アイコン JCネット「小林先生一般質問に寄せて」


大石シルエット

3月18日午前11時15分、長崎県議会、議場。

座りきれないほどの傍聴者の方々からの熱視線を背に受け、県議会議員として6期目を数える大 御所、小林かつとし県議が一般質問に登壇した。
541票という極めて僅差で知事となった大石新知事に、半数の方々は中村前知事を支持してい たという事実をどう受け止めているのかと確認することから、質問はゆっくりと始まった。 大石知事も、その後自分が多くの人たちの前で、一枚一枚と虚飾やごまかしを剥がされていくこ とになるとは、この時は夢にも思っていなかっただろう。
対面の演壇に戻った小林県議は、大石知事に対し、「こうして県議会で質問することになるとは
思わなかった」と、言葉を繋いだ。

3年前に小林議員の事業所に3区から衆議院選挙に出たいと言ってやってきたこと。
その後連絡がなかったが、昨年の秋の衆議院選挙で1区の公募に応募、落選し2区に応募したと
聞き驚いたと、小林県議は大石知事の目を鋭く射抜くような視線で話を続けていた。
都市型の1区と農村型の2区では有権者の背景も違い、どのような政治姿勢を持っているのか、
点々とする事自体が理解できないと、強い口調でその理由を大石知事に尋ねられた。

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大石のサムネイル画像


大石知事は、自分が政治家を志すきっかけとして、医師であった頃に「公助のあり方」への疑問 を持った経験から、「国政から変えていかなければならないと思い、国政にチャレンジした」と 答えた。「国政から県政に変わったけれども、ふるさと長崎県のために力を尽くしていきたいと いう思いは変わらない」と続けた。
それに対し小林県議は、「3区に出たいと言っていた人が、都市型の1区、農村型の2区と転々 とした理由を聞いている」と怒気を込めて再度尋ねた。 大石知事は、「それぞれの選挙区に自身や妻の地縁や血縁があったため」と答えた。 これに対し小林県議は、「これまでいろんな人を見てきたが、こんな人は見たことがない。不思 議に思っている人もたくさんいるので、明確に答えていってほしい」と続けた。

そしてこの後、議場では次の言葉が繰り返された。 「霞ヶ関にいても故郷を思い、恩返しがしたい」という大石知事のフレーズだ。 小林県議は、大石知事のtwitterに投稿された動画で語られたこの言葉を引き合いに出し、彼の長 崎に対する思いが真実であるかどうかを確認した。 長崎に尽くしたいという思いは本当か、イエスかノーか。 3区に思いを持ち、1区2区と手を挙げた大石知事のことである、当然、「長崎に尽くしたい」 という思いを肯定した。
それを確認した小林県議は、聞いていた者たちの全員が耳を疑うような事実を続けた。 「昨年の衆議院選挙で東京13区に立候補したことは事実か」、と。 1区、2区に出たことに留まらず、もはや長崎ですらない東京13区にまで出馬していたとは。 「霞ヶ関からいつもふるさと長崎を思っていた」とのあの言葉が虚しく響く。

また、「元から知事になりたいとの思いを持っていたとしたら、昨年の衆議院選挙の公募に手を 挙げることはなかったであろう」との質問に、「正直に言って、その考え(知事選に出ること) は衆議院選挙の頃には現実的な考えではなかった」と明言した。
小林県議は続ける。 「空き家があれば大石は行くぞと言われている。知事選で落ちても夏の参議院選挙に維新から出 たのではないかという話もかなり言われていた。腰を落ち着けてやっていくことをお願いした い。」

至極もっともな意見であるのだが、そもそもこんなことは新しい知事への質問として議会で言わ なければならないことなのだろうかと悲しくなってくる思いがした。 その思いはきっと、小林県議が一番感じていたことだったろう。 本来なら、知事に対して今後の県政についての思いと方針を聞き、議員としての意見を訴え、心を 合わせていくはずの一般質問で、このようにして疑惑を暴かなければいけないということ自体 が、現在の長崎県の異様さを何より物語っている。
この後、知事の厚生労働省での勤務経験についての質問が続いた。 2年間、厚生労働省に籍を置いたが、2年目からはAMEDという厚労省や経産省などで運営され ている医療研究費関わる国立研究開発法人に移ったと説明があった。 もはや「経験」ということも憚られるような足掛けにも腰掛けにもならない1年間であったこと が示されたことから、小林県議はあきれながらも「国会議員であれば約700人のうちの一人だ から勉強する時間もあるが、県知事は一夜にして130万人のリーダーになることだ。 行政経験、政治経験がないことを不安に思う声が多い中で、しっかり頑張っていただかなければ いけない」と語気を強めた。

