アイコン バイデン+プーチンインフレ退治による国債価格上昇の危険性


米国債は外国の一国の保有在比率が高ければ、金融市場で何か生じた場合、収拾が付かなくなるおそれがあると以前から警告されている。

今回の新コロナ経済対策、米金利高=外国為替安やバイデン+プーチンインフレ対策に各国とも資金需要はかってないほど必要となっており、為替対策としても米国債売りが進めば、購入側は金利が高く付かなければ購入しないのは道理でもある。
 
米国債規模は24兆ドル程度、外国勢が保有しているのは31%程度の7.5兆ドルあまりであるが、新規発行も巨額すぎて簡単に売り買いできるものではない。それも保有している法人等は、外国勢は通貨安の影響を受け、国内勢は米金利高で景気悪化が懸念される中、資金需要旺盛でそれ以上に買い増しする状況でもない。そうしたことから米国債の発行ですら、容易に消化されるような状況ではなくなっている。

為替対策のドル売りでは、日本は昨年11月のピークから8月までに1288億ドル分の米国債を売却し、為替防衛に当たっている。円安が進んだ9月・10月にはさらに多くの米国債を売却したものと見られる。

 

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日本だけならともかく中国も香港も韓国も為替防衛のために保有米国債を売っており、団体さんになると事情がまったく異なる。米国債であっても貸し出し基準金利が3.25%であり、それ以上に利回りが高くなければ誰も買わないということ。新規発行では高い金利はのちのち負担となる。
 
米国はインフレ対策に昨年11月から大金融緩和から金融引き締め策のテーパーリングを実施、それでもインフレは沈静化しないことから、今年3月からは基準金利の引き上げにかかった。しかし、昨年、新コロナ経済対策に1.9兆ドルも投じたバイデンインフレに続き、今年3月からは露制裁のエネルギー等のプーチンインフレまで生じ、インフレは加速、米金利も最近では0.75%という大幅な引き上げを3回続けて実施しインフレ退治に躍起なっているがまだ高い。(日本は世界で唯一の日銀貸し出し金利が▲マイナス0.1%という国)

米金利も今年2月までは0.25%、しかし、現在はインフレ退治のため3.25%まで引き上げている。
グローバル社会の旗手米国が世界各国を考慮せず、アメリカ№1としてかつて気ままにやりたい放題にすれば、こうした結果を招くと言う良い事例にもなっている。

ブルームバーグは24日、米国債流動性指数は最近、新コロナパニックの2020年3月以来初めて2.5を超えたという。
この指標は、米国債の金利が適正水準からどの程度外れているかを示すもので、数字が大きいほど流動性が不足していることを意味する。
コロナ禍初期の2020年に3.0を超え、米連邦準備制度理事会(FRB)が鎮火に乗りだした後、1.0未満で安定していた。しかし、9月には基準金利の上昇もあり、10年物米国債利回りも12年ぶりに4%を突破し、現在は4%台が定着している。
 市場の需要が国債の量に耐えきれず流動性が蒸発したものと分析されている。

全世界最高の安全資産である米国債の価格が暴落し市場が麻痺するのではないかという懸念が提起される。金融市場全体が不安に陥るリスクも潜んでいる。

バンク・オブ・アメリカ(BoA)は20日の報告書で、「米国債市場は脆弱な状態にあり、衝撃が1つでも追加で発生すれば、市場が十分に機能するのが難しくなりうる」と分析し手いるほどだ。

米財務省も状況が深刻であるとみて、対策作りに乗りだした。
イエレン財務長官は12日、「(米国債市場に)十分な流動性が失われたことについて懸念している」と述べている。財務省は、国債取引を促進するための多くの措置と合わせ、財務省が流動性が特に不足した長期物を買い戻す「バイバック」も検討しているという。しかし、にもかかわらず、市場からは心配が消えない。

債券ファンドの運用成績に打撃を与えた市場のボラティリティー拡大が数ヶ月続いたが、投資家は今、米国債の買い時を探っている。  
米連邦準備制度委員会が、数十年ぶりの高いインフレ率の退治に動くなか、債券運用の担当者は米国債利回りが再び上昇する可能性に賭けている。

 フェデレーテッド・ハーミーズのポートフォリオマネジャー、スティーブ・チアバロン氏は10年物のような長めの米国債に投資する理由について、「リセッション(景気後退)が明らかになる」時点で、国債相場が回復するためだと説明している。
ただ、その前に利回りがもう少し高くなる可能性があり、そうした高めの利回りを捉えるタイミングを計る投資家もいる。
その後、インフレが収拾過程に入り、利回りが再び低下した場合、さらに国債価格が上昇した場合、運用各社は資本増価の恩恵にあずかることもできる。

 米10年国債利回りは、投資家にとって高めのリターンを得られ、将来起こり得る株式・クレジット市場の混乱に備える一定の保険にもなるとしている。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のグローバルクレジット担当最高投資責任者(CIO)マーク・キーセル氏は、3.5%前後の10年債利回りは「買い入れ時だ」としている。
ただ、PIMCOなど巨額投資ファンドがどれほど流動性資金を持っているのか、購入した国債を担保にして金融機関がどれほど融資できるのかも含め、すべて世界経済の状況にかかっている。
以上、報道等参考

