アイコン ホンダの経営者たち 4Q赤字/部門別地域別業績状況

 

 

ブランド力を生かしきれていない。
ジェットに吸い取られたようにチャレンジ精神を欠落させている。
将来性のある地への積極的な地域展開も図ろうとしない
日本では軽を売っていれば良いとのいい加減な経営姿勢
世界経済が急変、モータリゼーション革命進行中、ホンダの経営センシングは旧態然のようだ。
事なかれ主義の官僚的サラリーマン経営者たちの限界が出てきているようだ。

ホンダは、経営陣の問題として次のように報道されている。
高い技術力とブランドイメージで世界に名を馳せたこの企業が、振るわない。
商品・技術戦略の失敗だけが理由ではないようだ。
社内の対立によって溜まってきた膿のほうが、どうやら根深いのだ。ホンダの経営中枢にいた元役員はこう指摘する。
 「今の経営体制ではホンダはいずれ経営危機を迎えます。トップの八郷隆弘社長にせよ、ナンバー2の倉石誠司副社長にせよ、経営をかじ取りする力量がない。

スポンサード リンク

経営陣を総入れ替えする荒療治が必要だ。昨年の株主総会ではOBの一部株主が結託して解任動議を出そうとしていたくらいです」
 ホンダが5月8日に発表した2019年3月期決算の売上高は前期比3.4%増の15兆8886億円、本業のもうけを示す営業利益は▲12.9%減の7263億円だった。 営業利益率は4.6%と、トヨタ自動車の8.2%や、安価な軽自動車中心のスズキの8.4%の足元にも及ばない。

その要因は不振の四輪事業にある。
ホンダの事業は、四輪、二輪、汎用エンジンや草刈り機などのパワープロダクツの3部門で構成されるが、売上高の最も多い主力の四輪が、2019年1~3月期決算で売上高2兆9128億円に対し、営業損益は▲530億円の赤字に陥ってしまった。今後も収益性が大きく回復する見込みがない。

ホンダの四輪が赤字に陥ったのは、過剰設備と開発コストの高さによるもの。国内で最も売れている「N-BOX」シリーズを抱える軽自動車部門でさえも赤字だというから驚く。

ホンダ低迷の構図はかつての日産自動車と全く同じ。
日産は過剰設備と高コスト体質に苦しみ、赤字体質から脱却できずに有利子負債を膨らませて経営危機に陥り、仏ルノーの傘下に落ちた。

この惨状にもかかわらず、ホンダはあちこちで内部対立を抱えている。

<2輪対4輪>
まずは稼ぎ頭の二輪事業と、赤字の四輪事業の対立。
いまホンダは、本田技術研究所内にある二輪の研究開発部門を切り離して、本社の二輪事業本部と一体化させることで意思決定の迅速化を図ろうとしている。追い上げてくるインド・中国メーカーに対抗するためだ。
ところが、二輪部門の幹部は、「意思決定の迅速化を狙うならば、二輪事業部門をホンダ本体から切り離して分社化する手もあったはずだ」と語る。
稼ぎ頭の自分たちだけを分社化すればいい。この幹部は、「赤字転落した四輪とは一緒にされたくない。モチベーションが落ちる」とまで言う。

<専横の中国派>
 二輪と四輪の対立だけではない。四輪事業の不振の元凶の一つとされた北米事業の出身者「米国派」の幹部たちは、中国事業を長く手がけてきた八郷氏や倉石氏ら「中国派」が人事を専横していると不満を募らせる。
 さらには、その「中国派」のなかでも、八郷氏と倉石氏の関係に軋みが生じ始めているというのだから、ただ事ではない。

<和合タイプの八郷氏の体制>
 今、ホンダ社内で何が起こっているのか。
 「八郷体制」の力量不足は否めない。前任者の伊東孝紳氏(現取締役相談役)が無謀な拡大路線を敷いたことで、品質管理力が追い付かず、主力車「フィット」の大規模リコールの責任をとって退任。後任として'2015年6月に八郷氏が選出された。
40代の頃から将来の社長と言われてきた伊東氏は「暴君タイプ」だったのに対し、八郷氏は「聞く耳を持つ」ボトムアップ型の社長で、経営トップになっても自分が前面に出ることはなかった。
 「伊東前社長が現場をすぐにどなりつけて社内が萎縮していたので、八郷さんはそれを反省して社員の自主性を促すことを重視していた。
 役員同士もぎくしゃくした関係だったのが、八郷さんは役員同士でお弁当を食べたり、飲み会に行ったりして社内融和に徹していた」とホンダの中堅幹部は語る。
 
