アイコン サウジ石油タンク攻撃受け炎上、報復の連鎖 原油にイエメンリスク


25日、イエメンの反政府勢力のフーシ派は、サウジアラビア中部、南部、西部の重要な施設と民間地域を標的として、ドローン、弾道ミサイル、発射体で16回の攻撃を行った。

サウジアラビアの防衛当局は、王国に向けて発射された9機のブービートラップドローン(爆弾搭載の無人飛行機/超小型で低空を飛行させレーダーに探知されにくい)を破壊した。敵対的な試みが意図的に民間の物体やエネルギー施設を標的にしたと述べた。

サウジ防衛当局は、ジャザン市に向けて発射された弾道ミサイルを破壊、ナジュラーン市に向けて発射された3機のブービートラップドローンも破壊。ただ、ジャザン地域のサムタ県の配電所では落下して火災が発生したが負傷者はいない。ジャヌーブ県では一部の民間車両と住宅に重大な損害が生じたと発表した。

テロリストのフーシ派民兵は、湾岸諸国、アラブ諸国、イスラム諸国、西側諸国からの非難を引き起こしながら、王国の民間人と民間および経済的対象を標的とする試みを続けている。これらは国際人道法と矛盾するこれらの意図的かつ体系的な攻撃に対して、その安全性と安定性を維持する必要がある。

 

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英国のボリス・ジョンソン首相は、サウジアラビアの重要なサイト「ジェッダを含む」へのフーシ派の攻撃を非難し、ツイッターで「これらの攻撃は民間人の生命を危険にさらし、止めなければならない」と述べた。

ロイター通信は25日、米国務省の副スポークスマンであるアリナ・ポーター氏が、ワシントンがサウジアラビアの石油施設に対するイエメンのフーシグループの攻撃を非難し、それらを「容認できない」と見なしていると述べた。

クウェート外務省は声明で、「この臆病なテロ攻撃は、民間人、民間地域、サウジ王国の安全と地域の安定だけでなく、世界が求めている世界のエネルギー供給源も対象としている」と述べた。また、「これらの物資の安定を支援し、その流れを確保するために、国際社会は迅速に行動する必要がある。そして、これらの攻撃を抑制し、加害者に責任を負わせるためにしっかりと行動する必要がある」とした。

バーレーンは、テロリストのフーティ派民兵が、サウジ王国に向けて多数のドローンとブービートラップされた航空機を発射したことを強く非難した。

声明の中で、バーレーン外務省は、ドローンを迎撃して破壊することができたサウジアラビア防空軍と連合軍の準備と警戒を称賛する」と述べた。こうしたフーシ派の攻撃は国際人道法にも違反するとも表明した。

ヨルダン政府は、サウジ王国の領土に対するフーシ派民兵の継続的な攻撃を非難した。その最新のものは、いくつかの地域にある民間の建物とエネルギー施設での弾道ミサイルとブービートラップドローンの発射でした。そしてサウジの防空によって破壊されたと発表した。
ヨルダン外務省は、これらの臆病なテロ攻撃に対するヨルダンの強い非難の意思を確認し、国の安全を脅かすすべてに直面して、国の連帯とサウジ王国への絶対的な支援を強調した。

一方、イスラム協力機構は、ミサイル攻撃を伴うフーシ派民兵が、サウジ王国の民間物と重要な経済施設を標的とした攻撃は危険にエスカレーションさせ、継続的な敵対行為に対し強く非難すると表明した。

イスラム協力機構のフセイン・イブラヒム・タハ事務総長は、イエメンの兄弟たちを対話のために集めるために絶え間ない努力が払われているときに、フーシ派民兵がその犯罪的な敵対的慣行に固執していることを最も強い言葉で非難し、さらに和平プロセスを進めることを惜しまないとした。
事務総長は、イエメン間の協議を成功させるために、イエメンの正統性を支援するための連立によってなされることを称賛するイスラム協力機構の事務局は、サウジアラビアを支持し、それがとるすべての措置を支持することを繰り返した。その土地、市民、住民および経済施設を保護する。
湾岸協力会議もまた同様にフーシ派民兵を非難した。

アラブ諸国と外国は、フーシ派攻撃を非難し、サウジアラビアの連帯と支持を確認したが、サウジアラビア国防副首相兼国防相のムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドゥルアジズ王子は25日、エジプトのアブデル・ファタ大統領から電話を受けたと明らかにし、サウジ王国の土地へのテロ攻撃を非難し、エジプトがこれらの敵対行為の継続に立ち向かうためにサウジアラビアの側に立っていることを確認した。