まだ、9月を見る限り、賃金は高止まり、雇用数の増加など購買力を後押しする指数があり、食料は高止まり、コア、家賃、サービスのインフレ率は上昇が続いている。
10月の結果次第ではさらに基準金利が上昇するが、FOMCの決定会合は11月1・2日に開催され、9月までの分と10月の景気指数などにより決定される。
11月も0.75%引き上げ予想だが、指数が改善=悪化しなければ、さらに1月には0.5%引き上げる予想もなされている。
最近のNY株価の上昇は、景気後退の経済指標が多くなり、株価を上げたい人たちにより、11月はインフレ退治の金利上昇は0.5%以内になるとの予想で上昇しているもの。


日本の10年もの国債の利回りは日銀が0.25%にキムチ漬け、超えれば買いオペにより瞬時に下げさせている。
日米の10年もの国債利回りの金利差が円安になっている原因の大きな一つ。


スクロール→

米国債の外国保有残/億ドル、ほか

米国債残/億ドル

 

10年債

対ドル円

 

保有高

日本

←前月比

利回り

21/8

75,788

13,197

 

1.3014

109.916

21/9

75,709

12,996

-201

1.5134

111.356

21/10

76,607

13,204

208

1.5816

113.842

21/11

77,321

13,286

82

1.4396

113.070

21/12

77,476

13,040

-246

1.5064

114.944

22/1

76,617

13,031

-9

1.8210

114.880

22/2

77,109

13,063

32

1.7958

115.124

22/3

76,136

12,324

-739

2.3860

122.540

22/4

74,553

12,185

-139

2.8870

129.830

22/5

74,257

12,237

52

2.8440

128.680

22/6

74,308

12,363

126

2.9720

135.730

22/7

75,012

12,343

-20

2.6420

133.190

22/8

75,090

11,998

-345

3.1330

138.960

22/9

 

 

 

3.8040

144.750

1026

 

 

 

4.0090

146.328

 

 

 

 

金利連動

 

ピーク比()

2,231

1,288

 

 

10月前年比

 

148

 

 

28.5%

円換算

33兆円

19兆円

 

 

円安

米債発行残

240,000

31.3%

 

 

 

 

22年8月の米国債保有国残高/億ドル、ほか

ピーク

 

 

 

外貨準備高

←通貨/

21/11

1

日本

11,998

12,381

ドル

13,286

2

中国

9,718

30,289

ドル

10,808

3

英国

6,447

1,715

ドル

6,219

4

ケイマン

3,073

 

 

2,621

5

ルクセンブルグ

3,060

27

ユーロ

3,333

6

スイス

2,949

8,071

CHF

2,921

7

ベルギー

2,879

396

ユーロ

2,249

8

アイルランド

2,753

125

ユーロ

3,300

9

フランス

2,337

243

ユーロ

2,282

10

台湾

2,332

5,411

ドル

2,486

11

ブラジル

2,322

3,275

ドル

2,488

12

インド

2,212

5,283

ドル

2,052

13

カナダ

2,111

1,026

ドル

1,951

14

香港

1,902

4,192

ドル

2,349

15

シンガポール

1,895

4,105

ドル

1,902

16

サウジ

1,221

17,153

SAR

1,165

17

韓国

1,180

4,167

ドル

1,327

18

ノルウェー

1,104

8,515

NOK

1,002

 

ほか計

13,597

 

 

63,741

 

合計

75,090

 

 

77,321

・ピークは日本と香港と韓国など/中国は以前は14000億ドルを超えていた。

 

米国の各種インフレ率

 

インフレ率

消費者

 

全体

食料

コア

家賃

サービス

エネルギ

CPI

21/9

5.4

4.6

4.0

3.16

3.20

24.83

 

21/10

6.2

5.3

4.6

3.48

3.65

29.97

276.58

21/11

6.8

6.1

4.9

3.84

3.77

33.29

277.94

21/12

7.0

6.3

5.5

4.13

4.01

29.30

278.80

22/1

7.5

7.0

6.0

4.36

4.58

26.98

281.14

22/2

7.9

7.9

6.4

4.74

4.80

25.55

283.71

22/3

8.5

8.8

6.5

4.98

5.12

32.05

287.50

22/4

8.3

9.4

6.2

5.14

5.37

30.27

289.10

22/5

8.6

10.1

6.0

5.45

5.74

34.06

292.29

22/6

9.1

10.4

5.9

5.61

6.22

41.62

296.31

22/7

8.5

10.9

5.9

5.70

6.25

32.93

296.27

22/8

8.3

11.4

6.3

6.24

6.81

23.81

296.17

22/9

8.2

11.2

6.6

6.59

7.37

19.80

296.80

・コアインフレ率はエネルギーと食料を除いたもの。

 

 

[ 2022年10月27日 ]

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