そして話は、公職選挙法に移る。

物議を醸した「シルエットポスター」。 さまざまな選挙において取り入れられている手法であり、候補者の影絵は禁止事項に当たらない という見解が主流になっている。 それでも「39歳医師」という言葉に加えて眼鏡をかけたシルエットは、大石候補を類推させたも のであるとして、候補者の氏名類推事項に該当し、違反スレスレのやり方だったのではないかと 小林議員は詰め寄った。

また、小林議員は選挙管理委員会に対し、『下半分を縛って候補者だけが見えるようにした「2 連のぼり」について』の一般的な見解を求めた。 これに対して選挙管理委員会は、「2連のぼりが演説会等の告知に使用されるものであること、 のぼりの一部を見えなくする形で個人のものであると認められるような場合には法律の適用を受 けること、そして証票の貼り付け義務があること」など説明した。 個人の政治活動と認められる場合に、公選法に従わないものは「違反になる」とはっきりと議場 で答えたのである。
小林議員はJCネットでもお伝えしてきた「正常な知事選を実現する会」が、大石知事の公選法違 反行為の告発を申し出ていることを、その申立書を掲げて議場で紹介した。

大石、のぼり

そして、「正々堂々と王道であるべき知事選において、目的のためなら手段を選ばない方法は知 事としての品格に欠けると考えるがどう思うか」、と一喝した。 大石知事は「指摘されている内容がなんのことだかわからないが、違反があったなら良くないこ とだと認識している」という旨を弱々しく答えることしかできなかった。

シルエットのビラを広げ、選挙期間中に配信されていた大石TVの内容にも触れた。 動画内でシルエットを指し、「誰かに見えるやつですね」と述べていた大石知事。 そのことを逆手に取り、「これは誰ですか」と大石知事に厳しく尋ねる迫力に、後ろから見てい た聴衆も息を飲んだに違いない。 一緒に映っていた県議のことに話が及ぶと、議場内では北村議員が右手を挙げて自分であること を手を振ってアピールしていた。

どういう神経をしているのか理解に苦しむ行動であった。

さらに話は、選挙期間中に強調してアピールされてきた「コロナと戦う医療専門家」という言葉 と、そこから受ける「大石知事=コロナ専門家」というイメージのことに至る。 産後うつや発達障害等、精神科の医師としての経歴がありながら、選挙期間中、彼の本当の専門 についての話題はほとんど封じられ、「コロナ専門家」であることが強調された。 しかし、序盤の質問でも判明した通り、厚生労働省でコロナに関わる任務についていたのはわず か1年間であった。 「多くの県民はコロナの専門家である新知事に期待しているのだ」ということを小林議員は訴え た。
しかし1ヶ月経っても、コロナ専門家としての意見や施策は出てくる気配はない。
一般質問1日目、自民党のごう県議の質問から、まん延防止等重点措置に伴う認証店と非認証店
の一律規制が敷かれた際の当時の県の判断が示された。
「認証店からも非認証店からもクラスターが発生したこと、そしてオミクロン株というかつてな
い感染力の変異株であったことを根拠とし、厳しい一律規制となったこと」が総務部長から答え
られた。

 

さらに、大石TVやみんな総研での中村前知事への公開討論での質問において、大石知事が発言し てきた「認定基準自体の意味があったのか」ということに関しては、「認証店において基準の不 徹底が見られたことが認証店での感染者発生に繋がった原因である」と総務部長から答弁があっ た。 つまり、「認定基準自体が不十分なのではないか」としていた大石知事の考えは正しくはなかっ た。 あの頃は、ワクチン検査パッケージを条件にすれば、会食人数の制限をなしにして(これは中村 知事もVTPの場合、会食人数の制限なしとしていた)、さらに「マスクの着用も必要ない」と息 巻いていた大石知事。

しかし、実際に知事になってから、長崎県のコロナ対策において、ワクチン検査パッケージを条 件にしたとしても「マスク着用を徹底すること」が求められている。 マスクの撤廃を求めていた知事はどこにいったのか。

コロナ対策は、コロナ専門家の大石けんごに任せたい!マスクを取りたい!と思っていた人たち
は今、やるせない思いに違いない。
コロナ専門家は、本日、多くの聴衆の前で、独自の対策の1つも示すことのできない一介の精神
科医であることが示されたのであった。

また、ここからのことは、思い出すだけでも驚きを通り越して呆れる話となっていく。 大石知事は自身のマニフェストにおいて、「西九州新幹線の話が進まないのは、(当時の)現職 知事による対話の姿勢の欠如によるものです。知事自らが対話することで解決します。」というよ うに書いてあった。
それについて小林議員はこう言った。 「これまでの経緯の詳細を知らずしてどうしてこのようなことが言えるのか」と。 すると大石知事は、鼻で笑うように「どこの文章かわからないのでお答えできない」と言っての けた。