英国のボリス・ジョンソン首相はツイッターに、「これらの攻撃は民間人の生命を危険にさらし、止めなければならない」。
米国国務省の副スポークスマンであるガリーナポーターは「攻撃は容認できないものであり、サウジアラビアのインフラだけでなく、学校、モスク、職場にも影響を及ぼす」とは述べた。

イエメンの正統性を支持する連立は、3月末にリヤドの湾岸協力会議の後援の下で開催されイエメン協議の成功を確実にするために抑制を行使し、応答する権利を留保することを強調した。

連合のスポークスマンであるトゥルキ・アル・マリキ准将は、ジェッダのアラムコの石油製品流通所が攻撃され、2つのタンクで火災が発生し、負傷者や負傷者なしで火災が鎮火したと述べた。
アラブ連合軍は、フーシグループに対し、重大な違反に固執しないよう警告し、「連合国の忍耐力をテストしない」ように忠告し、昨日の敵対的な攻撃がサヌア国際空港とホデイダ県から開始されたことを明らかにした。

連合軍は、ジェッダのアラムコ工場とサムタの発電所を標的とした攻撃はホデイダ市から発射されたと述べ、ダーラン・アルジャヌーブのダムを標的とした攻撃はサヌア国際空港から発射されたと述べた。

サウジアラビアのエネルギー省の情報筋は、生産、加工、精製部門への深刻な影響について警告した。
「これは、サウジ王国の生産能力と世界市場への義務を果たす能力に影響を与えるだろう」と。

フーシ派はサヌアに対して空爆を受けたことから、その報復として、サウジアラビア中部、南部、西部の重要な施設や民間地域を標的にしたドローン、弾道ミサイル、発射体による16回の攻撃を行ったとしているようだ。

アラブ連合軍は、サヌアとホデイダを大規模空爆について「敵対的な攻撃から世界のエネルギー源を保護し、サプライチェーンを確保すること」であり、「石油施設に対するフーシ派攻撃で、最高水準に抑制させ報復した」と強調した。

連合軍は、脅威の原因に直接対処し、民間人がホデイダのいかなる場所や石油施設にも立ち会ったり近づいたりしないように呼びかけた。
「フーシ派は初期の段階で敵対的な行動と軍事作戦の結果に耐えなければならない」と連合軍は付け加え、「軍事作戦はその目標が達成されるまで続くだろう」と強調した。
以上、現地紙などいろいろ参照

イエメンは1990年に統一するまで南イエメン(米支援)と北イエメン(ソ連支援)に分かれ独立していた。統一してからは諍いが絶えず、そこに台頭してきたのが、旧北イエメンに陣取るイスラム教シーア派の流れを汲むフーシ派、イランがフーシ派を支援し、サウジはUAEやクウェート、バーレーン、カタールを主導し、連合軍を結成して、日々、フーシ派を空爆している。
それに対するフーシ派の反撃が前回や今回のサウジの石油施設の炎上となっている。
報復の連鎖でもある。

サウジにとってはイエメンと南で国境を接し、特にフーシ派が勢力下にある旧北イエメンがあり、国境を接していることから断じて許容できないとして、2015年から空爆やハーディ政府軍を支援し、軍事行動を継続している。

イエメン政府は旧南イエメン地区と旧北イエメン地区の一部を抑えている。これはサウジ連合国・米国など西側が支援した政権であり、2015月1月、一時崩壊の危機にあったハーディ政権を立ち直らせ、旧南イエメン地域からフーシー派を一掃して現在があるが、これを機に内戦が始まった。
ただ、親サウジ派のハーディ政権はフーシ派を掃討するほどの力はない。そのため、サウジ連合軍が空爆でフーシ派を攻め立てているが、その効果は限定的、すでに空爆を開始してから7年目を迎えている。

一方、フーシ派にはイラン防衛隊が武器を供与し、その内容はエスカレートしており、通常兵器からドローン、長距離砲、UAV、弾道ミサイル、さらに性能がよくなれば、確実にサウジや連合国の原油施設は危険にさらされることになる。
長距離ドローンを百機一度に飛ばしたら、いくら迎撃システムがあっても対応できない。
今回も需要施設であり、エリアは迎撃システムが機能していたはすだが、炎上させてしまっている。

