アイコン R東海、リニア新幹線、瀬戸トンネル新設工事事故の原因と再発防止策発表 奥村組JV現場


事故概要
1、発生日時:2021年10月27日(水)19時20分頃 天候 晴
2、発生箇所:岐阜県中津川市瀬戸
3、工事件名:中央(リニア)新幹線瀬戸トンネル新設工事
4.請負会社 奥村組JV
5.受傷者:
作業員A 1次下請 村崎建設(株)44歳・・病院搬送後死亡、
作業員B 1次下請 村崎建設(株)52歳・・左足首ほか骨折全治2ヶ月
6.概況
作業員が斜坑掘削に伴う発破作業後の残薬有無の点検のために切羽に近づいた際、切羽左肩付近より肌落ちが発生した。肌落ちした付近にいた作業員Aの足が岩塊に埋まったため、作業員Bが救出に向かったところ、さらに最初の肌落ち箇所近傍で地山の一部が落下し、作業員Aが岩塊の下敷きになり、作業員Bの足が岩塊に埋まった。

JR東海は12月27日、10月27日発生したリニア新幹線瀬戸トンネル新設工事における肌落ちによる災害に関する原因と再発防止対策について公表した。

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Jリニア新幹線瀬戸トンネル新設工事共同企業体(構成員 奥村組、淺沼組、TSUCHIYA。以下、奥村組JV)が施工する斜坑口付近において発生した切羽からの肌落ちによる死亡事故について、奥村組JVによる、施工箇所の地質状況、肌落ちの発生状況、当日の作業内容・体制についての確認、および原因の調査を踏まえ、当社においてトンネル工事に関し、有識者が確認したうえで、再発防止対策をとりまとめた。

概要は以下のとおり。
1、災害の概要
2021年10月27日19時20分頃、斜坑口から約70m地点で、作業員が斜坑掘削に伴う発破作業後の残薬有無の点検のために切羽に近づいた際、切羽左肩付近より肌落ちが発生した。
肌落ちした付近にいた作業員Aの足が岩塊に埋まったため、作業員Bが救出に向かったところ、さらに最初の肌落ち箇所近傍で地山の一部が落下し、作業員Aが岩塊の下敷きになり、作業員Bの足が岩塊に埋まった。作業員Aは病院に搬送後、死亡が確認され、作業員Bも重傷を負った。

2、災害発生箇所の状況
掘削は、削孔検層・切羽観察・坑内計測により地山の地質状況を確認しながら行い、災害発生箇所において、支保パターンの変更や補助工法の追加が必要な状況ではなかった。
また、災害直前の発破前の段階でもコンクリートを吹付けたトンネル壁面に変状等はなかった。
このため、主に岩盤が露出した切羽区間で発生した肌落ちによる災害であると考えられる。

3、原因
今回の災害は、露出した地山から浮石が肌落ちしやすい発破直後の残薬有無点検中に起きたものであり、災害発生時の施工箇所における奥村組JVの作業実態が以下のとおりであったことが原因であると考えられる。

(1)作業員がずい道等の掘削等作業主任者(発破作業指揮者を兼務)からの指示がない中で、立入禁止範囲に入ってズリ山を登ったこと
(2)立入禁止範囲に作業員が入ったにもかかわらず、切羽監視責任者による切羽の常時監視がなされていなかったこと。
また、残薬有無点検の際の切羽監視責任者の配置や常時監視について、奥村組JVによる具体的な指示や作業手順書への明確な記載がなされてなかったこと。

以上から、奥村組JVにおいては、厚労省「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」が施工会社に求める「作業手順書の作成」、「切羽監視責任者の職務」への対応が不十分であったと考えられる。

4、再発防止対策
原因の分析を踏まえ、奥村組JVにおいて、以下の再発防止対策を講じる。
・今回災害が発生した発破直後の切羽近傍での作業である残薬有無点検について、以下のことを徹底する。
奥村組JVは切羽の立入禁止範囲を明確に定め、作業手順を詳細に作成して作業員に周知し、ずい道等の掘削等作業主任者の指示があるまで作業員を立入禁止範囲内に立入らせないこと

・やむを得ず作業員が立入禁止範囲に立入って切羽に近づく必要がある場合は、切羽の浮石を十分に落とし、残薬付近を除き、吹付けコンクリートを施工すること。
立入禁止範囲への立入りにあたってずい道等の掘削等作業主任者は、切羽監視責任者による切羽の常時監視がなされていることを確認したうえで、高所にはドリルジャンボのマンケージなどに作業員を搭乗させて、低所にはネットやマット、マンケージなどで作業員の上部を防護した後に、立入らせること

・残薬有無点検以外の作業についても、やむを得ず立入禁止範囲に立入って切羽に近づく必要がある場合は、ガイドラインにおいて肌落ち防止に対し有効性が認められるとされる地山等級IIIまでは鏡吹付けを行ったうえで、以下のことを徹底する。なお、地山等級IVでも、局部的に脆弱部がある場合には鏡吹付けの要否を検討し、必要な場合には実施したうえで、以下のことを徹底する。
・再発防止対策と同様に、立入禁止範囲への立入りにあたってずい道等の掘削等作業主任者は、切羽監視責任者による切羽の常時監視がなされていることを確認したうえで、高所にはドリルジャンボのマンケージなどに作業員を搭乗させて、低所にはネットやマット、マンケージなどで作業員の上部を防護した後に、立入らせること。
・鋼製支保工の建込時などネット等の設備的防護対策を施すことが困難な場合は、ずい道等の掘削等作業主任者は、切羽監視責任者に加えて、作業員を切羽監視にあたらせて監視体制を強化したうえで、作業を行わせること。

なお、今回の肌落ち災害の発生直後、山岳トンネルの他の工区において、ガイドラインに則って施工されていることを確認している。

今回の災害に鑑みて、他の施工会社においても工区に応じた肌落ち災害防止対策がさらに強化されるよう、リニア新幹線安全推進協議会において、以上の再発防止対策を説明して展開するとしている。
以上、

[ 2021年12月30日 ]

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