小林議員は激怒した。 「マニフェストは誰が書いたのか。人が書いたのか、自分で書いたのか。」 「何を根拠にしてこのようなことを書いているのか」と厳しく問うた。 すると大石知事は「確認団体が発行したものなので」と前置きしながら、「私もコミュニケーショ ンの不足が原因だと思っております」と繋いだ。 何度、「誰が書いているのか」と確認しても、「確認団体が発行したものだ」との一点張りだっ た。 確認団体が勝手に公約を出していいものなのかについては、「自分の判断するところではない」 とかわした。
小林議員はさらに言葉に怒気を込めて言った。 「これまで西九州新幹線のために中村前知事や県職員がどれだけ努力してきたか知っているの か」と。
「間違いなら謝罪しなさい」とまで言ったのだった。 新幹線に関わる人たちの必死な姿を見てきただけに、何も知らない人から無責任に軽々しい評価 をされたことが腹に据えかねたのだろう。

大石知事から「確認団体が書くのであれば、候補者はマニフェストに責任を持たなくても良い」 というように解釈できる発言があったことは、非常に大きな問題であると感じた。 「確認団体が書いたことなので」と責任逃れをする発言を繰り返していた姿を見て、その狡猾さ と不誠実さを見せつけられるようであった。 小林県議は「有権者はこうしたマニフェストを見て投票するのだから、マニフェストに書いてあ ることを把握していないなどおかしい」と詰め寄った。
筆者も同じ考えである。

もしも確認団体が書いたことなのでという責任逃れが許されるのだとしたら、候補者は確認団体
の名の下に、有権者ウケのいい好き放題のことを書くだろう。
「そういうことが起きても仕方ない」ということを、県下の選挙を一手に担う選挙管理委員会を
も支配下に置く知事自らが発言したのである。

本来なら、県の未来についてお互いの意見をぶつけ合い、建設的な議論をするのが議会という場 である。 しかし、この小林県議の一般質問では、私たちは大石知事が想像していた以上に、知事としての 器に足るものに思えない人物であることを知ることとなった。 この一般質問は、知事選挙の最中に虚飾をまぶされた大石知事のその誤魔化しを1つ1つ指摘 し、真実の姿に近づけていく作業であった。

今回初めて知ったことがたくさんある。 あれほどふるさと長崎のためにと言って、自身の衆院選公募への節操のなさを正当化しながら も、実は東京13区にも手を挙げていたこと。 節操がないなどという優しい言葉で表現することすらおこがましいほどに、「政治家になれるな らどこでもいい、なんでもいい」という本当の姿を知らされた。 そして、選挙管理委員会がはっきりと違反に該当すると明言するような二連のぼりでの違反を犯 していたこと。 また、コロナと戦う医療専門家として県独自のコロナ対策を求める県民の期待に応えることなど できるわけがない程度の厚生労働省での経験しかないこと。

霞ヶ関を匂わせていたが、1年しかいなかったのである。 ふるさと長崎のためだけに尽くしたかったのではない、東京13区でも最終選考まで残り、彼の 本音は国会議員になれるなら、どこでも良かったのである。 知事選に出る気など、去年の11月の時点では毛頭なく、マニフェストに何が書いていたのかも 覚えてすらいない。 そして極め付けは、確認団体が勝手に書いたマニフェストの文言は、確認団体が書いたものだか ら自分には直接関係ない、なんとも言えないという意思表示であった。
皆さんはどう思われるだろう。

1つ1つ明らかにされていった事実を通し、皆さんは大石知事が知事としてふさわしいかどうか
についてどう思われただろうか。
皆さんの率直なご意見をお聞きしたいと思っている。
また、本日、さまざまな新事実を県議会の場において白日の元に晒してくれた小林かつとし県議 におかれましては、大変お疲れ様でした。
心より感謝申し上げます。

今後も「正常な知事選を実現する会」を中心とした活動を支援し、その動向をJCネットでも発信 してまいりたい。 何よりもまず、一人でも多くの県民の皆様に、虚飾ではなくありのままの世界を見ていただき、 ご判断いただけるように、我々も正しいニュースの発信に努めてまいりたいと考えている。
なお、日付が変わり、長崎新聞による昨日の県議会の記事を読んだ。
そこには一切の大石知事に関する新事実はなかった。
昨日の小林県議の質問は骨抜きにされ、何事もなかったようにされていた。

県民の皆様は、このこと自体についても考えるべきである。 本来ならば、メディアが選挙期間中に、候補者について下調べをし、我々が正しい判断ができる ような情報を伝える役目を持っていたはずだ。 しかしながら、彼らは表に出ている誰でも入手できるようなソースをもとに、情報価値の少ない 記事を並べるに過ぎなかった。 もはやメディアとして信頼するに足るものではなくなったということが、3月19日、長崎県下に 晒されたものと思っている。

大石、のぼり
 

[ 2022年3月19日 ]
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