米国とサウジは人権問題で対立、バイデンの民主党は人権優先党、サウジはOPECでロシアとリンクしており、また、米国との人権対立から中国の支援を受けて迎撃ミサイルを開発中でもある。

さらに難しくするのは、強度の制裁を受けたロシアが、ミサイル技術をイランへ供与する可能性、フーシ派に渡ることだろう。(同じことは北朝鮮にも言える)
また、UAEも原発(4基)を有し、韓国軍のアーク部隊が警備に当たっているが、フーシ派は以前、ロケット攻撃を仕掛けた。しかし、性能悪くどこへ飛んでいったか分からないままとなっている。当時と現在では精度が比較にならないほど向上しており、世界的な不安材料でもある。UAEでは8月だけ東の風が吹く。

現在、米国はイエメンへは直接介入していない。しかし、偵察情報をサウジに供与し、その情報に基づきサウジ連合軍は空爆していることが知られている。偵察衛星・偵察機での情報は満載、ただし、上空から撮影するため、アフガンなどと同様、結婚式や民間施設への誤爆も生じている。
一度、サウジ連合軍はフーシ派の支配地へ侵攻したが、民間人の死亡が多数発生し批判され、長期侵攻はしなかった。

西側から見た場合、
フーシ派はテロリストであり、殲滅しなければ世界のエネルギーが危機に陥るとしているが、米軍も欧州もイエメンへ直接介入しようとはしない。そもそも米国はエネルギーに困っていない世界最大の生産国でもある。

ほぼ、毎日、イエメン・フーシ派はサウジ連合軍から空爆を受けている。同連合軍の中でも強硬派はサウジとUAEでもある。

最近の戦闘
3月17日、UAE・アブダビはフーシ派からドローン攻撃を受け、国営石油会社の施設付近や国際空港で火災や爆発が相次ぎ3人が死亡、6人が負傷した。

3月18日、攻撃を受けた翌日に、その報復でサウジ連合軍は、フーシ派が首都とするサヌアに対して大規模空爆を実施、20人以上を殺害した。

3月25日、フーシ派のサウジ攻撃は、そのまた報復で行われ、各地に向けたドローン+弾道ミサイルにより同時多発型の攻撃を行い、石油タンクを炎上させた。

3月26日、サウジ連合軍はその報復で、首都サヌアとホデイダ市を大規模空爆、サヌアでは住宅街も空爆を受け多くの住民が死亡したと報じられている。

フーシ派を殲滅しない限り、報復の連鎖では、フーシ派の軍事力は進化し続け、サウジやUAEの原油施設、UAEの原発施設は攻撃を受けるリスクが高まるばかり。
さりとて、フーシ派への空爆を止めれば、親欧米+親サウジ政権の南イエメン=西側が認める正当なイエメン政府はフーシ派から攻撃を受け、イエメン全体がフーシ派に占領されてしまう。

イエメン内戦・戦争を終結させるには、フーシ派が陣取る旧北イエメン一帯はもともとイスラム教フーシ派が多く住んでいることから、そのまま独立させ、イスラム教スンニ派のサウジやイエメン政府の支配地への不可侵条約を結ばせ、国境に国連の監視地帯を設けるしかないだろう。

アフガンでは旧ソ連が10年間、アメリカが20年間、軍事侵攻したが、結局、ソ連は疲れ果て逃げ帰り、米国はタリバンに対しては何の成果も挙げられないまま撤退した。米国が擁立したアフガン政権は、米バイデンがアフガンから軍の完全撤退を命令した直後に崩壊した。20年間に渡る西側からの膨大な支援金の3割以上はアフガン政権の不正腐敗の原因になっただけだった。

以前は独裁政権を米・西側が支援し、反政府側を東側が支援する構図だったが、今や逆転して、独裁政権を新東側が支援し、反政府側を米・西側が支援している。
世界の権力構図も変わったもんだ。

古の昔、各地で戦闘が繰り返され、疲弊した挙句、一帯の長老たちが集まり、戦争を止めるため一帯をまとめる新王を擁立しようとしたものの、利害関係から候補者が定まらず、白羽の矢が当てられたのが巫女の卑弥呼、女王卑弥呼が誕生した。やっと一帯に平和が訪れたと魏志の倭人伝に記されている。
メルケルがまだいたら、今日のウクライナはなかったかもしれない。

↓ブービートラップドローン/ウクライナでも双方国が多用している。
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[ 2022年3月28日 ]

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