アイコン 20年ぶりの131円台 1年前より25%円安 天然ガス⇒コロナ前より4倍に


日本では預金するとして利息はほとんどつかない。少しでも利が付くように10年もの国債を購入しても0.2%台、ならば米国債の10年債を購入すれば2.97%台の利息が入る。加え、売却時にはさらに円安だった場合、その分が掛け算で上乗せられる。米国経済・インフレ次第ではさらに金利は上昇することになる。

国際先物相場が資源・エネルギー・穀物・食品相場が高騰・暴騰しているが、日本は1年前の商品先物相場と変わらなくとも、日本が輸入する商品の価格は、国際相場がドルで決済されることにより1年前より24%高く購入することになる。実際は商品先物相場も高騰・暴騰していることから、目も当てられない輸入物価高騰を招いている。

 

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<米金利上昇に合わせられない日本の悲劇>
日本は今年3月末990兆円以上の普通国債発行残(特別債および地方債、政府借入金は別)があり、金利を上げれば、国家歳入予算を国債金利が食ってしまうため金利を上げることはできない。そうした政策がリーマンショック以降、企業景気が良好だったアベノミクス下でも約250兆円増額し続けている。岸田政権はさらに増加させることになる。
そのため、経済が輸出業や投資事業により経済成長するのは認めても、給与上昇による可処分所得増=購買力の増加によりインフレを招き押さえ込むための金利上昇を避ける必要がある。政策面からも給与は上げられない前提条件となっている。
ここ10年で、高給取りの正規雇用者が大量に退職しており、低賃金の非正規雇用者が増加し、専業主婦が大量に労働市場に入って家計を穴埋めしても、消費税増もあり、2人以上世帯の実質可処分所得は減っている。

こうした動かせない低金利政策により、米国との金利差は大きくなるばかりであり、このままでは・・・。
日本が保有する米国債は12,324億ドル(3月末/2月末は13,063億ドルであり739億ドル売却が多くなっている。年度末決算向けに売却したのか、円安を食い止めるため売却したのか定かではないが、2月3月は115円前後で動いていた)の1割でもさらに売却すれば、円安は食い止められるようか。
日銀の黒田総裁、鈴木財務大臣、経団連の十亀会長らは、国民の生活など関係なしとし、「円安は日本経済に好影響をもたらす」としており、日本が、いまだ20年・30年前の輸出大国である幻想に浸っている老人たちでもある。

今回は、外的要因(為替安と国際商品価格の高騰)でインフレが発生しており、これまで実質可処分所得を増加させなかったこれまでの政権の政策により、国民の購買力は限られる。

今回は、これまで米国の長期金利と連動しなかった円が連動し出しており、今後、米国の経済が悪化し、米国でインフレでも収まらない限り金利は上がり続け、円安に歯止めがかからなくなる可能性もある。
国際価格の上昇と円安により輸入物価は高騰し続け、生活必需品中心の消費となり、国内経済の悪化は避けられない。

原油の先物相場は、IEA加盟国による国家備蓄原油の放出で100ドル台まで下がったものの、再度120ドル台を窺う展開となっている。
上昇には2つの理由がある。

1、それはEUが5月30日に11月までにロシア産原油の9割を輸入停止にすることで合意し、実際、今後、停止に動き、米国やOPECで生産量が限定されている中で、ロシア以外の産油国から260万バレル/日を購入することになり必然的に上昇することになる。

2、また、3月末から新コロナでロックダウンに入っていた中国・上海(2500万都市)でロックダウンが解除され経済も人もいよいよ動き出している。動き出せば東南アジアも連動して動き出し、原油のニーズは高まるばかり。当然、価格もさらに高騰する。
ただ、中国とロシアの息がかかった東南アジアの国々は2割以上安価なロシア産原油を購入している。ロシア産原油と国内産品とバーターできる国はそうした原油の購入を続けるものと見られる。すでにインドはこれまで3万バレルだった輸入が80万バレルまで増加、そんなこんなでロシアは原油の生産量を制裁前の810万バレルに戻している。
アラムコは中国・東南アジアのニーズが高まるとして、すでにそれを予想した価格を予想している。
Depressionに至らねばよいが・・・

今年に入り、対ドルでほとんど動いていない国は、インドネシアのような資源国およびインフレや外資流出を食い止めるため米国に合わせ金利を上昇させている隣国などに限られている。
隣国の場合、12月0.75%から1%に引き上げ、2月1.25%、4月1.5%、5月1.75%まで高め、対ドルウォンは年初の1,196ウォン、5月12日の1,291ウォンまで小動きでウォン安が進行したものの、6月7日現在1,259ウォンと安定してきている。ただ、こうした金利の上昇は新コロナで病み上がりの国民の消費には悪影響をもたらす。

・長期金利の指標として10年もの国債の取引金利が採用されている。


スクロール→

為替と長期金利との関係

 

 

10年債

米基準

対ドル円

10年債

日本基準

 

月初

金利%

金利%

金利%

金利%

 

19/12

1.859

1.75

109.099

-0.022

-0.100

 

21/6

1.513

0.25

105.354

0.056

 

22/1

1.628

 

115.320

0.085

 

2月

1.800

 

114.710

0.180

 

3月

1.707

0.50

114.890

0.175

 

4月

2.377

 

122.490

0.220

 

5月

2.966

1.00

130.140

0.225

 

6月

2.931

 

130.110

0.235

 

6/6

2.979

 

130.838

0.238

 

★対ドル円は昨年6月から今年6月6日との比較では、24.18%円安の130.8円を記録している(なお、6月7日(米国は6日)131円の壁を突破し131.65円前後で動いている)

 
 

 

原油先物価格推移 WTI/ドル/天然ガス先物価格NYM

 

 

原油

天然ガス

 

19/12

59.80

新コロナ前

2.292

 

20/4

16.71

新コロナショック

1.790

 

21/6

71.40

1年前

3.274

 

21/10

81.05

 

5.578

 

22/1/1

75.78

年初

3.715

 

2/1

88.20

 

4.751

 

3/1

103.41

2/24、露ウクライナ侵攻

4.573

 

3/8

123.70

3/7、露制裁

4.527

 

4/1

99.27

 

5.720

 

4/8

98.26

IEA備蓄放出決定

6.280

 

5/1

104.02

 

7.476

 

5/10

99.76

 

7.385

 

5/20

113.23

 

8.080

 

5/30

118.18

EU9割輸入停止

8.709

 

6/1

115.26

上海ロックダウン解除

8.696

 

6/6

118.27

 

9.256

 

6/6価格の上昇率

 

新コロナ以前

97.8%

303.8%

 

1年前

65.6%

182.7%

 

年初

56.1%

149.2%

 

天然ガス 

 

天然ガスは国家備蓄なし、需要期は6~9月、11~3月、夏の冷房用電力および冬場の暖房および暖房用電力向け。新コロナ前より4倍に暴騰しているが、日本の輸入価格は円安により4.8倍に暴騰している(物流経費増除く)

 
 
 

日本の輸入価格

 

・日本の輸入価格はこうした国際相場に円安率を要掛算

 
         

 

 

[ 2022年6月 7日 ]

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