アイコン 米国も石油税一時凍結検討、40年ぶりのガソリン高 選挙控え動く


バイデン政権は、高騰しているガソリンにかかる連邦税を一時的に凍結するよう米議会に提案する。各州や石油関連企業にも協力を呼びかけ、1ガロン(約3.8リットル)あたり最大1ドル(約136円)の値下げも視野に入れるが、実現するかは不透明。 バイデン大統領が22日表明した。

約40年ぶりの水準のインフレに見舞われる米国では、今月、ガソリン1ガロンの全米平均価格が過去最高の5ドル超に達し、政権への不満が高まっている。
米国民の7割が、物価高騰が緊々の問題だとしている。また、バイデン大統領の支持率も急落しており、このままで民主党が戦えないとして、11月の中間選挙向けとも受け止められている。

ただ、減税したとしてもガソリン価格が素直に下がるか不明で、減税では石油販売業界に利益だけをもたらす可能性があるとした反対意見もある(真水のガソリン価格を販売店が引き上げる可能性が指摘されたもの)。

1ガロンあたり18セント(約24円)のガソリン連邦税について、7~9月の3ヶ月間、徴収を免除したい考え。
さらに、独自に地方税としてガソリン税を課す各州政府などにも一定期間の免除などを求めることにしている。
一部の州ではすでに、州のガソリン税を免除したり、消費者の負担軽減策を導入したりしている。こうした動きの広がりを後押しする狙いもある。
また、バイデン政権は、石油製造・精製業界に対しても値下げ要請している。ただ、製油所の卸販売価格は、石油小売業界と異なり、需給による相場で決定されており、難しいとされている。

 

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これまで、石油メジャーやシェールオイル・ガスの採掘業界は、巨額の利益を上げ、その利益を自社株買いと高配当を行う株主還元策に費消し、増産投資にはほとんど向けていないことも事実であり、どこまで強制できるかも不明。

概して、化石燃料を忌み嫌うバイデン大統領および民主党政権にあり、増産するにしても巨額投資が必要であり、その投資が回収できるのか石油採掘団体は、バイデン政権に不信感を募らせており、なかなか増産されない現実がある。

米国の原油生産量は、米EIAによると、新コロナ前の19年12月は13,000千バレル/日(WTI価格59.80ドル)→昨年の21年6月は11,307千バレル(71.40ドル)→今年3月は11,655千バレル(108.86ドル)となっている。

バイデン政権が業界にそれを保証すれば、増産体制は可能と見られるが、そうした保証をするような環境派のバイデン政権ではない。
また、露制裁下の欧州は年末までに露産原油の9割を禁輸(EUの21年露産原油の輸入実績286万バレル/日)にするとしており、すでに反露強硬派の国々では輸入を停止し、ほかの産油国から購入している。当然、価格は高い。

世界最大の産油かつ世界最大の石油消費国でもある米国は原油相場をリードしているが、石油生産企業は、そうした欧州各国へ高い価格で輸出しており、米国では逼迫感が強く、価格を高値にしている原因ともされている。

なお、インドも4月から大量に安価な露産原油を輸入開始、すでに大量のインド産軽油やガソリンに化け、相場価格で欧州へ輸出され、暴利を得ている。

この間、米国でも政府の備蓄石油の市場放出などで原油相場が一時的に下がったりしているが、すぐ、高値に戻り、今後もまた、欧州が実需購入することで需要旺盛、現在の景気悪化懸念で低下している価格も、すぐに反転することが予想される。

米石油業界もこの間、OPEC同様、数十万バレル増産している。しかし、欧州からの特需、新コロナ経済からの回復による需要増にまったく追いついていない。

(バイデン政権は価格を下げさせるためにも、国内の生産者に増産させることが必要だろうが、一時的でも石油の輸出も以前のように禁止させるべきだろう。だが、自ら音頭をとった露制裁の大義による欧州の石油製品不足に、米国からの輸出を停止させるわけにはいかない事情がある)

向こう半年内に、欧州の本格的な露産原油や石油製品の禁輸が開始され、さらに、世界最大の輸入国である中国では、多くの都市で発令されていた外出禁止の新コロナロックダウンから、上海のように回復しつつあり、需要増に伴う原油の購入拡大から、生産量が少々増加したところで値は下がりようもない。
ただ、中国が輸入する原油は、今後、安価販売の露産制裁原油の増加であり、急激な需要増にはならないとも見られている(中国は国営石油精製会社が8割、政府のコントロールに組しない民間事業者は2割とされ、この2割の多くが、これまでの中東産から露産にシフトしているという)。
やはり、第一次で価格を高騰させたバイデン政権の新コロナ経済対策1.9兆ドルのばら撒きが資源・エネルギー価格を高騰させ、昨年10月の6.2%のインフレを生じさせ、インフレ率を上昇させる中(2月は7.9%)で発生したロシア問題がさらに高めた(5月8.6%)。

バイデン政権はインフレ抑制のため金利を急激に引き上げにかかっているが、物価高騰下、世界各国が対ドルで為替安に陥り、Wの物価高必至、そのため米国に対応し金利を引き上げ続けており、外部要因による物価高・金利上昇により経済悪化が懸念されている。

米国ではバイデン政権が、インフレ抑制のため、トランプ前政権が米中貿易戦争で、中国に課した25%の関税の引き下げを検討している。 
しかし、これについても民主党内でも反対意見があり、実現できるかは不明となっている。

このようにバイデン大統領は、計画性のない、短絡的な行動、(インフレが指摘されていたにもかかわらず)人気取りのための1.9兆ドルもの新コロナ対策費の使用により、高いインフレを生じさせ、露侵攻予兆から半年間もありながら、米石油業界とも仲違いしたまま、露制裁に踏み切り、原油価格を高騰させ続けている張本人でもある。

日本は、
政府は、ガソリン税や消費税を凍結もしくは減税することはせず、魑魅魍魎領域の石油精製会社に補助金を支払い、末端販売価格が一定以上に上がらないように調整して補助金を支払い続けている。石油精製会社や石油販売会社もボロ儲けしているともされる。
国民には見えてこないが、確かにガソリン小売価格は一定以上(MAX170円台/今秋の全国平均販売価格は173.9円/補助金なければ215円だそうだ)には上昇していない。
インド産ガソリンを大量に安価に購入し続ければ、政府補助金もあり、もっともっと安価に消費者に販売できるのだろうが・・・。政治は権力者の領域。

 

[ 2022年6月23日 ]

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