アイコン 韓国 純国産宇宙ロケット「KSLV-II」発射成功、衛星軌道投入失敗


韓国は21日午後5時、模擬人工衛星を搭載した初の純国産宇宙ロケット「KSLV-II」、通称「ヌリ号(Nuri)」を全羅南道・高興の羅老宇宙センターから打ち上げた。

打ち上げた3段式のロケットは、数分内に高度600キロに到達し成功したものの、搭載していた1.5トンの模擬衛星を軌道へ投入することには失敗したと発表した。

失敗原因は、3段目のロケットが予定より46秒早く燃料を消費してしまい停止したことにより衛星を軌道に投入することができなかったという。

ヌリ号は3段式で、10年をかけ2兆ウォン(約1940億円)を投じて開発された。重量200トン、全長47.2メートルで、液体燃料のエンジン6基を備えている。
韓国は宇宙先進国の仲間入りを目指しており、成功すれば世界で7例目だった。
韓国は2回目の実験を来年5月にも予定している。
それが成功すれば、向こう10年間で公共分野だけでも100基以上の衛星を宇宙空間に打ち上げる計画を持っている。

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これまで、韓国の宇宙開発計画は、トラブルの連続だった。
韓国はロシアから技術導入して打ち上げようとしたが、ロシアが技術移転を断り、ロシアが韓国に協力することで決着。
2009年と2010年にロケットの一部でロシア製を利用したりして初の打ち上げを目指したが2回とも失敗に終わった。
2010年は打ち上げの2分後にロケットが爆発し、韓国、ロシア間で非難合戦が生じた。
これまでの失敗は1段目から2段目ロケットへ移行する着火がうまくいなかったようだ。
2013年、打ち上げに成功した。しかし、最大推力を要する1段目のロケットエンジンはロシア製だった。
今回は、純国産として打ち上げられた。

韓国は先般、SLBM発射実験に成功し、世界最大級の地下攻撃用のバンカー爆弾ミサイルの発射実験にも成功している。
ミサイルの発射実験を繰り返しているのは北朝鮮だけではない。米国は朝鮮戦争後一貫して韓国のミサイル開発を規制していたが、トランプ大統領がほとんどの規制を解除したことから、韓国は発射実験を繰り返している。韓国軍は空母の建造を決定し、原子力潜水艦の建造も計画し、計画に当たって核爆弾を搭載しなければ問題ないとしている。

ミサイルもロケットも基本一緒のものだが、多段式とか、大きな重量トンを打ち上げるとか、正確さを要するとか、目的とか、積荷とか、些か異なる。
9月15日、韓国はSLBM発射実験を行っている。SLBMは1段目で水中の潜水艦から空中に放出、空中に至った2段目に点火して飛翔させることから、1段目から2段目の点火がスムーズに行われるか、今回の宇宙ロケット「ヌリ号」の事前発射実験だった可能性もある。韓国のSLBMの発射実験は失敗すれば発表しなければ済み、成功すれば公表するもの。
 
今回、3段式のロケットそのものは大成功したとしており、万歳万歳万々歳の声が海の向こうから聞こえてきそうだ。

静止衛星は赤道上空約35,786km の高度の軌道上にあって地球の自転と同じ周回周期を持ち、一定地点を長期にわたり観測でき、通信、放送、気象観測などに用いられている。
通常の衛星の高度は500~800キロ程度、韓国もこの高度に模擬衛星を投入予定だったようだ。この高度は衛星寿命から見てもコストパフォーマンスに優れた高度帯となっている。
さらに低軌道衛星は、高度300キロ前後、ISS国際宇宙ステーションは高度400キロを周回している。
大気圏の高度は約100キロまで、高度300キロ以内の低高度ではまだ負荷がかかり、衛星寿命が短くなる。高度を上げ下げするには大きなエネルギーを要し、そのため原子力を動力にした軍事偵察衛星を飛ばしている大国もある。
当然、低軌道で飛ばせば情報をより精密に捉えることができるが、衛星寿命が短くなり、必要に応じて高度を上げ下げする原子力以外の衛星も最近は多く登場している。

 

[ 2021年10月22日 ]

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