アイコン ロシア産原油 中国さらに購入余力の民間製油所 減産から増産へ


中国の石油業界で「ティーポット」と呼ばれる、国営石油会社に属さない独立系製油所は、新コロナロックダウンでの需要減により一時稼働率が落ち込んでいたが、息を吹き返しそうだという。
新コロナ対応の行動規制の緩和による国内の燃料需要回復や、価格の安いロシア産原油の供給増による精製事業の利幅改善が追い風になるという。

石油供給がひっ迫するタイミングで世界最大の原油輸入国である中国の需要が増加することは、西アフリカやブラジルからの輸送先が変更になったり、欧米の制裁にもかかわらずロシアの利益が増えるなど、広範囲に影響を広がる。

ティーポット製油所は供給業者との長期契約に必要な信用度が低いいため、原油の調達をスポット市場に頼っており、目先の精製マージンの動きに敏感。

こうした事情からティーポット製油所は中国の精製部門の中でも不安定な動きをしつつ、原油輸入に占める比率が20%以上もあるため、国内市場の変動に拍車を掛ける可能性がある。

 

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調査会社・クプラーのデータによると、1~5月のティーポット製油所の原油購入量は前年同期比で31%余り減った。外出禁止の新コロナロックダウンで、国内の燃料使用が減少したことによる。
6月に入り、景気刺激策や旅行制限の緩和を受け、ティーポット製油所は生産体制の転換を計画。制裁で需要が落ち込み、指標原油に比べて大幅に割安となっているロシア産原油に飛び付いているという。

シンガポールの石油トレーダーは「ティーポット製油所は利益だけを考えるので、安いロシア産原油を最大限買い入れるのは間違いない」と話した。
別のトレーダーによると、ロシア産のESPO原油やウラル原油は中東産のオマーン原油に比べて1バレル当たり10ドルほども安く、ティーポット製油所はコストが下がり、利益率が上がっているという。

<山東省に拠点置くティーポット>
個々の製油所に関するデータはほとんど公開されていないが、ティーポット製油所の多くは山東省に拠点を置いており、同省の輸入がティーポット製油所全体の需要を把握するのに使われることが多い。
クプラーのデータによると、政府がティーポット製油所による原油の直接輸入を認めた2015年、山東省が中国の原油輸入全体に占める割合は11.6%だったが、2016年以降の平均は27%まで上昇している。

中国全体の原油輸入が1~5月に▲9.3%減少したのに対して、山東省は▲31%減と大幅に落ち込んだという。
このことはコロナロックダウン時にティーポット製油所が、大規模な国営精製業者と比べ、輸入を減らすスピードが速かったことを示しており、その分だけ輸入が回復する余地も大きいことになる。
クプラーのデータによると、山東省の1~5月の原油輸入は日量168万バレル、中国全体の19.8%相当。前年同期は日量256万バレル、26.3%相当だった。
2017~21年のデータを見ると、山東省は例年6月に平均日量222万バレルを輸入している。従って、輸入量が平均に戻るなら今月の輸入量は日量50万バレル以上さらに増加することになる。

<高まる稼働率>
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、欧米がロシア産エネルギーに制裁を科す中、中国は今年に入ってロシア産原油を最も多く購入している国の1つ。

JPモルガンのアナリストは、1日付の顧客向けメモで「推定によると中国は、日量100万バレルのロシア原油を容易に追加購入できる」と分析した。
また、ウッド・マッケンジーのアナリスト、ダフネ・ホー氏は、ロシアは2022年末までに日量250万バレル前後の原油の輸出先を欧州から変える必要があり、有力な変更先は中国だとしている。

中国によるロシア産原油の追加購入余力を予想するのは難しい。だが、トレーダーは中国が新型コロナ関連の制限を完全に緩和し、石油需要がコロナ禍前の水準に回復すれば、製油所の生産能力が日量140万~200万バレル増えると見込んでいる。