しかし、八郷氏の尻に火がついてきたのは、昨夏ごろからだった。温厚な八郷氏の眉間にしわが寄るようになり、いら立って語気を強めて部下に説明を求める場面が増えたという。
 「俺が納得する新しい案を持ってこい」
 昨年6月のある日、八郷氏が珍しく声を荒らげた。八郷氏が求めた案とは、コストを下げて商品力も落とさない自動車の新たな開発手法の導入計画のことだった。
 自動車会社では、開発の上流段階から設計・部品の共通化を進めるコストダウン戦略がはやっている。
 トヨタの「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」やマツダの「一括企画」と呼ばれる設計手法が有名で、こうした新たな設計手法の導入によって、開発部門の組織や仕事の進め方を見直し、車種によっては製造原価を30%下げたと言われる。
 これに対し、ホンダは何も取り組んでこなかった。今年5月の決算発表の際、ようやく八郷氏が「ホンダアーキテクチャー」を導入して開発効率を上げると発表した。他社より10年遅れて設計改革に取り組むことになった。
・      ・・・・略
以上、報道参照

ホンダの普通車は、米国と中国で売るとの発言が幹部から出ていた。日本では、普通車は売れないことからだろうが、かつての若者を魅了したカーデザイン力はまったくなくなって久しく(初期のステップワゴンまでだろう)、日本は軽自動車で持っているようなもの。

米国では販売台数がピークアウトし、各社増産体制を敷いていたことから、熾烈な販売競争にさいなまれ、インセンティブ販売強化、ホールセールの拡大により、利益が出ない体質に陥っている。

中国は、一昨年まで破竹の勢い、ここにきても市場全体が大きく落ち込む中、大幅な売上台数増の記録している。しかし、昨年は1月に主力車種のCR-Vが寒冷地でエンジン系統がストップ、2月にリコールと販売停止に追い込まれ、5月に販売を再開したものの信用低下、立ち直るのに時間を要した。開発責任の問題であろうが、年間通しでも取り返せず前年比マイナスとなっていた。
中国市場の1~5月は、米中貿易戦争の煽りを受け経済低迷、全体の乗用車の販売台数は▲15.1%落ちており、いつまでホンダとトヨタの好調が続くかは不明、また、今年から販売台数に占める新エネ車の販売台数が、ホンダ全体の販売台数の10%に届かない場合、ペナルティを支払うことになる。これも新エネ車が売れなければ巨額の費用となる。

ホンダ 決算:IFRS式
連結/百万円
売上高
営業利益
←率
税前利益
株主利益
17/3期
13,999,200
840,711
6.0%
1,006,986
616,569
18/3期
15,361,146
833,558
5.4%
1,114,973
1,059,337
19/3期
15,888,617
726,370
4.6%
979,375
610,316
19/18比
3.4%
-12.9%
 
 
-42.4%
20/3期予想
15,700,000
770,000
4.9%
995,000
665,000
20予/19期比
-1.2%
6.0%
 
1.6%
9.0%
1~3月期
4,049,117
42,365
1.0%
111,124
-4,529
 
<主要国での販売状況>
ホンダ 日本での販売台数(輸入車含)/台
  
年間販売台数
販売台数
前年比
2016
乗用車
 
383,820
0.7%
軽車
323,224
-6.5%
2017
乗用車
381,835
-0.5%
軽車
342,999
6.1%
2018
乗用車
377,695
-1.1%
軽車
369,531
7.7%
2019
 
5月
1~5月
乗用車
28,905
11.9%
167,974
1.2%
30,748
19.1%
168,055
6.9%

 

ホンダ 中国での販売台数(輸入車含)/台
 
  
年間販売台数
 
 
販売台数
前年比
2015
 
1,006,332
32.5%
2016
1,247,713
24.0%
2017
1,441,307
15.5%
2018
1,432,291
-0.6%
2019
5月
1~5月累計
136,486
37.4%
597,027
19.1%

