アイコン G20 米最後通告の米中首脳会談、決裂すれば・・・

 

 

米中の貿易摩擦が深刻になる中、アメリカのトランプ大統領は、今月下旬のG20大阪サミット期間中に中国の習近平国家主席と会談して合意に至らなければ、追加関税の対象をすべての輸入品に拡大する考えを示した。
今後、首脳会談に向けて両国がけん制しあう動きが増していくことも予想される。
残る3000億ドルの追加関税の拡大をちらつかせて譲歩を迫るアメリカに対し、中国側は態度を硬化させており、首脳会談に向け、両国が互いにけん制しあう動きを増していくことも予想される。
以上、

中国が態度を硬化させたのは、5月10日の2000億ドルの制裁、10%制裁を25%に引き上げたことに対するものではなく、ファーウェイに対し実質禁輸措置を取ったことによるもの。
当然、米国の個別制裁は、中国IT大手企業の全社に波及すると見ており、貿易交渉を合意させても、その個別制裁は何とでも理由をつけ、米国は個別制裁に動くと見ている。
そうした包括的な和解合意に至らなければ、今回合意は難しい。

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当初は、知的財産権侵害、今ではその鉾先は中国の南シナ海の軍事戦略、一帯一路の経済戦略、米禁輸措置国との取引問題、情報奪取問題、新疆ウイグルの人権問題へと拡大し続けており、今回、合意しても、そうした材料で再び制裁を受ける可能性があり、中国にとって安易に合意できない。

ましてや、ファーウェイの情報機器・装置をこれまでの政府機関だけではなく、アメリカ全土で禁止する動きをしており、合意しても解除されない。米国としても包括的な貿易和解は難しくなっている。

トランプ政権が3000億ドルの制裁を課したとしても、2000億ドルと変わり映えせず、逆に米企業が直接・間接に中国で製造しているものがほとんどで、米経済や米消費を直撃し、トランプ政権は逆に自らの首を絞めることになる。

トランプ政権のメキシコに対する移民対策は、メキシコ政府に対して対策を講じるように6月から5%ずつ10月までに25%まで関税を引き上げるとしたが、新規雇用数の大幅落ち込みに無期延期にした。
しかし、10日、米国務省は45日後に、メキシコ政府の進捗具合では制裁の可能性を示唆し、メキシコ関税制裁も穏やかではない。メキシコに関税をかけた場合、米企業、特に米自動車産業を直撃、米消費者にも大きな打撃を与える。

中国に対する2000億ドルの追加関税も8月ころから米消費者に影響が出だし、10月末から始まるクリスマス商戦では米国民に不満が蓄積する可能性がある。残る3000億ドル制裁も7月から25%の対中制裁関税を執行すれば、同じくクリスマス商戦を直撃する。(米経済が年末急落する予想の原因となっている)

米国では、中国からの輸入製品の価格で、製造販売することは不可能であり、米消費者を直撃、FRBが金利を下げても金融業界の心理的な効果しかなく、経済は急落することになる。
今月下旬の米中収納交渉は、米国にとっても瀬戸際貿易交渉といえる。
決裂では、世界経済も大幅にさらに後退する。

更なる米国の手立ては、中国企業に対して米企業製のIT部品の全面禁止にしようが、雇用問題を抱え可能性は薄いが、中国は米企業が中国で製造しているIT製品向けに対する米企業製IT部品を全面輸入禁止にすることだろう。

そこに、今回の貿易交渉が、現代版戦争の様相を呈している証となる。

<体制の違い>
国家体制の違いは大きい。
中国は中国共産党の一党独裁体制、かたや米国は、トランプ独裁政権であるが一応民主主義国家、来年大統領選挙を控えている。米国には議会もあるが、大統領令を乱発し無効化させている。
ただ、これまで中国制裁に賛同していた民主党議員もこれ以上はトランプ政権を批判し、米消費者を直撃することになり、選挙で不利になることから共和党議員も批判することになる。米大統領も米連邦議員も選挙で当選しなければタダの人。(トランプのメキシコ制裁では多くの共和党議員も反対に動いた)

米トランプ政権は、強硬派スタッフたちを侍らし過ぎ、言われるがままにトランプは大鉈を振るい過ぎ、極右スタッフたちの赴くままにコトが進み、取り返しの付かない事態に突き進んでいる。
今月末の米中貿易戦争の和解合意はトランプの妥協しだいとなる。ただ、その妥協の可能性は低い。

中国もZTEに続くフェーウェイ制裁は、今後も個別制裁される可能性が高く、安易に米国と妥協できない事態。

2018年11月1日のブエノスアイレスの会談では、習近平が先に頭を下げたが、今年5月3日、中国が知的財産権侵害を禁止する法制定を取り止めたことは、中国が嫌う内政干渉だとして、中国長老たちの巻き返しがあったものと見られ、習近平も妥協の幅が狭くなっているようだ。さらに、ファーウェイの制裁にも激怒している。

ファーウェイの制裁は米政権にとって早すぎた。
ファーウェイは独自OSを8月にも完成させる。
ファーウェイ・スマホは海外販売台数も多く、独自OSではグーグルのOSを使用しないことにより、グーグルのビジネスモデルが崩れ、その打撃は相当なものになる(中国国内では規制されグーグルの利益はほとんどないが、海外販売分は規制なく、グーグルの有料サービスが提供され、サムスンスマホとともに大きなグーグルの収益源となっている)。

その他、
中国が所有する米国債1120.5億ドル(2019年3月末)の売却
中国が世界シェア80%のレアアース輸出禁止へ、
(米国産レアアース鉱物も中国で精製されている。米国に精製施設=レアアース用溶鉱炉等がもはやない。)

戦争では何でもある。それが戦争。
アフガンでは屋根に大きな赤十字のマークが入った病院施設を米軍が攻撃して、国境なき医師団派遣の医師も含め大量死、マスコミから批判されても米軍は「ごめんなさい」の一言で終わり、米政府は謝罪することもない。
今やネバダ州の軍ゲームセンターにおいて、軍ゲーマーが無人機を操縦し、世界中で空爆やミサイル攻撃を実施している。最近は攻撃を補強する偵察機の光学・赤外線性能が向上し、誤爆は少なくなったが、それまではひどかった。

今回の貿易交渉が決裂した場合、中国保守派が台頭し、台湾の総統選挙如何では、台湾攻撃問題も浮上してくる。
米国は最新兵器を台湾に供給、ゴチャゴチャになる。
日本も米軍の同盟関係から参加することになる。
もうこれって本当の戦争。
 

 
[ 2019年6月11日 ]

 

 

 

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