旧日生福岡ビル・三栄ビル一体化新ビル計画発表 大林組建設へ 天神ビッグバン
日生命と積水ハウスは13日、福岡市・天神の「日本生命福岡ビル」と「福岡三栄ビル」を一体的に開発する新ビルの概要を発表した。国の経済特区による福岡市の再開発促進事業「天神ビッグバン」の優遇策を活用する。
敷地は日生福岡ビルと福岡三栄ビル、吉良ビルの計3棟があった区画。南棟は明治通り、北棟は昭和通りにそれぞれ面し、延床面積は約3万9300平方メートル。いずれもオフィス主体で、建物は地下2階まである。地下1階~地上2階に店舗が入り、地下と地上3階で連絡する。
東側は、延伸される都市計画道路・天神通線のため一部用地を提供。同線に沿って設ける幅8メートルの歩行者空間には、れんが積みの列柱を配置、壁面緑化を施すなど風格ある外観デザインを目指す。明治通り、昭和通りに面する部分にはそれぞれ広場を整備し、シンボルツリーを植える。
同市が掲げる「感染症対応シティ」実現に向けて、窓の一部からビル内に外気を流入させる換気システムを導入。人の通行量が多い場所には非接触検温センサーを設置するなど、ウィズコロナを意識した仕様にする。
以上、
スクロール→
建築計画概要 |
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事業主 |
日本生命・積水ハウス |
事業名称: |
(仮称)天神一丁目北14番街区ビル |
所在地 |
福岡市中央区天神一丁目155番他 |
敷地面積 |
約3,050㎡ |
延床面積 |
約39,300㎡ |
建築規模 |
南棟(明治通り側)15階建 |
北棟(昭和通り側)18階建 |
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地下と3階で連結 |
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建物高さ |
北棟約88m/南棟約78m |
用途 |
事務所、店舗他 |
竣工 |
2025年3月(予定) |
設計 |
久米設計(都市計画・建築計画) |
施工 |
大林組(予定) |
<福岡市の中心街>
戦後の昭和30年前後に福岡市中央区明治通り沿いに建てられたビル群、老朽化しているものの福岡県沖地震でも建て替えず耐震補強でクリアしてきた。
福岡市は空港が近く、非常に便利なのはよいのだが高度制限が設けられ、賃貸オフィスによる収益には限界があり、建て替えるチャンスがなかった。
そうしたところに、現在の高島市長が安倍元首相や麻生元首相にヨイショどころかカバン持ちまでして福岡市を経済特区に指定させた。
福岡市は2015年2月に「天神ビッグバン」(天神交差点から半径500メートル以内)と名付けて、大幅に高度制限や建蔽率を緩和して改築を推奨した。所有者も収益物件として建て替えを積極化、今年2月までにすでに建て替え完了数は42件に上り、建築確認申請件数も52件もある。
ただ、福岡市も何れ人口減少が始まる。現在、オフィス需要はアベノミクス景気により旺盛だったが、福岡市のビジネス街の場合は、特に天神ビッグバンによる改築等による移転により、オフィス需要が急激に上昇して空き室率が大幅に減少した経過があった。そうした建物群が完成し出し、移転社は新築ビルに再度戻り、また新コロナ下もあり、オフィス需要は東京と同じように悪化してきている。
福岡市は、また、博多駅周辺も経済特区を活用した建蔽率を大幅に緩和した「博多コネクテッド」を動かしており、今後ともオフィスの供給は大幅に増加してくる。
三鬼商事によると2019年6月の空き室率は1.7%、2021年10月には4.71%まで上昇している。
市長の高島施策では呉服町界隈がさらに空洞化する現象は避けられないものと見られる。また、建築が元気でもほかに採るものがなければ、今後とも続く少子高齢化、人口流出、人口減の九州にあり、九州の中核都市の福岡市のオフィス需要が心配される。
新コロナで企業のオフィスに対する考え方は大きく変化しており、そうした変化を福岡市や福岡県、九州は積極的に取り込む必要があったのでは・・・。
福岡市はいつまでも支店経済では済まされず、掛け声だけではなくアジアに全面開港した政策が望まれる。次の世代のためにも日本の知財人が福岡に集中するようなソフトパワーの施策が必要ではないだろうか。器だけ立派になった世界に向けた論文数が少ない田舎大学の九州大学も情けない。
↓天神ビッグバンと今回の建築物件地