 

ホンダ アメリカでの販売台数(輸入車含)/台
 
  
年間販売台数
 
 
販売台数
前年比
2015
 
1,586,551
3.0%
2016
1,637,942
3.2%
2017
1,641,429
0.2%
2018
1,604,828
-2.2%
 
5月
1~5月
 
145,532
-4.9%
641,094
0.0%
 
<部門別>
2019年3月期の部門売上高/百万円
 
2輪
4輪
金融
その他
 
百万円
前年比
百万円
前年比
百万円
百万円
売上高
2,100,156
3.0%
11,287,764
2.2%
2,380,042
377,256
営業利益
291,642
9.2%
209,694
-43.9%
235,945
-10,911
販売主要国・地域の販売状況/百万円
 
日本
米国
アジア
売上高
4,848,313
8.2%
9,023,964
5.1%
4,272,239
1.2%
営業利益
10
-99.9%
299,750
7.6%
404,220
0.4%
 
<役員一覧>
役職名
略歴
取締役会長
2008年4月
欧州地域本部東欧・中近東・アフリカ担当
取締役会議長
2008年6月
当社執行役員
渉外担当取締役
2009年8月
取締役社長
神 子 柴 寿 昭
2011年4月
広汽本田汽車有限公司総経理
 
2016年4月
北米地域本部長
2019年4月
当社取締役会長(現在)
代表取締役社長
2008年4月
購買本部四輪購買二部長
最高経営責任者
2013年4月
中国生産統括責任者
研究開発担当取締役
2013年11月
本田技研科技(中国)副総経理
八 郷 隆 弘
2015年6月
代表取締役社長 社長執行役員
代表取締役副社長
2007年4月
本田技研工業(中国)投資副総経理
四輪事業本部長
2010年6月
取締役
倉 石 誠 司
2017年6月
代表取締役副社長(現在)
専務取締役
2008年6月
生産本部生産担当
生産担当取締役
2009年4月
中国本部生産担当
山 根 庸 史
2010年9月
本田技研工業(中国)投資副総経理
 
2017年6月
専務取締役(現在)
専務取締役
2010年4月
事業管理本部経理部長
財務・管理担当取締役
2013年4月
事業管理本部長
竹 内 弘 平
2013年6月
取締役 執行役員
 
2017年6月
専務取締役(現在)
取締役
2012年6月
花王㈱取締役 取締役会会長
尾 﨑 元 規
2016年6月
当社取締役(現在)
取締役
2001年4月
日本リーバ(株)取締役
小 出 寛 子
2019年6月
当社取締役(現在)
取締役相談役
1998年4月
ホンダアールアンドディアメリカズ・インコーポレーテッド副社長
伊 東 孝 紳
2009年6月
代表取締役社長
 
2015年6月
同 取締役相談役(現在)
取締役
2007年4月
管理本部人事・労政担当兼人事部長
(常勤監査等委員)
2008年4月
同 生産本部浜松製作所長
吉 田 正 弘
2017年6月
同 取締役(常勤監査等委員)(現在)
取締役
2010年4月
欧州地域本部地域事業企画室長
(常勤監査等委員)
2017年6月
取締役(常勤監査等委員)(現在)
鈴 木 雅 文
 
 
取締役(監査等委員)
1977年5月
公認会計士登録
髙 浦 英 夫
2006年9月
あらた監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)代表執行役
取締役(監査等委員)
2007年6月
㈱西友最高財務責任者(CFO)
田 村 真 由 美
2015年6月
当社監査役
 
2017年6月
取締役(監査等委員)(現在)
取締役(監査等委員)
2000年4月
東京高等検察庁検事 
酒 井 邦 彦
2016年9月
広島高等検察庁検事長
 
2019年6月
当社取締役(監査等委員)(現在)
※取締役 尾﨑元規、小出寛子、髙浦英夫、田村真由美、酒井邦彦の各氏は社外取締役

 

 
[ 2019年6月20日 ]

 

 

 

関連記事

 

 



PICK UP


PICK UP - 倒産