸入は全体で12%増えたが、サウジからの輸入の伸びは2.3%にとどまっている。
ペトロマトリックスのマネジングディレクター、オリビエ・ジェイコブ氏は「米国勢がOPEC加盟国から本格的に市場シェアを奪取している」と指摘した。
以上、ロイターなどいろいろ参照

<大幅コスト削減の米原油生産>
こうした市場争奪戦をおそれたサウジは、米国市場を維持すべく暴落させてまで米国勢を潰そうとした。しかし、結果、国家財政まで悪化させ、減産せざるを得なくなった。半面、米国でだぶつく原油のハケ口に、40年ぶりに輸出を2016年当初から解禁、海外への輸出に転じた。
米原油掘削稼動リグ数は、ピーク1609本の稼動も、2016年5月には316本まで大幅に落ち込んだ。しかし、大型シェールオイル田の新規開発と大幅な生産コストダウンを成功させ、生産量は稼動リグ数のような大幅な落ち込みはなかった。

<OPEC減産の影で米国・輸出市場拡大>
原油価格の低迷に国家財政まで悪化させるサウジなどのOPEC+αが、2016年11月減産に踏み切った。そうしたことから、2017年8月には、米国の稼動リグ数もボトムから倍増し768本まで急増した。しかし、減産で一時60ドルまで上昇した原油価格も世界市場の低迷で40ドル台まで落ちていた。
そこに、昨秋から欧州経済の回復や環境問題など放っておけ・イケイケドンドンの米トランプ政権の誕生、高景気下の大幅減税もあり、OPEC+αの減産効果も効いており、価格は上昇に転じた。
こうしたOPEC+αの減産は、生産量で米国勢だけを回復させ、その生産量を伸ばし続け、最近はさらに稼動リグ数も増加させている。
米国産原油は、輸出へ振り向けられており、OPEC+αの輸出市場をも大きな勢いで駆逐し始めている。

<OPEC減産も終了近い>
当然、予想されることはOPEC+αの減産体制終了であり、各国が増産体制に入り、価格は再び、落ち込むことになるが、最近の価格の動きはそれを表しているといえる。

<米経済は好調し過ぎて金利により調整局面>
FRBが金利を上昇させ景気を抑制させる動きに入っているほど好調な米経済にあり、経済無知の米トランプ政権誕生により、すでにオバマ時代に4%代まで落ちている失業率対策の企業立地策、低賃金労働者の不法移民の強制送還策、好調な米経済下での法人・個人の大幅減税により、すでに長期金利が上昇し、金融市場は調整局面に入っている。

失業率は低下しすぎれば、労働市場の需給が逼迫し、労働コストが急上昇する。また、可処分所得増の減税により消費が拡大し、大幅なインフレが想定される段階に入っている。
当然、米トランプマジックに上昇し続けた証券市場は、金利上昇という局面に突き当たり、調整に入った。
トランプの経済政策は残るのは大公共投資だろうが、今年11月の中間選挙しだいでは、大幅減税により歳入減により国家予算も限られ、小規模公共投資に終わる公算が大きい。公共投資でもあるメキシコの壁も財政負担を伴いどうなるかもわからない。
これまでNY市場は、株価上昇の種を見つけては株価を上昇させ続けてきたが、今後は下げる種を見つけては株価を下げる心理に変化するものと見られる。
当然、昨秋からの原油価格上昇も株価上昇の大きな要因の一つであった。

 

<↓米原油掘削リグ稼動数>ヒューズ社版
米原油掘削稼動リグ数/ヒューズ社
 
稼動リグ数
WTI
2018年2月10日
791
59ドル台
2018年2月3日
765
62ドル台
2018年1月27日
759
66ドル台
2018年1月20日
747
66ドル台
2017年12月30日
747
59ドル台
2017年8月11日
768
47ドル台
2016年5月27日
316
30~35ドル台
2014年10月10日
1,609
110ドル台
 
<米原油掘削稼動リグ数5年間推移>
0213_06.jpg
<WTI原油価格10年間チャート>
0213_07.jpg

 
 
2016年の原油産油量ランキング
BP世界エネルギー統計2017版
順位
国名
バレル/日量
1
アメリカ合衆国(米国)
1,235.4
2
サウジアラビア
1,234.9
3
ロシア
1,122.7
4
イラン
460.0
5
イラク
446.5
6
カナダ
446.0
7
アラブ首長国連邦(UAE)
407.3
8
中国
399.9
9
クウェート
315.1
10
ブラジル
260.5
 


 

[ 2018年2月13日 ]
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