中国の識者 貿易戦争に耐えられるのか・・・政治批判厳禁の中国で拡散
中国では、著名な学識者らは、貿易依存型の中国経済がトランプ政権による持続的な攻勢に耐えられるのかと問い始めた。
北京に拠点を置く安信証券の高善文チーフエコノミストは、ソーシャルメディアに投稿した論説で、「中国の当局者らは、迫り来る貿易摩擦、あるいは貿易戦争に心理面で準備ができていなかったように見える」と指摘し、「中国の動きに反対する見方は、米国民、ならびに米与党内でコンセンサスになりつつある」と記した。
中国経済は足取りが鈍りつつあるところに、米トランプから貿易制裁をかけられ、内国経済問題が急浮上している。
こうした見方は言葉を慎重に選んだ論文で示されており、中国国内の厳しい検閲下にあるインターネットで回覧されている。高氏の論説は、微信(ウィーチャット)のアカウントを通じてまず公表され、複数のプラットフォームで数百万件のヒットを集めた。
政治政策において、習近平独裁政権に反対意見を表明すれば厳しい批判や懲役刑につながり得る中国で、このような見解が公になっており、受け入れ可能な国民的議論の範囲が広がる形となっている。
一連の論文では、中国共産党政権が米国の反中感情の根深さを過小評価するとともに、現実、唯一の超大国である米国と早まった争いに突入する恐れがあるとの懸念が示されている。
大きな誤算
中国の主要当局者も高氏らの論文を承知している。同氏の論説は先週、対米貿易問題の最前線にいる中国商務省の官僚間で回覧されたと当局者の1人は話している。
ブルームバーグ・ニュースが先週取材した他の当局者も、指導部の戦略について懐疑的な見方を示していた。
ある財政省の当局者は、中国との長期的な対立もいとわない米国の姿勢について中国は「判断を大きく誤った」と漏らした。
上海財経大学のユ・チ教授(経済学)は、シンガポールの新聞、聯合早報に掲載された最近の論説で、自国の主張を強める外交政策の判断を疑問視した。教授に電話で接触し、このコメントを確認した。
同教授は論説で、「中国は『豊かになる』という目的を果たしたのか。中国は鄧小平が描いた社会主義の初期段階を終えたのか。米国や他の西側諸国と直接競い始めることができるのか。中国は全般的な戦略的方向性を見直すべきだ」と記した。
以上、
ただ、中国での自動車販売に見られるように、米国勢の販売台数が大きく落ち込み始めている。こうした論文を閲覧させることで、1億人近い共産党分子を動かし、民族主義を煽る計算かもしれない。
中国は世界の工場として力を蓄え、その財力により、習近平独裁政権が、中華思想に基づく軍事覇権の一帯一路戦略に動き、米国の逆鱗に触れたともいえる。習近平の驕りの象徴である南シナ海要塞化問題は、中国が経済成長してきて、米国とすでに対等になったと勘違いしている問題が根本にあると見られる。
一方、米トランプにしても韓国と日本に対しては膨大な兵器を購入させることで、脅しも効いただろうが、その後、世界中に拡大させた貿易戦争では、その報復により米国に与える影響も甚大、中間選挙に向けた過激なパフォーマンスは自らの首を絞めることにもなる。
すでに、米国の豚肉生産団体からは悲鳴が上がっており、シカゴの小麦相場も年初から約10%下げている。
また、貿易に同盟も敵もないとするトランプだが、欧州や同盟国は、各国首脳も政権あっての同盟国の首脳、貿易・経済問題は政権維持の問題を生じさせ、米トランプ=米国離れを加速させる可能性すらある。その上でトランプは、同盟国でさえ、内政干渉の発言を繰り返しており、相手国の国民感情も悪化させている。
米同盟国のオーストラリアでは、トランプが大統領就任早々、ターンブル豪首相に初電話で喧嘩を売り、オーストラリア国民の評価では、中国とさほど変わらないところまで、米国の支持率を急落させている。ドイツのメルケル首相はトランプから特にターゲットにされている。
中国がどうであれ、世界各国を相手にしすぎており、米国民も80%が同盟国に対して貿易制裁すべきではないとする世論調査があるにもかかわらず、232条鉄鋼・アルミ課税制裁を課し、その報復を受け、さらに報復すると脅迫しているトランプ、戦争状態に突入している。新たに自動車+自動車部品の輸入品に制裁課税すると息巻いているが、8月末までに調査を終え、9月にも発動する見通しとなっている。
吼えるトランプの任期はあと2年半、2期やったとしても6年半の短命、貿易は永遠。
ただ、中国の知的財産権の問題は、2国間で片付く問題ではなく、WTOも機能しておらず、先進国を代表してアメリカが中国に対して、話し合いを持ち、解決すべき問題でもあろうか。当然、解決しない場合、その次には先進国が一丸となり何らかの中国制裁が必要となるだろう・・・。
中国自動車市場・米系販売台数(乗用車)
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単位/万台
|
米国系
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中国全体
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販売台数
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前年比
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販売台数
|
前年比
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2015年
|
259.57
|
2.8%
|
2114.63
|
7.3%
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2016年
|
296.46
|
14.2%
|
2437.69
|
14.9%
|
2017年
|
303.95
|
2.5%
|
2471.83
|
1.4%
|
2018年累計
|
107.75
|
-3.5%
|
990.08
|
5.0%
|
18/1月
|
25.53
|
0.1%
|
245.62
|
10.7%
|
18/2月
|
16.75
|
-1.1%
|
147.55
|
-9.6%
|
18/3月
|
22.74
|
-7.6%
|
216.86
|
3.4%
|
18/4月
|
22.10
|
3.0%
|
191.44
|
11.1%
|
18/5月
|
19.63
|
-11.3%
|
188.94
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7.8%
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・工場出荷台数。輸入車含まず、GMの3社合弁分は含まず。
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