2018年上半期の現代自動車の決算と8つの課題と問題点
<課題と問題点>
1、中国回復遅延、(THAAD不買⇒南北朝鮮首脳会談で緩和、今年、期待の新型SUVを投入したものの不振が伝えられる。増加は昨年の激落の反動)
中国・韓国勢の販売台数/万台
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工場出荷台数による
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販売台数
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前年比
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2015年1~6月
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81.34
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-5.8%
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2016年1~6月
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80.84
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-0.6%
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2017年1~6月
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43.10
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-46.6%
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2018年1~6月
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55.23
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28.1%
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輸入車含まず25%関税、7月1日より15%に
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2、米国不振、(一昨年秋・昨年の国内におけるリコール隠し、強制リコールが米国で影響しているものと思料される)
米国における韓国勢の販売台数/万台
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販売台数
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前年比
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現代
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前年比
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起亜
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前年比
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2015年上半期
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68.20
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3.0%
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37.11
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1.8%
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31.09
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4.6%
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2016年上半期
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70.23
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2.9%
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37.40
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0.8%
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32.83
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5.6%
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2017年上半期
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64.20
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-8.6%
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34.63
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-7.4%
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29.57
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-9.9%
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2018年上半期
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62.85
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-2.2%
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33.50
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-3.3%
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29.35
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-0.7%
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3、2016年秋メキシコ工場完成(起亜/年生産キャパ30~40万台)
メキシコでの1~6月、起亜10.7%増の4万54百台、現代19.8%増の2万46百台、メキシコ全体(乗用車)▲29.5%減の34万13百台。工場立地もあり、米トランプの経済圧力で経済悪化している中でも飛ぶように売れており、かなり安価に販売しているものと思われる。
4、2016年と17年にそれぞれ中国河北工場と重慶工場完成(2工場とも年キャパ30万台)
販売増を期待して、朴習蜜月時代に開発を発表し、THAADで不買運動に晒される中、それぞれ完成している。
5、ストで労働貴族にしてしまった問題、正規社員たちの平均年報額が約900万円とされ、トヨタより高い、それでいて1台当たりの生産時間はトヨタよりとろい。毎年ストを打ち、昇給や賞与、労働条件を勝ち取る悪条件が繰り返させている。他社の連帯ストも打ち、自動車業界(メーカーだけ)はどこも組合が強い。正規職と非正規職の格差はデタラメなほど大きく、労働者内で大きな格差を作っている。非正規職を擁護するような正規職の組合ではない。
6、文政権の労働3政策(最低賃金増+労働時間短縮+非正規の正規化)は、現代自動車のサプライチェーン(協力工場=下請+孫請等)の製造コストに影響し、今後徐々に上昇、現代自動車の部品・部材の調達コストも高くなる。
すでに協力工場が倒産しだしている。
7、中国勢の世界市場での台頭近し。
すでに海外に自動車工場を進出させている中国メーカーもあり、電気バスではBYDがアメリカに工場建設し、日本でも燃料高で同社製電気バスの導入を図るバス事業者も少しずつ増えている。
普通車も安全性能や品質には、メーカーによりバラ付きはあるものの、中国大手メーカーは1年ごとに飛躍的に改善させてきている。中国における韓国勢の失われた1年における中国勢の進化は中国市場から、海外へ侮れなくなってきている。
韓国でも安価な中国製トラックが売れているという。EU並みに厳しい韓国の車両環境規制もクリアしているものと見られる。
8、ソウル中心街に1.5兆円を投資して超々高層本社ビル開発中。(旧韓国電力の土地を実勢価格より3倍近く高い価格(約1兆円)で購入しており、今後、減損処理の必要性が生じる)
<上半期決算>
韓国の現代自動車が26日発表した1~6月期の連結決算によると、本業の儲けを示す営業利益は、前年同期比▲37.1%減1兆6,321億ウォン(約1,600億円)。
昨年上半期もTHAAD配備を巡る中韓関係悪化を受け減益となったが、今年も大幅に落ち込んだ。売上高は同▲1.1%減の47兆1,484億ウォン。
1~6月期の世界販売台数は224万1,530台で同4.5%増加したものの、ウォン高や工場稼働率の低下が響き収益性が低下した。
上半期の営業利益率は3.46%となっている(トヨタ同率8.16%)。
<4~6月期>
4~6月期の世界販売台数も119万2,141台で前年同期比10.6%増加したが、営業利益は▲29.3%減の9,508憶ウォンにとどまった。
売上高は同1.7%増の24兆7,188億ウォンだった。
以上、
実際は、販売台数を伸ばすため、インセンティブ販売を強化=安売りさせ、営業コスト増になったものと見られる。
元々韓国勢車は2割安く、普通でもコスパがあるが、米国など全体の販売台数が伸びなくなった市場では、どの社もインセンティブ販売を強化していることから韓国勢のコスパはなくなり、韓国勢はさらにインセンティブ販売を強化するしかない。
(トヨタも2018年3月期の決算では、北米ではインセンティブ販売競争に巻き込まれ、営業利益を55%も落とし、北米での営業利益率は1.31%まで激落させている/なお、トヨタの国内での営業利益率は10.35%、アメリカで購入した方が安いかもしれない)
現代グループは、ここ2年以内に計90万台の製造キャパの工場を作っており、そうした工場を稼動させる必要があり、薄利多売でも売るしかない。
販売台数が増加しない中、工場生産キャパを増加させているため、否応なく工場稼動率は悪化する。
韓国での生産は、労働コスト増、生産効率の悪さなどあるものの、全体で日独勢より2割安で販売しても利益が出る体質はすごいといえよう(品質面は別)。
車両は、安全装備などが進化・増加し続けており、車両自体の価格が上昇するなか、サプライチェーンを襲うコスト増に、韓国勢の市場攻略の原動力となっている2割安のコスパを今後とも維持できるか注目される。
↓エンジンは三菱などの技術を導入した現代版GDIエンジンで強力。
見掛けは、BMWからデザイナーたちを引っこ抜いており、BMW仕様。
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[ 2018年7月28日 ]