別のシンガポールのトレーダーは、ティーポット製油所は稼働率を5月下旬の約60%から6月末までに約70%に引き上げる可能性があると予想した。
国営企業はティーポット製油所からの石油製品の購入を徐々に再開しているという。稼働率が10%ポイント上がると、原油輸入は日量30万バレルほど増える。

山東省のコンサルタント会社Longzhongのデータによると、ティーポット製油所の平均稼働率は4月に50%を割り込み、2020年3月以降で最低となったが先週は64%まで回復している。

ただ、原油と精製品の在庫は高水準にあるため、短期的には輸入が限られるかもしれない。
調査会社・ボルテクサのデータによると、陸上の商業原油在庫は5月下旬時点で9億バレル超と9ヶ月ぶりの高水準で、2020年8月に記録した過去最高の10億バレルに近づいた。
トレーダーによると、余剰分を解消するため政府は先週450万トンの燃料輸出枠を追加で発行したが、余剰在庫を解消し、輸入増を正当化するには、国内の燃料需要の増加が不可欠だという。
まずは、新コロナロックダウンの解除が求められる。
以上、ロイター参照
追、
インドは、それまで近くの中東から原油を輸入していたが、3月にロシアと安価に長期輸入契約を締結。すでに80万バレルを輸入しており、それも増加中だという。ロシアから原油や軽油などを輸入し、禁輸に向かうEU各国は、インド産の軽油やガソリンを緊急輸入しているという。欧州は過半がディーゼル車で、その燃料の軽油をこれまでロシアに依存してきている。

GPS船舶の航路追跡会社によると、インドの精製会社で石油類を積んだタンカーが米国へも入港しているとロイター通信が報じている。
また、ロシアで原油を積載したタンカーがアフリカ沖など世界各地の海で別のタンカーに瀬取りもしているという。
そんなこんなでロシアのこれまでの原油の輸出量810万バレルは制裁された3月に一時的に大幅減少したものの4月には回復し、少々安価に販売しても、価格そのものが昨年より大幅に高騰しており、痛くも痒くもないどころか昨年より利益を上げているという。

一方、米国のバイデン大統領もオースチン国防省も、「ロシアをウクライナに侵攻できないほど弱体化させる」としており、そのためウクライナに対する兵器の供与レベルを徐々にヒートアップさせ、大量かつ最新式にエスカレートさせ続けている。
当然、ウクライナの泥沼化は必至、エネルギー価格の高騰は続き、露・ウクライナの輸出品である小麦や大豆などの穀物価格も高騰したままとなることが予想される。

プッチンしてしまったプーチンは、西側から強力に制裁を受けているものの、それでも中国やインド、中央アジア、東南アジア、アフリカなどの親交国の約50億人に対して活路を見出している。
国連総会では、加盟193ヶ国中、その露制裁に賛成したのは45ヶ国未満(ロシアが報復制裁したのは47の国と地域)、150ヶ国あまりは制裁に反対か棄権している。

ガソリンが必要のない高価なEVに変えたとしても中東の産油国でない限り世界中、電気代は急上昇。おまけに世界の発電の燃料は9割以上が、石炭、天然ガス、石油というロシアの輸出品目の化石燃料でもある。
さらに日本は円安で、高騰した国際相場より、さらに円安で、昨年の為替より2割前後高値で購入している。

↓現在の相場は前年比で米国では66%上昇しているが、円安を伴う日本は83%値上がっている。スタンド価格は政府の政策により抑えられているが、製造企業は電気代も含めて大幅なコスト高になっている。


スクロール→

原油価格推移

 

WTI

東京ドバイ

為替

月初

ドル

対ドル円

21/6

70.28

46,094

109.46

21/12

71.54

50,156

113.50

22/1

78.04

55,233

115.78

22/2

91.28

60,878

115.51

22/3

112.13

73,324

116.03

22/4

98.60

74,666

123.68

22/5

107.20

79,195

130.00

22/6

120.18

86,280

133.48

6/17

116.96

84,600

133.83

前年倍率

166.4%

183.5%

122.3%

 

[ 2022年6月17日 ]

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